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広島県および瀬戸内の観光振興―「小澤塾」塾生の提言
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第142回

4月 26日 2019年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住21年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

バンコック銀行日系企業部では、日本とタイを結ぶ新たな産業の振興や育成を目指して五つの部会を設けている。それぞれの部会とも業種は異なりながらも、定期的に専門家の方たちに集まっていただき、その目的である産業育成に寄与する提言を行ってきている。今回は広島県ならびに瀬戸内エリアに焦点を絞り、「観光部会」で議論してきた内容を具体化したプランをご紹介したい。

1.広島県の概要

広島都市圏と備後都市圏を中心に、自動車産業、造船産業などの製造業が盛ん。県庁所在地の広島市は中国・四国地方最大の都市であり、政令指定都市に指定されている。一方で海・山の豊富な自然にも恵まれ、農業・漁業も盛んである。
人口288万4千人(全国12位、2015年総務省「国税調査」)、面積8,480k㎡(全国11位、2017年国土交通省「全国都道府県市区町村別面積調」)、県民所得8兆9,100億円(全国12位、内閣府「国民経済計算」)、製造品出荷額等9兆9千415億円(全国9位、2016年経済産業省「工業統計調査」)、養殖業収穫量9万9700トン(全国3位、2017年農林水産省「漁業・養殖業生産統計」)など、日本有数のものづくり県であり、人口、経済規模ともに全国上位である。

2.広島県および瀬戸内の観光

(1)広島県の観光
一方、広島県の観光産業、特に地方活性化のカギを握るインバウンド需要の取り込みという点においては、外国人1人当たり旅行消費単価、外国人延べ宿泊者数とも全国中位に甘んじている。厳島神社、原爆ドームという二つの世界遺産を有していながら、広島県はその観光資源を最大限生かしきれていない現状がうかがえる。
訪日外国人1人当たり旅行消費単価

 

 

 

 

外国人延べ宿泊者数 ※従業員10人以上の宿泊施設

 

 

 

(2)せとうちの観光
次に、広島県の属するせとうちの観光産業の状況を見ていく。各県(岡山県、山口県、愛媛県、香川県)とも消費単価、宿泊者数で全国中位あるいは下位にとどまっており、せとうちは外国人観光客の取り込みに最も苦戦している地域の一つであると言える。
(万人) 地方別外国人延べ宿泊者数   ※従業員10人以上の宿泊施設

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」

訪日外国人1人当たり旅行消費単価  外国人延べ宿泊者数 ※従業員10人以上の宿泊施設

 

 

(3)課題
広島県の厳島神社、岡山県の倉敷美観地区、愛媛県の道後温泉など、せとうちには全国的な知名度も高く魅力的な観光資源があるにもかかわらず、旅行消費につながっていない。この最大の要因は、①点在する域内観光資源を繋ぐ観光動線が確立されていないため、訪れた観光客が他の地域へ移動してしまい宿泊者の獲得につながっていない②訪日外国人それぞれの国の嗜好(しこう)に合わせたプロモーションが出来ていない――と考えられる。
次章では、観光客を囲い込むための施策として、広島空港を起点・終点とし、せとうち各県の観光資源を繋ぐ周遊型・長期滞在型のタイ人向け観光プランを提言したい。

3.観光プランの提言

(1)レンタカーによるせとうち周遊プラン
・レンタカーを借り、せとうち各県の観光名所を巡る。各県の代表的な観光地を網羅したプラン。本州から四国へはフェリーで、四国から本州へは瀬戸大橋を通る。
移動ルート:広島空港→広島市内→宮島→岩国市→秋吉台→下松市→松山市→高松市→さぬ
き市→倉敷市→広島空港(移動総距離:約820km)

