引地達也(ひきち・たつや)
コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャローム所沢施設長。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。
◆世界文化遺産登録へ
東京・上野の国立西洋美術館が建築家ル・コルビュジエ(1887~1965)の作品群の一つとして世界文化遺産に登録される見通しとなった。フランスをはじめとしたヨーロッパ、インドの教会など世界に点在する作品群のうち東アジアでは唯一の建物であるのだが、私個人としては、彼の小さな作品に魅力を感じ、それは思想を変革させるようなインパクトを伴うほどの力強さがあると考えている。
本欄2015年1月16日の第34回「コルビュジエの思い、小さなハードウエア」で記したように、両親のためにスイス・レマン湖のほとりに建てた「小さな家」、そして晩年、南仏のマルタン岬に妻イヴォンヌに捧げたともいわれるキャバノン(休暇小屋)、この二つの小さな作品に引き付けられるから、私はコルビュジエを慕う。都会では「狭小住宅」と呼ばれそうな、その空間にはぬくもりという思想がある。
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