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廻るデータサービス
『みんなで機械学習』第17回

3月 15日 2023年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニングのビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆制作ノート

英国の経済学者エルンスト・シューマッハー(1911-1977年)の「スモール イズ ビューティフル」における中間技術の提案を、「みんなの機械学習」として再考するため、「スモール ランダムパターンズ アー ビューティフル」という拙稿に挑戦している。前稿では、経済データと健康データのデータサイエンスについて考えてみた。前稿をふり返りながら、本稿への足掛かりを探して、「制作ノート」としている。本稿は途中の画像以降で、制作ノートの要点も、画像以降にまとめている。拙稿全体のゴールは単純だ。古典的なモノの価値を問う経済学から、最近のコト(サービスなど)の意味を重要視する経済学への移行を前提として、未来のデータサイエンスが、人類の文明論的な変革をもたらす夢物語を、少なくともディストピアとしないために頑張っているつもりだ。そのゴールにおいては、意味が認知される以前の「データ」そのものが、みんなの機械学習によって、「言語」とは別の、文明の道具になるだろう。 記事全文>>

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東日本大震災-芥川賞受賞『荒野の家族』に見る現実
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第251回

3月 13日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆語りえないもの

東日本大震災を題材にした小説『荒地の家族』(新潮社)が第168回芥川賞を受賞した。作家の佐藤厚志さんは仙台市出身でJR仙台駅前の丸善仙台アエル店に勤務する書店員であることが話題になった。私も故郷に戻った先日、せっかく買うのならば、とこの書店で同書を購入した。

その行動は、おそらく私の中で震災に関することは一歩踏み込んできた中で、この購入もその心の動きにつながったのだろう。そして、本書の内容も丁寧で精緻(せいち)な表現で描かれたフィクションを、心象風景という誰の中にもあるその震災への「思い」を表現したノンフィクションと受け止めた。

そう言い切ってしまうのは、私自身がその意識の中でこの本を捉えたからだ。震災を語ることで風化を防止するという考えは大切だが、語れないもの、語りえないものがある。それが何か、この小説は静かに、そして力強く表現している。 記事全文>>

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原発被災 12年目の現実
復興事業あっても暮らしの復興なし
『山田厚史の地球は丸くない』第233回

3月 10日 2023年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

3・11東京電力福島第一原発事故から12年。原発事故の被災地は今、どうなっているのか。福島県双葉郡の三つの自治体を訪ねた。取材のきっかけは、『原子力村中枢部での体験から10年の葛藤で掴んだ事故原因』(かもがわ出版、2021年8月)という本である。著者の北村俊郎さんは元日本原子力発電の理事・社長室長であり、原発事故被災者でもある。東京電力の原子力担当副社長だった武黒一郎氏や、その後任の武藤栄・元副社長らは一緒に原子力業界を担った仲間である。

北村さんは、双葉郡富岡町に晩年の棲家(すみか)を定めた。穏やかな気候、緑濃い環境が気に入り、退職後は妻と2人で暮らし、3月11日の東日本大震災に遭遇した。7キロ離れた福島第一原発で爆発が起こり、隣の河内村に避難を強いられたが、ここも危なくなり郡山市に逃げ、「原発難民」となった。自宅は帰還困難地域に指定され、戻ることはできない。

「原子力村」の中枢で働きながら、被災者になった北村さんは10年をかけて何が原発事故の原因だったのか考え続けた。その成果がこの本にまとめられている。

今月5日、北村さんを避難先の福島県郡山市に訪ねた。「12年が経ったが、原発被災地は取り残されたままだ」と言う北村さんの言葉に、北村さんが残してきた自宅やその一帯をこの目で見てみたい、と思った。 記事全文>>

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日銀の国債大量購入はなぜ財政規律上問題なのか
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第65回

3月 08日 2023年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

日本銀行は、異次元緩和のもとで国債を大量に購入してきた。財政規律をゆがめる大問題とする見方がある一方、最近多くみられる反論は「財政規律の問題は日銀に一義的な責任はない」「財政健全化を日銀に求めるのは主客転倒」といったものだ。

しかし、筆者はそもそも「財政規律は日銀に一義的な責任」とか「財政健全化は日銀の主担当」といった主張を見たことがない。あたかもそうした主張が存在するかのような錯覚を起こさせた上で否定し、すべてが間違いであるかのような印象を与える論法には注意が必要だ。

財政規律の一義的な責任は、もちろん国会にある。だからといって、日銀に責任がないわけではない。 記事全文>>

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東日本大震災-13回忌から考える2つの伝承施設
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第250回

3月 06日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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13回忌の節目

