п»ї 小切手のトラブル対処法 『実録!トラブルシューティング』第37回 | ニュース屋台村

小切手のトラブル対処法
『実録!トラブルシューティング』第37回

10月 28日 2016年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、小切手の換金にまつわるトラブルについてご紹介します。タイでは日本と比べ、取引の際に小切手を使うことが一般的だと言われています。そして、御社が受け取ったその小切手で、額面通りの金額を受け取ることが出来ない、いわゆる不渡りであるという可能性もないとは言えません。タイにおいては比較的よく聞くトラブルである小切手の不渡りについて、製造業A社の例を挙げてご説明します。

◆受け取った小切手が不渡りに

タイで製造業を営むA社は、通常の業務で入金・出金ともに小切手を多用しています。ある時、取引先から振り出された小切手が不渡りになり、途方に暮れてご相談にいらっしゃいました。タイでは不渡りを出しても銀行の取引停止処分にはなりません。その代わり、受け取った小切手が不渡りになった場合、受け取った側は刑事訴訟を起こすことが出来ます。

まずは、弊社の弁護士から督促状を出し、こちらが督促状で指定した日までに支払いがない場合には、警察に被害届を出します。警察が捜査を行い、容疑者を検挙、検察に送ります。そして検察が起訴を決めた際には、裁判所へと送られるという流れになります。

ところが、弊社の弁護士のもとに警察から入った連絡によると、例の不渡り小切手が刑事事件では摘発できないとのことです。なぜなのでしょうか。その小切手は確かに不渡りで、銀行からもしっかりと証明書をもらっています。警察に詳細を問い合わせたところ、「小切手の期日の時点では銀行口座内にその金額が存在したため」とのことです。

A社に再度確認をしたところ、A社が小切手を銀行に持ち込んだのは小切手の期日から数日後だったことが判明しました。その時点では口座内にお金がなかったので不渡りとなったとのことでした。警察によると、捜査によって小切手の期日にお金が払える状態にあったことが判明したため、この小切手に関しては立件できないとの結論です。

運が悪い話ですが仕方がありません。このケースでは刑事事件での起訴は諦めざるを得ませんが、民事訴訟はできますので、泣き寝入りという最悪な事態は免れることができます。

◆キャッシャーチェックを使う手も

小切手の取り扱いに慣れていない日系企業は、不渡りの恐れのないキャッシャーチェック(銀行振出小切手・現金小切手)を使うという方法もあります。キャッシャーチェックを使用すれば、その銀行が倒産しない限りは不渡りになりませんので、リスクヘッジの手段としてお勧めです。

ただし、小切手の振り出し側が銀行に現金を持っていかなければならないという手間がかかるほか、先の日付で小切手を振り出すことができないため、相手によっては快く受けてもらえない場合があるという点についてご留意ください。

◆裁判を起こす前に冷静に判断

受け取った小切手が不渡りになるような事態が起きると、だまされた!と分かった瞬間、腹が立ってまず訴訟!という気持ちになることは自然なことです。しかし、むやみやたらと裁判を起こすことは賢明ではありません。証拠が不十分で立件できなかった場合など、反対に先方から訴えられる可能性もありますので注意が必要です。

また、弁護士によっては、訴訟を起こせば収入につながるので、訴訟を勧めることもあります。この点についても冷静に判断されることをお勧めします。

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