◆1日目:広島県

・広島空港到着後、レンタカーにて広島市内へ移動。原爆ドーム、厳島神社と二つの世界遺産および広島市内を観光、宮島を散策したのち広島市内で夕食、宿泊
<見る・体験する>
・原爆ドーム:世界遺産。被爆当時の惨状を残す姿が「ノーモア・ヒロシマ」の象徴として時代を超えて核兵器の廃絶と恒久平和の大切さを世界へ訴えるシンボル
・宮島、厳島神社:世界遺産。海上に立つ厳島神社の美しい社殿は荘厳で、日本の歴史・文化を肌で感じることができる。島内は「厳島神社」だけでなく、「大聖院」や「千畳閣(豊国神社)」など歴史的な見どころも多数
<食べる>
・広島風お好み焼き:県民のソウルフード。薄く伸ばした生地に、キャベツ、豚肉、そばや卵を層になるよう重ねて焼き上げるのが特徴
・広島県産カキ:広島県はカキの養殖生産量日本一。小ぶりながらぎゅっと濃縮されたうまみが特徴。生食や蒸しだけでなく、フライ、天ぷら、鍋など食べ方も豊富
<買う>
・もみじ饅頭:広島土産の代表格。こしあんやつぶあんのほか、カスタードクリームやチョコレート、抹茶あんなど種類も豊富。個包装なのでお土産にぴったり
・熊野筆:約180年の伝統を誇る熊野筆は国の伝統工芸品にも指定されている。職人の匠の技によって丹精込めて作られた化粧筆は、女性へのお土産として人気

◆2日目:山口県

・朝食後、岩国へ移動(広島市内~岩国、約1時間)。錦帯橋を観光した後、昼食をとり秋吉台へ(岩国~秋吉、約1時間)。午後は秋吉台の自然を満喫し、下松へ(秋吉台~下松、約1時間)。夕食は笠戸湾のひらめ料理を楽しみ、下松で宿泊
<見る・体験する>
・錦帯橋:日本3名橋の一つ。五連のアーチが美しい国内屈指の木造橋で、川岸、河原、遊覧船上からの風情ある眺めと、橋を支える伝統工法による木組みが見所
・秋吉台:日本最大のカルスト台地で、雄大な自然を感じられる絶景ポイント。「カルストロード」というドライブウェイが整備されていて、絶景ドライブが楽しめる
<食べる>
・笠戸湾のひらめ料理:下松市の笠戸湾で獲れる笠戸ひらめ。引き締まった身はコリコリとした食感で、肉厚で脂が乗って甘みがあると評判
・瓦そば:熱した瓦の上に茶そばと具を乗せた料理で、山口県下関市発祥の郷土料理として知られる。瓦に乗ったそばは見た目もユニーク
<買う>
・月でひろった卵:発売から約30年の銘菓。ふわふわの蒸しカステラで、山口産の新鮮な牛乳で作られたカスタードクリームを包む。お土産として人気が高い
・ふぐ煎餅:ふぐの身とデンプンを混ぜてパリパリに焼いたせんべい。ふぐの風味と辛子マヨネーズが抜群のハーモニーを奏でる。値段もお手頃

◆3日目:愛媛県

・下松市内のホテルで朝食後、柳井港からフェリーで松山市へ(下松~松山、約3時間)。昼食、松山城観光後、情緒ある道後温泉の町並みを楽しむ。道後温泉で夕食、宿泊
<見る・体験する>
・松山城:松山のほぼ中心、勝山山頂に建つ名城。標高153mから松山市内を一望できる。姫路城・和歌山城とともに、日本3大連立式平山城の一つに数えられている
・道後温泉:日本最古の温泉。歴代の天皇家も訪れる歴史深い温泉で、国の重要文化財に指定されている。情緒ある温泉街は和の雰囲気を感じたい外国人にうってつけ
<食べる>
・宇和島鯛めし:愛媛県南部の伝統料理。特徴は鯛(たい)の刺身を特製タレに漬け込み、炊きたてのご飯の上に生卵やネギなどの薬味と一緒に豪快にのせた丼ぶり飯
<買う>
・だんだん:薄く焼いたパリパリとしたクッキーに、愛媛県名物の伊予柑入りのホワイトチョコレートをサンドしたお菓子。お土産に最適
・今治タオル:世界的にも有名。柔らかな肌触りで、何度か洗うと硬くなって吸水性も落ちるタオルが多い中、下ろし立ての良さが長く続く

