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兵器輸出を認めますか
大事なことは「密室で」
『山田厚史の地球は丸くない』第256回

2月 09日 2024年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

武器は輸出しない。殺傷力のある兵器を外国に売って儲けるなんて、めっそうもない。それが、平和主義を憲法に掲げた日本のやり方だった。ところが今、急旋回している。

自民党は公明党と話をつけ、殺傷能力のある兵器を輸出できるよう法律の「運用基準」を変える、という。こんな大事なことを、国民の声が届かない「与党協議」で決めてしまっていいのか。「裏ガネ」で皆が騒いでいるうちに「日本の針路」がねじ曲げられようとしているのだ。 記事全文>>

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いつ動く政治の傍観者
激動の世界「引きこもる日本」
『山田厚史の地球は丸くない』第255回

1月 26日 2024年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

保険の不正請求でユーザーを食い物にしたビッグモーターのデタラメさは、取引先の損保ジャパンばかりか、その親会社であるSOMPOホールディングスの櫻田謙吾会長の引責辞任にまで発展した。

櫻田氏は経済同友会代表幹事を務めた論客、損保業界を代表する人物とされていた。損保ジャパンでも取締役を務め、実質的トップでありながら、「報告がなかった」「責任の取りようがない」などと逃げ回っていた。金融庁が櫻田会長を「企業統治の深刻な機能不全」を理由に詰め腹を切らせた。

不正請求するビッグモーターへの対応をことごとく誤り、自社のシェアを増やそうと他社に先駆けて契約再開に走った。損害を被る保険契約者を無視して自社の利益を優先する。そんなSOMPOグループの営業姿勢が厳しく問われた。「知らなかった」とする櫻田氏に「不都合な情報がトップに上がらない企業風土は誰に責任があるのか」と迫ったのである。 記事全文>>

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岸田文雄は首相失格
時代が政治家を選ぶ
『山田厚史の地球は丸くない』第254回

1月 12日 2024年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

元日は能登で震災が起こり、翌2日、羽田空港で旅客機と輸送機が衝突し炎上。ただならぬ時代を予感させる新年の始まり。政界では、松も明けぬうちに国会議員が裏金作りで逮捕された。

地球は地殻変動が活動期に入ったらしい。日本の政治も長期政権が自己崩壊を始めた。どうやら、明日は昨日の延長線上に描けない。時代が求める政治家の資質も変わってきた。 記事全文>>

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後がない検察に世間の喝采
裏ガネ捜査「から騒ぎ」の恐れ
『山田厚史の地球は丸くない』第253回

12月 29日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

自民党の派閥を舞台にした裏ガネ疑惑は、連日メディアを賑わしている。検察の捜査は松野博一前官房長官ら政権中枢にのび、「年明けに大物逮捕か?」などと憶測が飛び交う。果たしてそのような展開になるだろうか。事件が政治資金報告書への不記載にとどまるなら、政治家の逮捕はおろか大掛かりな起訴は困難だろう。期待ばかりが先行する中で、検察に勝算はあるのか。 記事全文>>

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私腹を肥やした安倍派議員
表裏一体 裏ガネと脱税
『山田厚史の地球は丸くない』第252回

12月 15日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

自民党で「裏ガネづくり」が露見し、政界は大混乱のまま新年になだれ込む。岸田文雄首相は安倍派の4閣僚を更迭、萩生田光一政調会長をはじめ自民党幹部の入れ替えに着手した。東京地検は「裏ガネ一覧表」を把握しているもようで、国会閉会に合わせて政治家への事情聴取を始める。派閥のパーティーを舞台に組織的になされていた裏ガネは、自民党の屋台骨を揺るがす事態に発展しそうだ。 記事全文>>

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「先憂後楽」岸田首相に欠ける資質
「道半ば」でも給与は上げる
『山田厚史の地球は丸くない』第250回

11月 10日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

お客様から預かったクルマにわざと傷をつけて修理代金を増やしていた、と問題となったビッグモーター(BM)。そんな違法行為を知りながら、他社に先駆けてBMとの保険契約を再開した損保ジャパン。契約再開を主導したのは社長だった白川儀一氏とわかり、社長を辞任。これにて一件落着かと思われたが、終わらなかった。金融庁は損保ジャパンの親会社SOMPOホールディングスに立ち入り検査に踏み切った。

