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人事政策の抜本的改革の提言(その1)
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第197回

7月 09日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

コロナ渦で世界の先進諸国との対比で経済力や技術力の劣化が顕在化してきた日本の「コロナ敗戦」。その「コロナ敗戦」から立ち直るため、前回の拙稿第196回「人事部と企画部を解体して『コロナ敗戦』から立ち上がろう」(6月18日付)で、人事部門と企画部門の撤廃を提言した。そもそも経営者の職場放棄と人事・企画両部門の自己増殖機能で、日本独自の形態で人事部と企画部が強大化してしまったのは既に論じてきたとおりである。私が勤務経験のある米国、タイとも、会社内に企画部は存在しない。また日本の影響力の強いタイでは、日本型人事制度も導入されているが、日本の会社のように人事部が人事権を持ち強大化していることはない。オーナー経営者が大半のタイ企業にあって、経営者の権限をおびやかすような組織は成立しないのである。

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「地政学」について考える(その1)
『視点を磨き、視野を広げる』第52回

7月 07日 2021年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに――国は引っ越しできない

「自由で開かれたインド太平洋」という日本発の外交構想がある。2016年に当時の安倍首相(第2次)が提唱したもので、米国をはじめ国際的な支持の広がりが見られ、日本外交の成果とされる。中国の海洋進出を念頭に置いたものであり、日本の外交戦略に地政学的視点が導入された例として知られる。

近年、国際的な緊張の高まりを背景に、地政学の「復活」が言われている。そこで、今回は地政学をテーマにしたい。地政学の説明で一番気に入っているのは――人は引っ越しできるが、国は引っ越しできないので地理的条件で国際関係を考えること(*注1)――というものだ。日本は米中ロの間に位置し、友好的な隣国はないという厳しい環境におかれている現実を直視した、地政学的思考が求められているのである。

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NHK人事案は差し替えられた 再任された「官邸の代理人」
『山田厚史の地球は丸くない』第191回

7月 02日 2021年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

NHK内部がざわついている。4月にあった役員人事で、異常事態が起きた。前田晃伸(てるのぶ)会長(82)に次ぐ高齢の実力者・板野裕爾(ゆうじ)専務理事(67)を「退任」とする人事が経営委員に出されたが、直前に取り消され、「再任」となった。毎日新聞(6月28日付朝刊)が内幕をスクープし、衝撃が走った。

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私たちはかくも長生きする社会に生きている(5、完)【連載企画:人口構成と日本経済(全5回)】
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第43回

6月 21日 2021年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

o オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

前回、就業人口と総人口のバランスを維持するには、70歳代半ばまで働く必要があると述べた。 

今回は、少し別の角度から確認してみたい。過去、日本人が一生のうちどの程度の期間を勤労に割り振っていたかを試算してみる。改めて分かるのは、今の日本人がいかに長生きする社会に生きているかだ。

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人事部と企画部を解体して「コロナ敗戦」から立ち上がろう
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第196回

6月 18日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

コロナ禍の中で世界の先進諸国との対比で日本の経済力や技術力の劣勢が顕在化してきた。名付けて「コロナ敗戦」である。人は単純明快な理屈を好む。そのため今回の日本の劣勢の原因を「新型コロナウイルス」と「デジタル力」に結び付けて語りたがる。しかしタイに住む私はかねて、日本の製品がアジア市場で徐々に存在感をなくし、中韓企業などに取って代わられているさまを目の当たりにしてきた。そしてその事実を10年近く、この「ニュース屋台村」に投稿してきた。

さらに新型コロナウイルスは日本の実力低下をいっそう加速させてしまった。人は見たくない現実から目をそらす。しかしさすがに国内にいる日本人も「コロナ敗戦」を認めざるを得ないほどの状況になってしまった。だが、その原因を「コロナ」や「デジタル力」だけに起因させるとしたら、日本は何も反省していないことになる。幾重にも複雑に絡み合った構造問題がそこに横たわっている。今回はそのうちの一つ、日本の組織・体制の在り方に焦点を当てて論じてみたい。

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「社説」に渦巻く乱気流 朝日新聞への取材てん末記
『山田厚史の地球は丸くない』第190回

6月 11日 2021年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

東京五輪に関する朝日新聞の「ダブルスタンダード(二重基準)」について前回、触れた。「中止」を主張する社説と、オフィシャルパートナー(OP)として五輪協賛を続ける経営が矛盾するという指摘は、ネットメディアを中心に広がっている。朝日の社内では「社説」に風当たりが強まっているという。改めて考えてみたい。新聞の社説とは何だろう。

