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「ことば」から考える、ふたつの処方箋
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第89回

9月 30日 2016年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)


コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など経て現職。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆歌、心、詩――

旧約聖書の「詩篇」を意味する英語の「サーム」(Psalm)なる名前の男性コーラスグループがいる。早稲田大出身のゴスペルグループ、ゴスペラーズの後輩4人組で、リーダーの濱野崇さんは「最初のPを読まない英語の名称を付けるなんて、売れるつもりあるの?」などと周囲に言われたと笑うが、メジャーデビューを果たし、東京都国分寺市で自らが経営するライブハウスを拠点としながら、全国のツアーも観客を確実に動員する人気を得ている。言葉を大切にするスタイルで、その思いを共有し、10月から濱野さんと私は、心の問題に向き合うラジオを全国にお届けすることになった。

詩編は、ユダヤ教では「テヒリーム」(賛美)と言い、讃美歌をも意味する。ギリシャ語では「心を動かすもの」という意味になり、これを由来として詩編を英語では「サーム」(Psalm)。歌、心、詩――これらのキーワードと私が進める「ケアメディア」のエンターテインメント分野の派生系として合致し、濱野さんと私は求道者として、ともに考え、語り、それを、ラジオを通じて発信していく同志となった。
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「まとも」とずれたやりとりに福祉の本質を見いだす
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第88回

9月 09日 2016年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)


 コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など経て現職。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆居心地の悪い言葉

9月4日に東京都渋谷区のレック渋谷駅前校で行われたケアメディアフォーラムは、コーディネーター役の筆者が言うのも自画自賛になってしまうのだが「痛快」であった。後半のシンポジウムで登壇していただいた保健学博士で精神保健士の松岡恵子さんとのやりとりは、一語一語が常識を打ち破る内容を含み、私の「まとも」な質問に対しても、松岡さんなりの、その言葉への居心地の悪さを微妙に表現しながら、その正直さに感心させられ、ソーシャルワーカーとしての、新境地のようなスタンスを提示していた。

「提示」とは言ったものの、松岡さんは、松岡さんのままで、着飾ることなく、終始自然のままだった。その存在自体が「ケアメディア」を考える際のヒントになっていくであろう、と考え、こうして言ってしまうのも、やはり私目線の勝手な解釈である。
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ソーシャルワーカーは誰でもなれる
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第87回

8月 26日 2016年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)


コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など経て現職。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆言葉の応酬

ソーシャルワーカーとして生きる―。そんなタイトルで行われる「ケアメディアフォーラム」が9月4日に東京・渋谷のレック渋谷本校で行われる。ソーシャルワーカーを目指す人の門戸を広げ、気楽に支援する活動を始めてほしい、というメッセージを伝えるのが趣旨で、コーディネーター役を仰せつかっている者として、さて、どんな形でソーシャルワーカーの仕事の素晴らしさを伝えようかと頭を悩ませている。

気軽さ、で言えば、私自身何の資格もないまま、思いを行動に移し、それを続けることで、結果的に就労移行支援事業所を運営したり、ケアメディアなる媒体を発刊するに至ったりしているから、誰でも、今すぐ、始められる、ことを強調したいと考えている。
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8月ジャーナリズム、手を抜かずにニュース目指せ
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第86回

8月 19日 2016年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)


コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など経て現職。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆忙しい8月

日本の8月は忙しい。厳かに迎えるべき広島と長崎の原爆の日や終戦記念日、お盆があるかと思えば、日々のドラマに一喜一憂してしまう夏の高校野球に、地域の夏祭りはピークを迎える。

ポスターには花火大会と盆踊りの告知が並び、それを楽しみにする子供がいる。地域行事として、その日に向けてせっせと準備するコミュニティーの人にとれば、身近な活動として生きがいでもあるだろう。今年からは8月11日に国民の祝日として「山の日」が制定されたから、なおさらに日々の感情は日替わりの様相となった。
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相模原で「亡くなった事実」で、追悼することから始めてみる
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第85回

8月 05日 2016年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)


コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆奪われた幸せ

神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者19人が殺害された事件で、亡くなった方々を心から追悼することを考えてみる。

