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「侵略戦争」の否定とメディアの検証
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第42回

3月 20日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

 コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆訂正記事から

新聞社の訂正記事から話を展開するのはいささか気が引ける思いではあるが、3月15日付朝日新聞の訂正記事はそれ自体が大事な問題を内包しているので、まずは、訂正文をそのまま引用する。

14日付「北岡氏『侵略戦争』70年談話有識者懇で認識」の記事で、見出しのほか、本文中に北岡伸一・国際大学長が先の大戦について示した認識が「侵略戦争であった」とある部分は、「歴史学的には侵略だ」の誤りでした。懇談会の終了後、記者団の取材に応じた北岡氏は先の大戦について「私はもちろん侵略だと思っている。歴史学的には」と答えていましたが、「侵略戦争」という表現は用いませんでした。確認が不十分でした。訂正しておわびします。(以上引用終わり)
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人を助けるコミュニケーション
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第41回

3月 13日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

 コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆関わり合いで生きている

 人は関わり合いの中で生きている、ということは誰もが分かっているはずだが、とかく忘れてしまいがちだから、私がセミナーなどで話をする際には、実感を伴う事例を紹介して「この世は関わり合いである」ことを強調し、その上でコミュニケーションの話を展開している。

原始社会であろうがテクノロジー社会であろうが、関わり合いこそがコミュニケーションであり、コミュニケーションは関わり合いである。「人を助ける」と書いてしまうと、自殺志願者の駆け込み相談である「いのちの電話」や、心理療法士の傾聴などの、少々「重い」コミュニケーションを連想してしまいそうだが、これらは「手段」であり、目的は「関わり合い」から自分の生命を肯定することである。
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人を大切にするコミュニケーション、人を思いやるコミュニケーション
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第40回

3月 06日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

 コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆人質の命を守るのは

前々回の「人を幸せにするコミュニケーション」に続き、今回は「人を大切にするコミュニケーション」だが、次に続く「人を思いやるコミュニケーション」までを同時に展開したい。それは最近の過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)による日本人人質殺害を受けての私なりの反応でもある。

まずは、「人を大切にする」ということは、人存在そのものを尊重し、生きているその人の命を生かすための行動が、いわば自分が生きている証しとする考えである。そして、「人を思いやる」は、その生きている人の「思い」や感情を慮(おもんぱか)ったり、察知したり、想像したりして、人の心に向き合う姿勢から発した心持ちだと考えている。
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3月の決意、行き届かない支援は続く
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第39回

2月 27日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

 コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆当事者の声

今年も3月がやってくる。2011年3月11日以来、3月は特別な月として記憶に刻まれた私の気分は落ち着かなくなる。ボランティアとして様々な支援活動を積み重ねてきて、人の悲しみに接したり、勇気づけられたりしながら、失敗も繰り返してきて、迎える4年目。

先日、うれしい報告があった。3月14日~18日に仙台市で開催される国連防災世界会議の一環で開催されるシンポジウム「多様性と災害対応」の中で、支援を続けてきた宮城県気仙沼市本吉町の知的障がい者の母のグループ「本吉(もとよし)絆つながりたい」が、「震災と障がい者」をテーマに発表することになったという。
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人を幸せにするコミュニケーション
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第38回

2月 20日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

 コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆不幸せは自殺で

 前回、「人を幸せにするコミュニケーション、人を大切にするコミュニケーション、人を思いやるコミュニケーション、人を助けるコミュニケーション、人を守るコミュニケーション、人を活かすコミュニケーション、人を育むコミュニケーション、人が生きるコミュニケーション」はそれぞれで「人を」から「自分を」に置き換えて考え、その各論を展開していくと書いた。

そして、今回から書こうと、最初の「幸せにする」コミュニケーションについて考えたが、その基本である「幸せ」についての説明は難しい。幸せの概念が固定できず、幸せは主観によって変わるから、幸せとは何か、と問われた時、欲望を満たすこと、と言えるかもしれないし、もっと大事な答えがあるかもしれないから、その先で彷徨(さまよ)ってしまう。
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年明けはコミュニケーションとともに
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第37回

