引地達也(ひきち・たつや)
法定外シャローム大学学長、一般財団法人福祉教育支援協会専務理事・上席研究員(就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括・ケアメディア推進プロジェクト代表)。コミュニケーション基礎研究会代表。精神科系ポータルサイト「サイキュレ」編集委員。一般社団法人日本不動産仲裁機構上席研究員、法定外見晴台学園大学客員教授。
◆遠隔結んでの講義
障がい者をはじめとする特別支援な方々への「学び」の場として機能しようと2019年度開学する法定外シャローム大学は2月6日に初めての入学試験を終えた。論文試験と面接試験で入学試験を実施したが、論文のテーマは「シャローム大学で学びたいこと」で、そこに書かれていた学びへの渇望は、読む側の心も熱くする思いが綴(つづ)られており、私も身の引き締まる思いがした。
学ぼうとする意志は強いほど、それは純粋で美しくもある。それを受け止める側として、確実に準備を進めなければいけない。その準備の一つとして進めているのが、名古屋と新潟を結んでの遠隔講義である。インターネットのテレビ会議システムを使って、名古屋市の法定外見晴台学園大学、新潟市のKINGOカレッジ新潟を結んで水曜日午前に行われる授業だ。
◆開学前から動き活発
見晴台学園大学は私が客員教授をしている関係で、本コラムでもたびたび登場しているので、今回はKINGOカレッジ新潟を紹介したい。同校は、法定外シャローム大学と同じく2019年4月に開学予定で、株式会社ノザワコーポレーションが運営する北陸地域では初めての福祉型専攻科である。
同社役員の子息が特別支援学校に通う男子学生であることから卒業後の進路を考え、自らが「福祉型専攻科」を作ろうと行動し設立に向けた取り組みが始まった。私自身、この両親と開学準備を進めるスタッフとの交流で、「福祉事業は始めて右も左もわからない」と言いつつも、その緊張感とこれまで企業に従事していた感覚により、事業を作り上げる意識が強く、「福祉」の動きよりは、無駄がなく的確な印象を受けている。
特に開学前にもかかわらす、存在を知ってもらうためのオープン授業や啓もう活動としてのシンポジウム開催は活発だ。地域に根差す専攻科として基礎を構築中であり、キャンパスは新潟駅近くの新潟国際情報大学の中で、地域の高等教育機関との連携も確実である。
2018年に開催しているイベントは、KINGOカレッジを知ってもらうための取り組みのシリーズとして「チャレンジ講座」を開催した。開校前最後のチャレンジ講座は12月28日に開催され、26名の受講生と8名の大学生ボランティアが参加し大運動会を行ったという。スクエアカーリング、バラエティー、借り物レース、パン食いレースなどの競技でそれぞれのペースで楽しんでいるとの報告があった。
◆よい交流で仲間増やす
また2018年11月11日に開催されたシンポジウムは「高等部卒業後の学びについて考えるシンポジウム」と題し、キャンパスのある新潟国際情報大学の新潟中央キャンパスで行われ、「障害のある人のための教育と福祉制度の概要」についての講演、「自立訓練事業所等での取り組みについて」の二つの報告、現状の課題については6人の専門家や実践者によるパネルディスカッションが行われた。この模様は地元紙、新潟日報が取り上げるなどし、地域でも注目を集めている。
KINGOカレッジの取り組みは着実に地域に根差し始めている様子で、このやる気に私も共に歩んでいきたいと思い、遠隔授業はその形として期待している。
よい交流、よい講義ができれば、きっと仲間は増えるはずだ。それを一緒に信じられる仲間として、これから取り組んでいきたい。
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