◆4日目:香川県

・朝食後、香川県高松市へ移動(道後温泉~高松市、約2時間)。栗林公園散策後、高松市内で昼食。午後は高松近郊のお遍路を巡り、高松市内で夕食、宿泊
<見る・体験する>
・お遍路:日本の宗教観や「お接待=おもてなし」の文化を感じられることから、外国人観光客の人気も高まっている。笹笠に白装束をまとえばインスタ映えする
・栗林公園:四季折々の花の名所が点在する。六つの池と13の築山があり、黒マツを中心に草木も豊か。南湖に架かる偃月橋からの眺めは絶景
<食べる>
・さぬきうどん:香川県内に900店以上もあるといわれる、県を代表するグルメ。コシのある食感とつるっとしたのど越しが魅力。
・たこめし:生のタコ、ゴボウ、ニンジン、油揚げなどを具として、出汁(だし)で炊く。たこ漁獲量で全国トップクラスを誇る香川県の郷土料理
<買う>
・揚げぴっぴ:香川県ならではの、さぬきうどんを油で揚げたおやつ。サクサクとした軽い口当たりが人気のお土産
・丸亀うちわせんべい:うちわの国内シェア90%を誇る丸亀市にちなんだ、うちわ型の可愛いせんべい。もらった人にインパクトを与えること間違いなし

◆5日目:岡山県

・高松市内で朝食後、瀬戸大橋を通り岡山県倉敷市へ移動(高松市~倉敷市、約1時間)。半日かけてゆっくり倉敷美観地区を観光した後、倉敷市内で夕食、宿泊
<見る・体験する>
・瀬戸大橋:全長9368mで、鉄道と道路の併用橋としては世界最長を誇る。橋からは瀬戸内海を一望でき、ドライビングコースとして最適
・倉敷美観地区:柳並木や、白壁となまこ壁が美しいコントラストを描く、伝統的な日本建築の美しさを残した町並み。民藝館、考古館など、文化的施設も多数
<食べる>
・ホルモンうどん:津山市発祥のB級グルメ。やわらかいホルモンとソース味の効いた焼きうどんは愛称抜群。
・ままかり寿司:ニシン科の魚「サッパ」を開いて酢漬けにし、握りずしにした岡山県の郷土料理。潮流が速い瀬戸内海のママカリは、脂のノリが良く肉厚で美味
<買う>
・白桃ぷりん:岡山県産の白桃を使用したプリン。甘みや食感、芳香が最高の時期の白桃を使用しており、白桃本来のおいしさを感じられる絶品スイーツ
・陸乃宝珠:岡山県産のマスカット・オブ・アレキサンドリアをまるごと1粒、求肥で包み込み、砂糖をまぶした和菓子。甘みと酸味のバランスが絶妙。

◆6日目:広島市内~広島空港へ

倉敷市内で朝食後、広島市内中心部へ。(倉敷市~広島市内、約2時間30分)。昼食とショッピングを楽しんだ後、広島空港へ向かい帰路に就く(広島市内~広島空港、約1時間)
<買う(ブランドショッピング)>
・そごう広島店、三越広島店、福屋(地元百貨店)、アウトレットモール等。主要ブランドは概ね広島市内で購入可能

広島県におけるブランドの有無に関する調査

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レンタカーによるせとうち周遊プラン行程表

(2)鉄道・バス・フェリーによるせとうち周遊プラン

・鉄道・バス・フェリーによる周遊プラン。可能な限り鉄道を使うルート設定とした。四国から本州へは、レンタサイクルによるしまなみ街道サイクリングを取り入れた
移動ルート:広島空港→宮島→広島市内→倉敷→直島→高松→さぬき→松山→道後温泉→今治→しまなみ街道→尾道→広島空港(移動総距離:約620km)

◆1日目:広島市内~宮島

・「見る・体験する」「食べる」「買う」は、レンタカーによる周遊プランを参照。

◆2日目:倉敷市~直島

・朝食後、新幹線・在来線で倉敷市へ(広島駅~倉敷駅、約1時間30分)。倉敷美観地区を観光後、フェリーで直島へ(倉敷~直島、約1時間45分)。島内観光の後夕食、宿泊
<見る・体験する>
・直島:香川県に属する。1990年代からの現代アートによる町おこしにより、世界中からアートファンが押し寄せる人気の観光地。島と融合したアート作品はインスタ映えも抜群
・「食べる」「買う」は、レンタカーによる周遊プランを参照

◆3日目:高松市

・直島で朝食後、フェリーで高松港へ(直島~高松港、約1時間)。高松市で栗林公園散策後、昼食。午後は高松近郊でお遍路を体験。高松市内に戻り夕食、宿泊
・「見る・体験する」「食べる」「買う」は、レンタカーによる周遊プランを参照

◆4日目:松山市内~道後温泉

・高松市内で朝食後、JRで松山市内へ(高松市内~松山市内、約2時間30分)。松山城を観光し昼食、その後道後温泉へ。温泉街を満喫し、そのまま道後温泉で夕食、宿泊
・「見る・体験する」「食べる」「買う」は、レンタカーによる周遊プランを参照