「親会社の責任」が焦点となっている。なぜか? SOMPOホールディングスの櫻井謙吾グループCEO兼取締役兼代表執行役会長のワンマン体制に問題の根源がある、と金融庁は疑っている。ワンマンぶりの表れが「飛び抜けて高い」とされる櫻井氏の報酬だ。損保業界首位の東京海上HD小宮暁社長の報酬が1億7000万円程度であるのに、業界3位のトップ櫻井氏は4億7000万円(2023年度)。この「不釣り合いぶり」が業界で話題になっていた。

白川社長は親会社の意向に沿ってBMに甘い決定としたのではないか。櫻井ワンマン体制は4億7000万円の報酬に値する立派な経営をしていたのか、金融庁の検査の注目が集まっている。 記事全文>>

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「買収減税」に政権崩壊の兆し
状況に引きずられる無責任政治
『山田厚史の地球は丸くない』第249回

10月 27日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

臨時国会が始まり、岸田首相の顔を頻繁に見かけるようになった。演説も答弁も、紙を読んでいる。抑揚をつけ、句読点で区切りながら、丁寧に読むが、言葉が伝わってこない。官僚作文に頼るからか。無味乾燥なのはそれだけではなさそうだ。掲げる政策や政治の方向に岸田文雄の魂がこもっているように思えない。「こんな政策、やるつもりはなかった」というような、どこか醒(さ)めた思いが表情や口調ににじんでいる。典型が「所得税減税」だ。

これから増税が始まる、と多くの人は身構えている。防衛予算を倍増してGDP(国内総生産)の2%に引き上げる。人口減少に対処するため少子化対策に力を入れる。介護・子育ての充実、教育や職業訓練など、税金の投入先は膨らむばかりだ。財源を本気で考えるなら増税は不可避――。そんな状況の中で「所得税を減らします」というのだから、世の中にどよめきが起きた。 記事全文>>

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岸田首相のテレサ・テン
「時の流れに〜」が招いた日本の不幸
『山田厚史の地球は丸くない』第248回

10月 13日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「岸田政権、もう2年だよ」「えっ、もうそんなになったのか」

この手の会話をよく耳にする。それほど印象の薄い政権だが、やっていることは、中国を敵視する「安保政策大転換」や「原発推進へのUターン」といった未来への針路を危うくする政策だ。希薄な存在感と強面(こわもて)政策。このギャップをどう考えたらいいのか。

岸田文雄は「気配のない政治家」である。意識して「気配と消す」というほど周到とは思えない。存在感が希薄、首相という輪郭が見えないまま、透明人間のように状況に溶け込む。「気配を感じさせない政治家」と言った方がいいかもしれない。 記事全文>>

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自民党の「新しいお姫さま」
岸田首相「女性重視」の内実
『山田厚史の地球は丸くない』第246回

9月 15日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「高い実務能力と選挙対策への知見を培ってきた。こうした能力や知見を生かしていただきたい」

一瞬、冗談かと思った。岸田首相は、小渕優子氏を自民党選挙対策本部長に抜てきした理由を、記者会見でこう述べた。

選挙対策への「高い能力と知見」が小渕氏にある? 真っ先に思い浮かんだのは、ドリルで破壊されたハードディスクの一件である。 記事全文>>

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「水産物禁輸」は何の報復か?
外交を失った国の悲劇
『山田厚史の地球は丸くない』第245回

9月 01日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

原発事故から12年余、廃墟となった東京電力福島第一原子力発電所から「核汚染処理水」放出が8月24日始まった。「海を日本の下水道にするな」と警告していた中国は、態度を硬化させ「水産物の全面禁輸」に踏み切った。

野村哲郎農水大臣は「想定外の事態」と驚きを隠さず、自民党からは「WTO(世界貿易機関)に提訴すべきだ」との声も上がっている。その一方で、中国から抗議と怒りの電話が日本各地に殺到、「迷惑電話」が話題となった。メディアは「嫌がらせ」と報じ、岸田首相は「遺憾なことと言わざるをえない」と抗議。処理水放出は、是非論を超え、日中関係をますます険悪させ、反中感情を刺激している。 記事全文>>

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