教授H
大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。
偉大な思想家がその後の信奉者たちによってどのように解釈され、継承されていったのか見るのは面白い。イエス・キリスト(仮に彼を思想家と呼ぶのが許されるのなら)は使徒たちに、そしてクリスチャンたちによって教祖化され、布教の対象となった。カール・マルクスはマルクス主義者たちによって学問化されると同時に政治思想化され、また闘争の武器となった。しかしもっと身近なところで考えると、吉本隆明が「吉本主義者」たちにどのように受け止められ、広められていったのかということの方がずっと面白いかもしれない。
幸か不幸か、私は「吉本教」の信者ではない。そういう人間から吉本教信者を見ると、興味深さとともにある種の違和感を覚える。クリスチャンがイエスをあがめるように、またマルキストたちがマルクスを崇拝するように、吉本教信者は吉本の一言一句を必死で読み取り、あがめるようにしてそれを人に伝えようとする。なぜなのか、これが不思議でならなかった。
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