私は、朝日新聞社が東京五輪の協賛企業になっている事実を確認するため、朝日の広報室に「スポンサー契約書(OP契約書)」の開示を求めた。併せて、「協賛企業になったら、言論活動に影響が出ませんか?」などの疑問を投げかけた(5月21日)。広報室から回答が来たのは5月26日。「中止」を主張する社説が出たその日だった。その後のやりとりを含め、朝日新聞の回答には、納得のいかないことが多い。新聞のあり方を考える人たちの参考になればと思い、取材経過をここに公開する。

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科学的なGAFAとコロナ敗戦国・日本
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第195回

6月 04日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

新型コロナウイルスの第一波感染が世界的に拡大していた昨年7月、京都大学iPS細胞研究所所長でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授が、NHKスペシャルの「人体VSウイルス」に出演されて「このコロナとの闘いは、人間とコロナの戦争になるかも知れません」と語っていたのを記憶している。またコロナウイルスの知見がそれほど世の中に出回っていない頃に、山中教授は既にこうしたことを述べていたのを鮮明に覚えている。併せて、「コロナと闘うためには科学的な思考方法によらなければならない」とも発言していた。私はこのNHKスペシャルを見る前に、スウェーデンの感染学者であるハンス・ロスリングの『ファクトフルネス』(日経BP、2019年1月)を読んでいた。ハンスはその著書の中で感染症の恐ろしさを説くとともに、まだその脅威が完全に克服されていないとしていた。このため私は山中教授の意見にもあまり驚かなかった。

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朝日新聞の二重基準
『山田厚史の地球は丸くない』第189回

5月 28日 2021年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

朝日新聞は5月26日、東京五輪の開催中止を求める社説を掲げた。コロナ蔓延(まんえん)、医療の逼迫(ひっぱく)、緊急事態宣言など挙げ、この夏、東京で五輪・パラリンピックを開くことは「理にかなっているとは思えない」とし、「開催の中止を決断することを菅首相に求める」と主張した。

朝日は、東京五輪に批判的な紙面を作ってきた。オピニオン面では、開催支持の意見とバランスをとりながらも開催を疑問視する識者の意見を載せ、「声」欄は「中止」を求める投稿をしばしば載せてきた。世論調査では毎月、五輪開催の賛否を聞く問いかけを続け、「中止43%」「延期40%」などと紙面化している。

読者や識者の「反対」は載せながら、新聞社としての考えである社説は慎重だった。開催まで2か月と迫り、国際オリンピック委員会(IOC)が「緊急事態宣言が出ても開催する」という姿勢を見せる事態になり、ついに「中止」を表明した。

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70歳まで働く社会が必要な理由(4)【連載企画:人口構成と日本経済(全5回)】
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第42回

5月 26日 2021年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

o オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

生産年齢人口(15~64歳)の減少は、経済活動を供給面から制約する。今後就労人口が減っていけば、プラス成長の維持も容易でなくなる。人口が減少する社会では、やむをえない。

「実質経済成長率」のプラス、マイナスよりも、今後は国民の豊かさを表す「国民1人当たりの実質経済成長率」を維持することの方が重要になる。「1人当たり」ならば、分子と分母が同時に減るので、一見すると問題ないようにみえる。

しかし、そうではない。生産年齢人口が、総人口を上回るスピードで減少する。少ない人口で生み出すパイを、多くの人口で分かち合わねばならない。1人の取り分が減る。「国民1人当たりの実質経済成長率」も低下する可能性が高い。

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GAFAの知恵、日本の企業経営者はその経営手法を勉強しよう
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第194回

5月 21日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

GAFAとはIT業界に君臨する米国の四つの巨大企業グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の頭文字を取って名付けられた4社の総称である。いまや私たち日本人はこれら4社のサービスなしで生きていくことは考えられない。それほどにこの4社のサービスは私たちの生活の奥底に入り込んでいる。また昨年来、新型コロナウィルスが世界中に蔓延(まんえん)してからは、この4社はますます好調のようである。コロナ禍でこれら4社の業績は伸長しており、旧常態に生きる企業とは対照的な様相を見せている。しかし、これら4社の業績好調の理由は「IT企業だから」というだけでは決してない。その好調な業績の背後で、彼らは極めて科学的で合理的な「勝ちゲーム」を展開しているのである。

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