東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回も、前回に引き続き税関でのトラブルについてご紹介します。ある日系企業がバンコク市内で日本酒の試飲会の準備をしていました。夕方からの試飲会ですが、当日の朝になっても肝心の日本酒が届きません。慌てて確認したところ、販売ではなく試飲なので個人輸入で送るように、と日本の担当者に依頼していたはずなのですが、宛先が社名になっており、どうやら空港の税関で止められてしまっているようです。
◆日本酒試飲会でのトラブル
もちろんその場で、タイ人スタッフを連れて税関へ直行し、担当官に事情を説明し、担当官の理解を得ることが出来ました。「後は手数料などを支払い、日本酒を受け取り、試飲会場へ!」とひと安心したところで、なんと別の問題が発覚しました。
税関に登録してあった会社情報と、持参した会社登記簿の内容が違うという指摘がありました。2年前に会社名を変更したものが税関の登録情報に反映されていなかったのです。こちらも担当官に事情を説明し、時間はかかったものの、無事に日本酒が入手できる運びとなりました。
日本酒受け取りの手順自体は複雑ではないのですが、支払い証明書を別の窓口に提示をしたりするなど、各手続きに思ったよりも時間がかかり、日本酒を持って税関を出たのは午後4時過ぎになりました。税関から車を飛ばして、何とかホテルの試飲会に間に合わせることができました。
その他、税関での運送関係でのトラブルでよく聞くのは、予期しない関税の請求です。海外に荷物を送った時、その荷物は税関を通ります。そして、運送業者によって宛先に配達されます。この際に、送り主は運送料その他を全て払ったつもりでも、荷物が届いてから、受け取り側が関税や手数料を請求されるケースです。送付先がお客様の場合は失礼なこととなりますので、発送者側で送付前に、運送業者に事前確認することが重要です。
◆業者選びは慎重に
「クーリエで送る」というと、国際宅配便で書類や小口貨物を海外へ緊急に配達するDoor to Doorのサービスのことを思い浮かべると思います。集荷、輸送、通関や現地での配送までをふくめて全て請け負うのが特徴で、送り先の玄関口まで短期間(数日)で配達します。その国々の事情や、クーリエ業者によってもサービスの細かいところは異なるのでご注意下さい。
さらに、国際郵便で送ることが出来ない禁制品やDVD、CD-Rなどの記録媒体を書類(DocumentまたはBusiness paper)として扱ってはいけないなどの決まりがあるので、事前に利用する業者やインターネットなどでチェックすることをお勧めいたします。
また、タイに配送後、第三者への販売を目的とした輸入を一般輸入(商業輸入)と呼び、ライセンスが必要となる場合があります。また、個人が使用する目的で海外から輸入する場合を個人輸入と呼び、こちらも関税額が変わってくるのでご注意下さい。
一番単純な心配事ですが、荷物は無事着いたのに中身が壊れていたり、割れていたりするケースももちろん起こります。業者選びは色々な面で慎重に行いましょう。
コメントを残す