それは、就労移行支援事業所という福祉施設で知的、身体、精神の各障害者とともに未来を描く活動を日々している立場として、そして、メディア出身者の視点から「人の心に向き合う」行動を促す「ケアメディア」の概念化を進めている立場として、さらに1人の市民として、の追悼である。
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やっぱり都知事選でも「語れない」、障がい者政策
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第84回

7月 22日 2016年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

『ジャーナリスティックなやさしい未来』.jpg
 コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆失望はしないが

東京都知事選の投開票日が7月31日に迫る中で、各候補者の口から、またそれぞれの情報発信から伝わってこない問題がある。それが障がい者政策である。今回の候補者はほとんどが障がい者問題の専門家ではないのだから、障がい者政策を期待していたわけではない。そもそも、候補者は現状が分かっていないはずで、現状が分かっていないことは候補者の問題ではなく、社会の問題である。

だから失望もないのだが、これを繰り返して、自治体が対策をとらないままでいるのではよくないとも思う。待機児童の問題は、保育園に落ちた子どもの関係者が「日本死ね」とブログに記し、ソーシャルメディアで拡散し、国会で取り上げられ、メディアも報道したことで、待機児童問題は当事者の問題から、広く世間が共有するべき問題となった。
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イタリアでできて、日本でできない精神保健の問題
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第83回

7月 15日 2016年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆「人生ここにあり」

精神保健の世界に身を置いてみると、社会保障制度の不備、という現実的な問題がつまびらかに見えるようになると同時に、その背景を考えると、一般社会で精神保健に対する理解が広がっていないという「社会の質」のような問題に直面する。どうしたらよいのか、と一般の方々が受け入れやすい切り口を探してみるが、同じ問題意識を持つ仲間もあれやこれやと頭をひねっても社会への決定打はなかなか難しい。

その中にあって、イタリア映画「人生ここにあり」(2008年)は切り口としてはかなり切れ味のある内容だ。
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人の心に向かい合う情報誌「ケアメディア」創刊します
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第82回

7月 01日 2016年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャローム所沢施設長。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆疾患者と社会の媒介

メディアは人を癒やせるのか?の問いへの答えを探す研究をしている私の実践として、7月にA4版全12ページの情報誌「ケアメディア」を創刊する。精神疾患者を支援する就労移行支援事業所や精神科系の医療機関や各支援機関を通じて当事者や関係者、家族に向けて届けつつ、最終的には社会全体に向けて精神疾患者と社会の媒介役=メディア=になるのが目標だ。季刊発行で初回は1万部。年間で5万部を発行する予定である。

「ケアメディア」のコンセプトは、研究アプローチで概念化を追求している最中ではあるが、3月に「ケアメディア推進プロジェクト」を立ち上げ、テーマ曲として「明日へ」(歌唱:奈月れい)を全国リリース。歌手の奈月さんもライブや自らのラジオ番組のほか、就労移行支援事業所でのミニライブなど、ソフトコンテンツから普及活動を始めている。
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舛添都知事の「肝いり」障がい者雇用政策の向かう先
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第81回

6月 17日 2016年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャローム所沢施設長。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆3つの施策検証

政治資金の公私混同疑惑で釈明や陳謝に追われた舛添要一・東京都知事は、政治家は身を正すべきだという世論の前に結局は辞職に追い込まれた。しかし、新たな知事を選ぶ選挙の費用という公費支出にも納得いかない都民も多い。

政治資金の使途については、私自身も問題の深刻さを指摘しつつ、関係者からは厚労相時代の仕事を評価する声もある。特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所の上昌弘(かみ・まさひろ)理事長は、医師不足解消に向けて既得権者の医師会や厚労省と対峙(たいじ)しながら取り組んだ手腕を高く評価し、ネットメディアで主張を展開している。
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「新しい判断」は政治ではなく、いじめの温床
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第80回

6月 10日 2016年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャローム所沢施設長。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆「新しい判断」とは

安倍晋三首相が消費税率10パーセントへの引き上げを2年半再延期する決定を「これまでとは異なる新たな判断」という説明をどう解釈すればよいのだろうか。1年半前に増税延期を説明した際には「再び延期することはないと断言いたします」の約束への説明を避けて、判断の問題とするトップリーダーの見識を、どう受け入れればいいのだろう。

「新しい判断」とは、弁証法の中で語られるものだと考えてきたが、今回はそうではないらしい。批判に終始したくないとの思いを深めれば深めるほど、戸惑いは消えない。
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