2月 13日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

 コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆初詣の列

 引っ越し先の家屋のアンテナ不備なのか、引っ越した年末以来、テレビが映らない。年末年始の騒々しい番組を見ることもないので、そのままにしておき、新たな街の空気を楽しむことにした。テレビとともに心の雑音が消えたようで心地が良い。そして年が明けて近所の神社に元朝参りにいくと、夜店もない静かな佇(たたず)まいの、普段は通り過ぎてしまうような神社なのに、長蛇の列になっている。

よく見ると、お宮前で1人か2人ずつ、木の棒の先に折った白い紙を束ねた祓具(はらえぐ)を左右に振り、お祓(はら)いを施している。地元自治会の方々が参拝者に祓具でのお祓いとお神酒(みき)を授けるのが、この神社の仕来(しきた)りらしい。寒空の中、人は静かに列をなし、この仕来りに従う。
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異質は笑えても、排除すべきではなく
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第36回

1月 30日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

 コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆「怖い」感覚

仏新聞社「シャルリー・エブド」へのイスラム教過激派によるテロ事件以降、ベルギーでの過激派の一斉摘発など波紋は世界に広がり、悲しみの感情は怒り、憎悪そして新たな戦いへと結びつきそうで、怖い。これは9・11米中枢同時テロから発するその後の連戦を想像すれば簡単に、その麻痺(まひ)した感覚で殺戮(さつりく)が展開されるという行方を案じることが出来るから、警告を発する識者も多い。

それでも、異質な存在を力で抑えつけよう、または排除しようという傾向に歯止めがかけられないという悲観的な見方も多い。社会を安定化させようという政治システム自体が間違った方向へ作動してしまいそうだという嘆かわしい結論に行きついてしまう情勢である。
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不信から共感へ 覚悟を持って等身大で
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第35回

1月 23日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆読者とフラットに

マスメディアが気になる。ジャーナリズムが心配になる。自分を育ててくれた世界だからこその親近感から、不信に取り囲まれる最近の動向にヒヤヒヤする心持ちになってしまう。そんな心持ちで、昨年「出直し」を迫られた新年の朝日新聞の紙面を広げた。そして、「んっ」と目を見張ったポイントがある。それは朝日新聞としての決心なのか、編集としての当面の方針なのか、と考えさせられている。

昨年、「ペヤングソースやきそば」に異物が混入していたというネット上での情報は、瞬く間に拡散し、製造元の食品メーカー「まるか食品」を出荷停止、生産停止に追い込んだ。朝日新聞の誤報は、食品で言えば、安全の根幹を揺るがす出来事だが、生産停止にあたる発行停止は社会の公器としての役割の放棄になるから、それだけは出来ない。
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コルビュジエの思い、小さなハードウエア
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第34回

1月 16日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆丘から川へ

昨年のクリスマス前日に引っ越しをした。横浜市と川崎市のちょうど境目を走る丘陵地に位置する住宅街から東京東部の東京湾に流れ込むいくつかの河川が交差する入り江の地域への移動。丘から川へ。

なだらかな丘にしたがって居並ぶ住宅と畑地から静かに揺蕩(たゆた)う船舶が並び堤防脇から住宅が小さく肩を寄せ合ってたたずむ街へと、見える風景ががらっと変わった。そして、住まいも東京の地価を反映して坪単価が上昇した分、専有面積が減った。
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3つの「しこう」と、小さな生活に向けて
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第33回

1月 09日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆おかしくないか

午後8時過ぎの東京都渋谷区にある百貨店の地下食品売り場。閉店のアナウンスにせかされるように急ぎ足で買い物を終えた客が、店員の丁寧なお辞儀で送り出されると、店内では警報のようなブザーが鳴る。

営業時間のトーンとは違うその音がフロアに響き渡ると、きらびやかなそれぞれのショーケースの前には大きなゴミ袋がドッカと置かれる。袋の中には、数分前まできれいな照明に照らし出され、客から指名されるのを待ち続けたショートケーキやロールケーキ、豪華なアントルメらが、ぐしゃぐしゃに崩されて詰め込まれている。
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