中野靖識(なかの・やすし)
株式会社船井総合研究所上席コンサルタント。メーカーから小売業まで幅広いコンサルティングフィールドを持つ。一般消費者向けの商材を扱う企業の現場レベルでの具体的な販売手法の提案を得意とする。
コンサルティング現場で「企業としての顧客との約束」を再検討していく中では、エンドユーザーの傾向データを参考にしていくことも有効です。
最近ではブログ分析、キーワード分析などインターネットフィールドに氾濫する情報を分析する仕組みが整ってきていますので、比較的容易にできるようになりました。
例えば、日本国内のコモディティ商品の低価格化傾向が続いてはいますが、インターネット上の消費者の声を拾うと、そのような商品に対しては「〇〇でいい、〇〇で十分」という消去法的選択をしている傾向が見えます。
このことから、昨今の消費不況は景気が悪いからモノが売れないのではなく、「〇〇がいい」という積極的な選択をしてもらえるだけの商品が減少しているのではないかと考えるべきではないでしょうか。
つい先日、新型iPhoneが出ると買いたい人が数日前から並んで待っていることを見ると、積極的選択をしてもらえる製品が少ないことを示している気がしてなりません。
このことから、エンドユーザーを顧客とする場合には、彼らの先を行く強力なプロダクトアウトをしていくことを約束として定義し、それを前提とした資源配分に挑戦することを再検討していく価値があることを示しているとお考え下さい。
かつての家電業界のように「技術のソニー」が「量産の松下」に敗北した流れが、そのまま中国、韓国などとの国際競争で見られることも事実ではありますが、どちらのスタンスであっても最後まで徹底することがポイントになっているものと思われます。
顧客との約束を検討する際に確認する「事業ドメイン」は、①業務運営の卓越性②顧客との良好な信頼関係③製品のリーダーシップ――のいずれかに分類されます。
自らが選択した事業ドメインに基づき、全体の整合性を取っていくことが「顧客との約束」を再検討していく上でも重要な要素になりますし、自社が目指すべき独自固有の価値を再確認することにもつながりますので、是非チャレンジしてみて下さい。
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