山口行治(やまぐち・ゆきはる)
株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニングを実装して、ビジネス応用を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長(臨床試験データベースシステム管理、データマネジメント、統計解析)。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
『みんなで機械学習』は、第9回を最後に1年ほど中断してしまった。その1年の間に、世界が政治経済的に分断され、ビジネス環境が大きく変化している。第9回の「ビジネス関連特許の9画面表現モデル」は、筆者が40年以上考え続けているデータ論としては、ひとつの到達地点だったと思う。西欧哲学的な、真・偽、敵・味方、など2項対立の論理はとても強力で、データの統計解析においても、2×2分割表などの形で様々に利用されている。こういった単純な古典論理が有用であることは疑いない。しかし、自然や社会のデータが、古典論理に従っている、古典論理で理解できるというのは単純すぎるし、量子力学などの複素数でしか記述できない現象には、古典論理では無力としか言いようがない。「9画面表現モデル」は、3×3分割表のように見えるけれども、中心となる特異点の周りをまわる「廻(まわ)る論理」を表現している。すなわち、データ論を「表現論」として再構築しようという試みだ。 記事全文>>