п»ї タイ赴任で帯同できる家族の範囲はどこまで?『実録!トラブルシューティング』第33回 | ニュース屋台村

タイ赴任で帯同できる家族の範囲はどこまで?
『実録!トラブルシューティング』第33回

7月 15日 2016年 経済

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1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、海外赴任に際して帯同する家族のビザに関するトラブルについてご紹介します。

ある日、お客様から「どうにかコネか何かないでしょうか……」ととても困った様子で電話を頂きました。タイに赴任予定の社員が、一緒に暮らしていた奥様のお父様をタイに連れて来たいのですが、ビザ申請をしたところ、却下されてしまったとのことです。社員一家がタイに赴任をしてしまうと、社員の奥様以外にはおじいちゃんは身寄りがなく、日本で一人で暮らしていくしかありません。なんとかおじいちゃんも一緒にタイで生活する方法はないだろうか、とのご相談でした。

◆大阪総領事館で認められた義父のビザ

確認したところ、やはり労働許可証(ワークパーミット)所持者本人の両親であれば、タイで正規就労する外国人の配偶者/扶養家族のためのノンイミグラント―Oビザを取得出来るのですが、所持者の義理の親は対象外とのことです。リタイアメントビザの取得も考えましたが、50歳以上でタイ国内に80万バーツ以上の貯金があるか、月6万5千バーツ以上の年金収入という条件があります。コネというコネには連絡してみましたが、どうにもなりません。

タイ大使館のホームページを隅から隅までチェックしたところ、タイ大阪総領事館のサイトに「就労者の配偶者および子供以外の家族がタイに滞在するためのビザについて」の記載を見つけました。対象は「就労者の(義理の)父または母に限る」となっており、招聘(しょうへい)状には「就労者名/申請者と就労者の続柄/申請者が就労者の扶養家族として滞在する旨」を記入し、就労者本人が招聘者となって招聘状を発行することになります。

もちろん無条件にビザが発行されるわけではなく審査はありますが、「(義理の)父または母」が対象になっているビザです。すぐにこの詳細をお客様に連絡し、おじいちゃんは大阪総領事館でビザを取ることが出来ました。

無事におじいちゃんと一緒にタイでの生活をスタートしたとのこと、お客様からご連絡を頂き、胸をなでおろしました。もしも配偶者のご両親を帯同される予定があるなら、会社とよく相談をすることをお勧めいたします。また、会社側も、駐在予定の社員の家庭環境にも気を配ってあげてください。

◆要注意!在外公館によって違う手続き

ただし、この話は一筋縄ではいきませんでした。本件一件落着からわずか1週間後、再度タイ大使館のホームページを確認したところ、就労者の家族ビザとして、「就労者の配偶者および子供以外の家族がタイに滞在するためのビザについて」(対象:就労者の(義理の)父または母に限る)と記入されていた記述が、「就学者の両親がタイに滞在するためのビザについて」(対象:養育が必要な就学者(未成年)の父または母に限る)に変更されているようです。無事に入国したおじいちゃんのビザの更新が心配になります。

タイで仕事をしていると、担当官や役所によって、説明が異なったり、知らない間に制度が変更されたりしていることが多く、困惑することもあります。しかしながら、ビザやワークパーミットなどは、あくまでタイ政府が外国人に対してタイに滞在するための許可やタイで就労するための許可を出すものです。役所の担当官のアドバイスに従うしかありません。

日本には、タイの大使館・領事館が東京、大阪、名古屋にあります。ウェブサイトも別々にもっていますので、今回のように他の在外公館では記述が無いものが見つかるかもしれません。何かを調べる時や問題があった時は、全てのサイトをチェックすることをお薦めします。また、ビザのための必要書類や申請書、手続きについても申請場所によって違いますので、お気をつけ下さい。

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