記者M
新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。
第150回芥川賞・直木賞がさきごろ発表された。節目を迎えたこれら二つの賞について新聞各紙はこぞって特集を組んで紹介した。ただし、受賞作だからといって必ずしも読者の支持が高いとはいえないほか、作家の中には受賞作以外にこれといった作品が見当たらず「一発屋」みたいなところもあって、僕は関心はあるものの受賞作を直ちに読んだことはない。そして残念ながら、ずっと後になって読んでみて、期待を裏切られることも少なくない。
特に近年の受賞作は表現も内容もよく理解できないものが多く、とりわけ芥川賞については、「芸術性」なるものを重んじるあまり、ついていけないような作品が多い。文芸評論家の市川真人早稲田大学准教授は2014年1月11日付の朝日新聞紙上で、両賞について「芸術性と大衆性のせめぎあう地点にある」と解説していたが、近年の受賞作をみていると、年々その傾向は強まり、大衆性よりも(一般の読書家には理解できないような)芸術性のほうが重視されているようだ。
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