п»ї 多岐にわたる共生社会に向けての議論を絶やさず行うこと 『ジャーナリスティックなやさしい未来』第195回 | ニュース屋台村

多岐にわたる共生社会に向けての議論を絶やさず行うこと
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第195回

8月 19日 2020年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆ダイジェスト動画公開

今年2月14日に文部科学省との主催、東京大学との共催で行われた「共生社会コンファレンス」のダイジェスト動画が公開された。

「文部科学省主催『共に学び、生きる共生社会コンファレンスin関東甲信越ブロック~障害理解の促進、障害者の学びの場の担い手の育成、生涯にわたる学びの場の拡充に向けて~』」ダイジェスト

新型コロナウイルスの影響におびえつつ、集合型で開催にこぎつけたコンファレンスだが、その後のコロナ禍により、学んだこと共有したことのアフターフォローが出来ないまま時が過ぎた。始まった議論の熱が冷めないうちに次の一手を、という思いは、いつしか出された論点を深く熟考する時間となって、2月の直後よりも熟成された見解も湧き出てきている。

この熟慮した「障がい者の学び」を今年度の取り組みに生かしていきたいと考えつつ行動し、今年度のコンファレンスも主催する立場として議論が始まった。

◆健常を超えた学び

今年のコンファレンスの開催前、メインのシンポジウムのタイトル設定で議論になったことはすでにこのコラムで記した通りだが、コーディネーターの津田英二・神戸大教授、発言者の牧野篤・東京大教授、星加良司・東京大准教授、そして私の中でそれぞれの立場からの言葉と見解が示され、文科省の政策的な方向性と整合性を確認しつつ「障害者発・新しい学びの提起―『健常者』中心の学びを超えて」となった。

このコンファレンスの参加呼びかけのために、私は関東甲信越ブロックのすべての都県教育委員会の担当者を訪問し、直接開催の意義とシンポジウムに込められた思いを伝え、そこから始まった各自治体の担当者との議論はどこも興味深いものになった。ここに言葉を交わすことの大切さを実感し、今年度の事業ではコンファレンスのアフターケアとして「研究会」を実施しようとの発想にいたった。

健常者を超えるところに新しい「学び」の世界がある――。

昨年度のコンファレンスはそんな思いで締めくくったものの、社会は放っておくと障がい者を分断化した世界に閉じ込め、こちらとあちらを分けようとする。テレワークが推奨される中では、関連の機器の使用が苦手だったり、その機器が手に入らなかったりして「情報弱者」になる可能性のある方はおいてけぼりだ。

コンファレンスの分科会では「社会教育が取り組む生涯学習支援」「『高等』教育におけるインクルージョン」「カフェを介した『共生の学び』の実践」「エンパワーメントに向けた学びのアウトリーチ」「当事者研究がもたらす学び」が議論されたが、各項目は社会の中でメジャーではなく周縁に置かれた存在だから、ここで生まれた声を社会の真ん中に近づけることで、必要な社会保障を充実させる社会資源になるはずだ。

◆議論を止めない

宇沢弘文氏の『社会的共通資本』(岩波新書)は「一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置」を意味しているが、分科会のテーマが「すぐれた文化」「人間的に魅力」に必須の項目であるとの認識に立つと、なおさらに、始まったそれぞれの議論を止めてはならない、と思う。

まずは来年1月に予定されるコンファレンスを前に2月実施のコンファレンスを受けての「研究会」を、首都圏を発信元として、全国とをつないで実施したい。昨年、オープンキャンパスを開催した長野県佐久市と静岡県伊東市の関係者とも実践の継続をお願いしながら、この研究の中でもつながり続けたい。

実践と議論を共有し言葉を交わし続け、声を言葉にしながら、今年度のコンファンスには成長した言葉と障がい者の学びの形を示したいと考えている。

■学びで君が花開く! 支援が必要な方の学びの場、みんなの大学校

http://www.minnano-college-of-liberalarts.net

■精神科ポータルサイト「サイキュレ」コラム

http://psycure.jp/column/8/

■ケアメディア推進プロジェクト

http://www.caremedia.link

■引地達也のブログ

http://plaza.rakuten.co.jp/kesennumasen/

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