Factory Network Asia Group
タイと中国を中心に日系・ローカル製造業向けのビジネスマッチングサービスを提供。タイと中国でものづくり商談会の開催や製造業向けフリーペーパー「FNAマガジン」を発行している。
◆エコカー市場、15年は33万台
ここ2年で、上海でもエコカーをよく目にするようになりました。今回はクルマについてのお話です。
中国のエコカー最大手のBYDが2016年の上半期決算を発表しました。純利益は22億6000万元(約354億7900万円)で前年同時期に比べて4.9倍の大増益です。
「中国のテスラ」と呼ばれることもあるBYDですが、「2003年に異業種からの参入で設立された」という点では確かに共通しています。BYDは電池メーカー、テスラはシリコンバレーのITベンチャーからの出発でした。BYDはPHV・EVを主力に、テスラはEVのみと方向性も似通っている点も上記のように呼ばれる理由の一つです。
BYDというか、エコカー事業が大きく業績を伸ばすことが出来た背景ですが、政府のエコカー支援策の強化をおいて他にない、というのが正直なところです。
中国政府は、純電動車とプラグインハイブリッド車の生産能力を20年までに200万台に、そして同年までに累計生産販売台数を500万台超に、それぞれ増やすという市場目標をかかげており、そのために様々な補助政策を実施しています。
中国ではEVとPHVのことを新エネルギー車と呼ぶのですが、新エネルギー車を販売すると、メーカーには6万5000元(約100万円)の補助金が入ります。つまり補助金の分、値段を安くできるということです。以前は300万円以上でとても一般消費者には買えなかった新エネルギー車の値段が一気に下がったことで、15年のエコカー市場は14年比の約4.4倍の33万台に増加。16年も拡大を続けています。
◆新エネルギー車補助金、20年に終了
そんな中、中国の他のメーカーも慌てて動き出しています。エコカー業界の急成長を目の当たりにした矢先、20年にこの新エネルギー車に関する補助金政策が終了することになったからです。吉利・安徽江淮などが相次いで新エネルギー車の工場を設立、BYDもEVバスの工場を新たに増設しています。
15年の統計によると、中国の自動車販売数は累計約2500万台です。20年には世界のクルマの3台に1台が中国で販売されるとも言われていますが、さて、そのうち「新エネルギー車」がどれくらいを占めるようになっているのか、とても興味深いです。(ファクトリーネットワークチャイナ 岩切廣晃)
※本コラムは、Factory Network Asia Groupが発行するFNAマガジンチャイナ 2016年10月号より転載しています。
http://www.factorynetasia.com/magazines/
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