引地達也(ひきち・たつや)
コミュニケーション基礎研究会代表。仙台市出身。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP(東京)、トリトングローブ株式会社(仙台)設立。東日本大震災直後から被災者と支援者を結ぶ活動「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。企業や人を活性化するプログラム「心技体アカデミー」主宰としても、人や企業の生きがい、働きがいを提供している。
◆壁を意識する
本稿第27回で期待を寄せた村上春樹氏のノーベル賞受賞は、今年も、ならなかった。2009年のスピーチ「壁と卵」でイスラエルによるパレスチナ政策への批判の影響だろうか。想像の域を出ないが、純粋に文学を評価してほしいと願いつつ、すでに村上春樹そのものが強い影響力を持って世界へ普遍的なメッセージを投じられるから、やはりそこには政治が動いてしまうのだろう。
石破茂・地方創生相が先日、閣議前に安倍晋三首相に、平和賞をめぐり「政治的ですね」と話しかけたことが話題になったが、純粋なサイエンス分野の研究とは違い、文学も平和も人の心の価値観が左右する賞だから、当然、それは人が為(な)す政治的な動きなのだと思う。言うまでもなく。
記事全文>>