◆5日目:今治~しまなみ街道~尾道

・朝食後、伊予鉄道・JRを乗り継ぎ今治へ(道後温泉~今治、約1時間10分)。しまなみ街道サイクリングを開始(全長70km、所要時間約7時間)。尾道到着後、夕食、宿泊
<見る・体験する>
・しまなみ街道 :愛媛県今治市から広島県尾道市までの、瀬戸内海に浮かぶ6つの島々を(サイクリング)  七つの島々を7本の橋でつなぐ全長約70kmのコース。米CNNトラベルが選ぶ「世界で最も素晴らしい7つのサイクリングコース」の一つにも選ばれている。橋から一望できる瀬戸内海は絶景
<食べる>
・伯方の塩ソフト:伯方島(はかたじま)の塩を使ったソフトクリーム。うっすら塩の味でバニラの甘さが引き立っている。サイクリングで疲れた体を癒してくれるスイーツ
・しまなみ丼:鯛、マグロ、サーモン、イカ、アナゴなどたっぷりのネタが酢飯の上に乗っている。大三島の人気店「大漁」の名物料理
<買う>
・大三島リモーネバウム:レモンの風味が効いた甘さ控えめのしっとり濃厚なバウムクーヘン。大三島産の無農薬レモンと愛媛県産の蜂蜜を使用

◆6日目:広島空港へ

尾道で朝食後、新幹線で広島市内中に戻りショッピング(尾道~広島市内、約1時間30分)
・「買う(ブランドショッピング)」は、レンタカーによる周遊プランを参照
鉄道・バス・フェリーによるせとうち周遊プラン行程表

 

 

 

 

 

(3)フェリーによるせとうち島巡りプラン
・フェリーにより瀬戸内海の島々を巡るプラン。宿泊はすべて各島内の宿泊施設とし、瀬戸内海の自然を最大限満喫する行程とした。なお、本プランで想定したフェリーのルートは、実際に運行しているものとそうでないものがある
移動ルート:広島空港→宮島→大三島→因島→仙酔島→本島→直島→豊島→小豆島→広島空港

◆1日目:宮島

・広島空港からバス・フェリーを乗り継ぎ、宮島へ(広島空港~宮島、約2時間)。厳島神社、および宮島島内を散策し、宮島で夕食、宿泊
・「見る・体験する」は、レンタカーによる周遊プランを参照
<食べる>
・あなご飯:宮島のご当地グルメ。宮島沖の大野瀬戸で獲れるあなごは、風味も柔らかさも格別といわれており、島周辺ではアナゴ飯のお店が軒を連ねる
<買う>
・杓子せんべい:宮島の名産品である「しゃもじ」の形をした可愛いせんべい。商売繁盛・家内安全・恋愛成就・受験合格の四つの願いが込められた縁起の良いお菓子

◆2日目:大三島~因島

・宮島で朝食後、フェリーで大三島へ(宮島~大島、約2時間と想定)。大三島観光後、フェリーで因島へ(大三島~因島、約30分と想定)。因島観光後、島内で夕食、宿泊
<見る・体験する>
・大三島:愛媛県最北の島で、別名「神の島」、入り江の一帯にある「大山紙神社」は全国約1千社ある山紙神社の総本社で、美しい眺めを見ることができる
・因島:広島県尾道市に属する島。瀬戸内海で活動した村上水軍が活動した場所として有名。パワースポットで有名な白滝山の700体の石仏は壮観で、桜や紅葉の名所でもある
<食べる>
・しまなみ丼:鯛、マグロ、サーモン、イカ、アナゴなどたっぷりのネタが酢飯の上に乗っている。大三島の人気店「大漁」の名物料理
<買う>
・大三島リモーネバウム:レモンの風味が効いた甘さ控えめのしっとり濃厚なバウムクーヘン。大三島産の無農薬レモンと愛媛県産の蜂蜜を使用

