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混乱の現実から開発の目を考える
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第51回

6月 05日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆開発コミュニケーション

「開発コミュニケーション」で知られるダニエル・ラーナーのコミュニケーションの体系立て方を知る「コミュニケーション体系と社会体系」は、1960年代の米国の他国に対する「開発」に関する基本的な考え方であり、その行動原理を知る論考である。それはやはり、米国が中南米やイランなどで行ってきた「自立を促す」名目での「介入」から「開発」に移行していく戦略と一致する。今回はこの論考から開発を考えてみたい。

ラーナーが論ずる「米国流の開発」には、米国の持つフロンティア精神と同居するヒューマニズムの考えが根本にあるはずではないかと、ラーナー自身の感情的な立脚点をさがしてみると、「開発」から導かれるリテラシー、そこから続くメディアへの指摘で、ラーナーは「自分自身や自分の家族のための『よりよい選択肢』を想像し、望む可能性を彼らに与えること」 がメディアの役割だと明言していた。
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日系シェア100%の自動車市場
『夜明け前のパキスタンから』第3回

6月 05日 2015年 国際

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北見 創(きたみ・そう)

日本貿易振興機構(ジェトロ)カラチ事務所に勤務。ジェトロに入構後、海外調査部アジア大洋州課、大阪本部ビジネス情報サービス課を経て、2015年1月からパキスタン駐在。

パキスタンの産業といえば、綿花の生産大国であるため「繊維」というイメージが強い。しかし、日系企業に限定するのであれば、「自動車」が最も重要な産業の一つだ。乗用車では、日系企業がシェア100%を占める貴重な市場となっている。自動車の普及はこれからで、成長が楽しみである。

◆年間20万台弱の市場

パキスタンの自動車産業は、1954年にゼネラルモーターズ(GM)とフォードの現地生産を開始したことが起こりとなっている。後発の日本勢は60年代から輸入販売を開始したが、国産化政策に伴い、スズキ(83年設立)、日産ディーゼル(84年)、日野自動車(85年)、トヨタ自動車(89年)、ホンダ(93年)と、大手メーカーが相次いでパキスタンに進出し、今日まで現地生産を行っている。
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TPPが自動車の国際分業を壊す
『山田厚史の地球は丸くない』第47回

5月 29日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

環太平洋経済連携協定(TPP)の日米交渉で、米国が厄介な問題を持ち出してきた。日本車の原産地問題だ。日本は虚を突かれ、にわかに攻守逆転という形勢だ。

米国は日本車に対し2・5%の関税をかけている(トラックやMPVは25%)。これをゼロするという交渉が続き、「10年後から」という米国に「もっと早く」と日本がせっつくという構図だった。ところが米国は「日本から輸入しているクルマは日本製ではない」と言い出した。
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法律や担当官で違う株主比率
『実録!トラブルシューティング』第12回

5月 29日 2015年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、土地購入にまつわるトラブルをご紹介します。タイでは「土地法」によって外国人の土地の所有が禁じられています。例外となるのは、工業団地で事業許可を受けた上での土地の購入、BOI(タイ投資委員会)から投資奨励を受けた場合となり、タイに進出する日本の企業にとって第一の関門となっています。

結果として、タイ資本での会社を設立しなければならない場合には、取引関係のあるタイ企業との合弁会社を設立するか、タイに投資目的の法人を持つ日系銀行の出資を受けるしか選択肢がないのが現状となっています。タイ側が過半数を持つ形での合弁の危険性については別の機会に改めてご紹介することとして、今回は日系銀行の投資のケースをご紹介します。
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わが同朋の死を悼んで
バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第46回

5月 22日 2015年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住17年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

東海銀行時代の部下で友人であったG君が亡くなった。享年59歳の若すぎる死である。1994年、私は米ロサンゼルスから帰国し、国際企画部統括グループの次長となった。この時、この統括グループ主計係のヘッドとして圧倒的な存在感を持って仕事をしていたのがG君であった。

◆徹夜も辞さず仕事に邁進

当時の日本の都市銀行はバブル崩壊による不動産価格下落から、不動産融資やゴルフ場融資などが回収不能となり、どこも火の車の状態であった。東海銀行もご多分に漏れず多額の不良債権に苦しめられたが、西垣覚頭取(当時)のリーダーシップのもと、リース会社や住宅専門会社のリストラにいち早く手を付けた。
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最低賃金を守らないと大きなツケが来る
『実録!トラブルシューティング』第11回

