п»ї 現法代表は解雇補償金の支払い対象になるか『実録!トラブルシューティング』第34回 | ニュース屋台村

現法代表は解雇補償金の支払い対象になるか
『実録!トラブルシューティング』第34回

8月 05日 2016年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、会社の清算時のトラブルについてご紹介します。弊社は会社設立のお手伝いをしていますが、大変残念なことに年に何回かは解散・清算のお手伝いをすることもあります。

ある会社の清算対応をしていた時のことです。それまではてっきり社長、MDとしてふるまっていたように思われた方が、会社の解散が決まった途端に感じが変わってしまったようです。会社の清算という事態に気分がよほど滅入ってしまったのかと思ったところ、どうもそうではないようです。解雇補償金を要求するために、自分は「雇用者」ではなく、日本の親会社に雇われた「被雇用者」であると主張し始めました。

◆「雇用者」の定義とは

特にタイで現地採用したMD、Presidentは解雇補償金の対象となるかどうか、判断に迷う方が多いようで、問い合わせもよく頂きます。「雇用者」なのか「被雇用者」なのかについての判断は役職名ではなく、実務の実態で判断します。では、「雇用者」とはどんな定義でしょうか。

1 会社の運営に関する意思決定が自由にできる

2 社会保険に加入していない

3 就業規則など被雇用者のルールを自由に策定できる(就業規則などに署名している)

上記の条件に当てはまる場合には「雇用者」と判断され、会社清算時の失職に伴う解雇補償金の支払い対象外となります。一方、上記以外のスタッフは「被雇用者」となり、解雇補償金支払いの対象となります。

ただし、誰が「雇用者」か「被雇用者」かを決めるのかという問題が残ります。労働裁判に訴えるか、会社側および対象となる本人の双方が納得できる第三者の弁護士から意見書を出してもらうことが考えられます。

実際に弊社でもMD、Presidentが「雇用者」か「被雇用者」かを判断する場合には、弁護士や本人を含む関係者数人にインタビューし、上記の点を確認します。

例えば、解雇補償金が欲しいMD、Presidentは会社運営において何でも日本本社に了解をとらなければならないと主張し、証拠書類として稟議書やメールのコピーを提示してくる場合があります。これに対して日本本社側は、就業規則の署名者がMD、Presidentであると主張して双方が対立。この場合、最終的な判断は裁判所に委ねられることになります。

◆タイには定年がない

タイには定年という概念はなく、ある一定の年齢に達した場合、「雇用者の都合により退職する=会社都合の解雇」となり、解雇補償金という名前の退職金を支払わなければなりません。

ご参考までに解雇補償金は勤続年数により下記のように設定されています。

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最後に、注意点としては、解雇補償金を支払う際には、解雇日(退職日)から3日以内には受領者の元に届くようにすること、また、受領証、訴訟権利放棄の書面にサインしてもらうことで事後のトラブルを未然に防ぎましょう。

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