◆3日目:仙酔島~本島

・因島で朝食後、フェリーで仙酔島へ(因島~仙酔島、約1時間を想定)。仙酔島観光後、フェリーで本島へ(仙酔島~本島、約1時間と想定)。本島観光後、島内で夕食、宿泊
<見る・体験する>
・仙酔島:広島県福山市に属する。手つかずの自然や火山活動でできた熔岩や凝灰岩など、パワフルな自然の力を感じられる魅力的な美しい島
・本島:香川県丸亀市に属する。香川県で唯一、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定。漆喰塗りの白壁、千本格子窓などが現在も美しい状態で保存されている
<食べる>
・鯛料理:鯛網漁で有名な福山市・鞆の浦の名物。定番の刺身から鯛めし、鯛茶漬け、鯛らーめん、鯛そうめんなど様々な鯛料理が楽しめる
・「買う」は、レンタカーによる周遊プランを参照。

◆4日目:直島~豊島

・本島で朝食後、フェリーで直島へ(本島~直島、約1時間と想定)。直島観光後、フェリーで豊島へ(直島~豊島、役30分と想定)。豊島観光後、島内で夕食、宿泊
<見る・体験する>
・豊島:直島と同じく、現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」で有名なアートと自然が融合した島。風光明媚(めいび)な田園風景を眺めながらサイクリングなども楽しめる
<食べる>
・古民家カフェ:直島にはオシャレな古民家カフェが点在しており、店内にはアートを感じさせるインテリアがそろう。和とアートを感じながらコーヒーを楽しめる
<買う>
・直島しおらんぐ:直島特産である太陽塩を使用したラングドシャ。まろやかな甘みのクリームをサンドしたお菓子で、アートの島・直島ならではのオシャレで芸術的なパッケージに入っている

◆5日目:小豆島

・豊島で朝食後、フェリーで小豆島へ(豊島~小豆島、約1時間と想定)。路線バスを使い1日かけて島内を観光。そのまま島内で夕食、宿泊
<見る・体験する>
・エンジェルロード:大小四つの島々をつなぐように、干潮時に現れる砂の道で、特にカップルの観光地として人気。映画やドラマのロケ地にもなっている
・寒霞渓:日本3大渓谷美の一つと称される、小豆島が世界に誇る景勝地。ロープウェイで山頂まで行き、展望台から瀬戸内海の絶景を眺めることができる
<食べる>
・そうめん:小豆島はそうめんの名産地。お店によっては、そうめん作りの工程が体験できるところもあり、工房で打ったばかりの「生麺」を楽しむこともできる
・醤油アイス:しょうゆの産地、小豆島ならではのスイーツ。コクのあるマッタリとしたしょうゆにアイスクリームが合う
<買う>
・オリーブオイル:日本のオリーブ栽培の95%を占める小豆島。フレッシュで高品質なオリーブオイルが多く揃っているのが魅力

◆6日目:広島空港へ

・小豆島で朝食後、フェリーで宇野港へ。宇野港からバスで広島市内中心部に戻り、ショッピング(小豆島~広島市内、約4時間)。昼食とショッピングを楽しんだ後、帰路へ
・「買う(ブランドショッピング)」は、レンタカーによる周遊プランを参照
フェリーによるせとうち島巡りプラン行程表

4.タイ人観光客誘致に向けた施策の考察

前章で提言したせとうち観光プランをタイ人向けにPRしていくにあたり、現状の課題と対策について考察したい

(1)フェリーの移動網整備

観光プランに組み入れたルートのうち、島と島を結ぶフェリーの定期便が就航しているのは、直島⇔豊島間、豊島⇔小豆島間のみである。せとうちの島々を観光資源として生かすためには、フェリーの移動網を整備し、島から島への流動性を高める必要がある。ただし、チャーター便を使う場合は片道ではなく双方向の運航を前提とするなど、コスト抑制のための工夫が必要となる

(2)SNSでの情報発信

タイはSNS大国である。事実、旅行会社H.I.S.のLINE公式アカウントの登録者数は日本790万人に対し、タイ1436万人(2019年1月現在)と、日本の2倍近い。主な情報収集がSNSで行われていることを認識し、SNSを活用した効果的なプロモーションを行う必要がある。

(3)ブランドの誘致

タイ人はブランド好きである。観光庁の消費動向調査においても、訪日タイ人の観光目的のうち、ショッピングが2番目に多い項目である。つまり、ブランドが無ければ、大阪や福岡へ観光客が流れてしまい、せとうちへ囲い込むことが難しくなってしまう。ブランドを誘致するには、広島県の老舗百貨店「福屋」などに旗振り役となってもらい、積極的に誘致活動をしてもらうことが重要である。

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