5月 22日 2015年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、2013年の最低賃金引き上げ時に適切な対応を取らなかったために、大変な状態に陥ってしまったZ社をご紹介します。事の始まりは12年、タイ中央賃金委員会が、地域によってばらつきがあった最低賃金を、全国一律300B/日(現在のレートでは1バーツ=約4円)に引き上げたことがきっかけです。

産業界からの反発は強く、特に月給5000~7000Bで皿洗いを雇っていた飲食店などでは、ベースサラリーに連動する残業代を節約するために、最低賃金を9000B(300B/日×30日分)にしないで、残業を増やしてトータルで月給9000Bを支払うことでごまかそうとするところがありました。また、月給は最低賃金の9000Bより低いままで、社会保険料のみ最低賃金相当の金額を納めることで実際の所得金額をごまかすという悪知恵を働かせるところも出る始末です。
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疑似環境を理解して、人間を信じて
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第50回

5月 22日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆世論調査好き

日本は世論調査が好きな国である。各メディアが内閣支持率の調査を行い、その数字を報じる。世論調査だけをやりながら、政策を住民投票によって決するという文化まではなかなか広がらなかったが、17日の大阪市の住民投票では橋下徹市長による「大阪都構想」についての賛否が明らかになり、「民主主義」の政策決定のプロセスとして、一つの方法を提示したように思う。

この投票活動の底辺にあるのが「世論」であり、この言葉を世に出したのが、米国のウォルター・リップマンである。その著書『世論』は今や古典として位置づけられているが、世論に敏感にならなければならない新聞記者なら誰でも読んでいるはず、と思いきや、実感として読んでいる割合は驚くほど低い、と思われる。これもジャーナリストの位置づけや養成する仕組みとジャーナリズムを技能として育んでこなかった日本メディア周辺の責任かもしれない。
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昔の栄華が残る街 イポー
『マレーシア紀行』第7回

5月 22日 2015年 国際

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マレーの猫

エネルギー関連業界で30年以上働いてきたぱっとしないオヤジ。専門は経理、財務。実務経験は長く、会計、税務に関しては専門家と自負。2012年からマレーシアのクアラルンプールに単身赴任。趣味は映画鑑賞、ジャズ、ボサノバ鑑賞、読書。最近は浅田次郎の大ファン、SF小説も

マレーシアでの単身駐在期間が長くはなってきた。それでもこの国のことをあまり知らない私があれこれ書くのは気が引けるが、旅行記第7弾を書くことをお許しいただければと思う。

今回紹介させていただく場所は、マレー半島の中ほど、首都クアラルンプールから約200キロ北の西海岸近くに位置するペラ州の州都イポーという街である。実は業務上のことで昨年11月から約半年以上国内旅行を控えていたが、業務も一段落したため、半年振りに旅行に行くことにした。ちょっとした旅行で気分転換が図れるということ、また一人旅もそれはそれで楽しいものであることを再認識したのであった。
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たった1人の反乱 自民党内で「戦争法案」批判
『山田厚史の地球は丸くない』第46回

5月 15日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

5月15日は沖縄が返還された日。1972年、米国の施政下から本土に復帰した。「沖縄返還なくして戦後は終わらない」が当時の合言葉だった。

43年が経ったこの日、新聞各紙に「安保法制大転換」の見出しが躍った。安倍首相は14日の閣議で、戦争中の他国を後方支援する国際平和支援法案、集団的自衛権を行使する武力攻撃事態法改正案など「戦争関連11法案」を国会に提出することを決めた。
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編集への信頼と疑いの心を持つ原点
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第49回

5月 15日 2015年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

 コミュニケーション基礎研究会代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長などを経て、株式会社LVP等設立。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。

◆古典から考える

前回のNHK「クローズアップ現代」問題を取り上げて、NHKそのものやメディアに関する言及をしながら、メディアというコミュニケーションの領域では、やはり基本となる考え方があり、その基本を私自身が学び直し、書き示す必要があるのでは、と考えた。

今回から、メディアを考える上で基本となる「古典」について小さくまとめていこうと思うが、その古典とはギリシャ哲学でもヘーゲルの弁証法でもなく、近代と呼ばれる前世紀の学者が示した実証や論考などをもとにしたメディアに関する暫定的な結論である。まずはテレビが写す「意図された欺瞞(ぎまん)」(引地)についての研究として知られるカート・ラングの「テレビ独自の現実再現とその効果・予備的研究」である。
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