Factory Network Asia Group
タイと中国を中心に日系・ローカル製造業向けのビジネスマッチングサービスを提供。タイと中国でものづくり商談会の開催や製造業向けフリーペーパー「FNAマガジン」を発行している。
中国汽車工業協会(CAAM)によると、2018年の新車販売台数は前年比2.8%減の2808万600台と、28年ぶりに前年割れした。その流れは年が明けても変わらず、1月の販売台数は前年同月比15.8%減の237万台だった。中国の景気減速を印象付ける結果となったが、一方で市場が拡大している分野もある。それは中古車市場だ。
前瞻産業研究院によると、18年の中古車販売台数は前年比11.5%増の1382万1900台だった。新車販売台数の半分に迫ろうかという勢いである。車種別に見てみると、セダンが前年比11.6%増の882万2000台、小型多目的スポーツ車(SUV)が30.8%増の113万5600台、小型多目的車(MPV)が8%増の78万1900台と、新車同様SUVに人気が集まっている(注=本文中の図表は、その該当するところを一度クリックすると「image」画面が出ますので、さらにそれをもう一度クリックすると、大きく鮮明なものを見ることができます)。
自動車に限らないが、中古市場で活況なのがオンラインの世界だ。調査会社・艾媒諮詢(iiMedia Research)が発表した「2018上半期中国オンライン中古取引市場観察レポート」によると、17年にオンラインで中古品取引をしたユーザー数は前年比55.1%増の7600万人で、18年には1億人を超えると予測している。中央財経大学のシンクタンク・中国互聯網経済研究院によると、市場は毎年30%以上の伸び率で成長し、17年の市場規模は5000億元(約8兆2500万円)。20年には1億元(約16億5000億円)まで拡大すると予測する。
市場の拡大にともないプレイヤーの数も増え、同研究院によると、約200ものプラットフォームが存在する。18年第3四半期のアプリのダウンロード回数は5288万回の「轉轉(Zhuanzhuan)」が1位で、4596.3万回の「閑魚(Xianyu)」が2位。轉轉は58集団が15年11月にローンチしたアプリで、17年4月には騰訊(テンセント)が2億米ドル(約222億8000万円)を出資している。一方閑魚は、アリババグループ(阿里巴巴集団)傘下のタオバオ(淘宝网)が14年7月にローンチしたプラットフォームで、いずれもメルカリのようなCtoC 向けだ。
ただジャンル別にみると、自動車を扱うプラットフォームが圧倒的に多い。速途研究院によると、104のプラットフォームが存在するという。『界面新聞』によると、中古車プラットフォームの浸透率1位は「瓜子二手車」で、2位が「優信二手車」。以下「人人車二手車」、「淘車二手車」「二手車之家」と続く。プレイヤーが乱立するなかで競争は激化し、各社が資金調達に奔走している。瓜子二手車はこれまでに33億245万米ドル(約3632億7000万円)の融資を獲得。テンセントも出資している。人人車は7億6000万ドル(約836億円)の融資を獲得。配車アプリ大手の滴滴出行も出資。多くの大手IT企業が目をつけている業界だ。ただし、人人車は経営不振も伝えられている。中古車プラットフォームは過当競争気味なので、やがて淘汰される時がくるだろう。
◆海外メーカー製が上位を独占
中古車で人気なのは海外メーカーだ。中商産業研究院によると、18年7月のEコマースによるブランド別中古車販売台数は、フォルクスワーゲンが20万2430台でダントツの1位。以下14万3858台のホンダ、13万3858台のトヨタ、8万5709台のビュイック、7万5684台のアウディ、7万5588台の日産と続き。日独米が独占している。日本車の人気も高いが、製品に対する信頼の表れだろう。
中古車市場がこのままの勢いを保てるかは不透明だ。しかし、中国では昨年「消費降級」という言葉が話題になった。即席麺やザーサイを生産しているメーカーの業績が好調だったことから話題になった言葉だが、景気減速を受け消費の質を落とすという、いわば節約志向であり、中古車という選択はまさにそれに該当する。特に中古車を購入するのは比較的若い世代に多い。「天天拍車」によると、18年9月に同社を利用して購入したユーザーは「80後」が56%を占め、「90後」も17%を占めている。自動車市場の動向を示す指標の一つとして、中古車市場にも注目したい。
※本コラムは、Factory Network Asia Groupが発行するFNAマガジンチャイナ2019年4月号より転載しています。
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