2023年3月11日で東日本大震災から12年になる。仏教の考え方では干支が一巡したことにちなむ13回忌にあたる。この13回忌は7回忌とともに区切りとされ、法要は7回忌や13回忌をもって終了することも多い。その13回忌で東日本大震災がどう語られるか、またこれを境に忘れられていくのか、大きな節目かもしれない。

先日、来訪した被災地ではいまだに困難な日常や死者への悲しみや行方不明者への哀れみが日常的に存在しているから、忘れるわけはないのだろう。被災地とそのほかの土地とのギャップは必然であろうが、それは大きくなるばかり。先日、「忘れてはならない」地域の思いを形にした二つの施設、宮城県気仙沼市の「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」と宮城県南三陸町の「南三陸町東日本大震災伝承館・南三陸311メモリアル」を訪れ、距離を超えて震災の教訓を共有し、そこから得た叡智(えいち)を形にする難しさを考えさせられた。やはり距離を埋めるのは「対話」しかない。 記事全文>>

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バンコック銀行日系企業部設立の苦難の歴史―石の上にも10年
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第236回

3月 03日 2023年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住25年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

「石の上にも三年」ということわざがある。「冷たい石の上でも3年も座り続けていれば暖まってくる。我慢強く辛抱すれば必ず成功する」という意味である。若い頃の3年は死ぬほど長い。3年も我慢して何かをやり続けることなど、それこそ我慢できなかった。やりたいことは山のようにある。楽しいこともてんこ盛りである。学生時代に3年間勉強に打ち込んでいれば、今よりも格段に賢くなっていたであろう。飽きっぽい性格の私は、勉強はもちろんのこと、何事にも3年間続けられるだけの辛抱強さを持ち合わせていなかった。そんな私が70歳を目前にして思うことが「石の上にも10年」である。 記事全文>>

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手ごわい「リスキリング」と「アンラーン」
『四方八方異論の矛先-屋台村軒先余聞』第4回

3月 01日 2023年 社会

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元記者M(もときしゃ・エム)

元新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。座右の銘は「壮志凌雲」。新型コロナ禍に伴う約3年の在宅勤務を経て、2023年1月に定年退職。現在の日課は3年以上続けている15キロ前後のウォーキング。いまのところ、歩くのが三度の飯とほぼ同じくらい好き。歩きながら四季の移ろいを体感しつつ、沿道の草木を撮影して「ニュース屋台村」のフェイスブックに載せている。

「キッシー」「スガチャン」「アベチャン」「アッソー」……。わが家族の専用のLINEには時折、歴代の首相の名前がこんな呼び名で登場する。愛称というより、明らかに侮蔑(ぶべつ)した言い方で、その先鞭(せんべん)をつけたのは、毎回最初に書く私である。いまだにスマホは持たず、愛用している4G機能付きのガラケーでもLINEは使えるが、いつも自宅備え付けのノートパソコンで打ち込んでいる。ほぼ毎日何かしら書いているが、自宅にいる時しか見ないし、見られない。そのせいもあって、毎日概ね朝方、新聞2紙とネットニュースをチェックした私の一方的な思いの吐露や主張に終わることが多く、ほかの3人からは「既読」のマークは付いても、私が提示した話題に乗ってくることはまずない。ところが最近、「リスキリング」と「アンラーン」について書いたところ、産休中だった長女が即座に鋭く反応し、久しぶりにやりとりが盛り上がった。 記事全文>>

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英国資本・IG証券の身勝手
損した取引を無かったことに
「貯蓄から投資へ」投資家保護はどうなった?
『山田厚史の地球は丸くない』第232回

2月 24日 2023年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「資産倍増」を謳(うた)う岸田首相が打ち出した成長戦略の一つが「貯蓄から投資へ」。ほぼゼロ金利の預金より、株・債券など「リスク商品」への投資を政権が奨励するようになった。だが、高利回りを狙うこの世界は、あちこちに落とし穴がある。今回取り上げるのは、世界最大手の差金決済取引業者・IGグループの日本法人で起きた事件。政府の「投資家保護」をあざ笑うような「外資のやりたい放題」が戦争で乱高下する商品相場で起きた。 記事全文>>

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中間組織のデータサイエンス
『みんなで機械学習』第16回

2月 20日 2023年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニングのビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆制作ノート

データサイエンスを教える大学が人気だそうだ。経済データや健康データを活用して、現場で問題解決をする人材が不足している。オン・ザ・ジョブ・トレーニングやリスキリングでは、人材の質・量・学習時間が、データニーズの増大に追いつかないのだろう。行政や企業のリーダーたちも、データサイエンスの学習意欲はありそうだ。データサイエンスは金融業界で成功したので、儲かりそうに思えるのかもしれない。しかし、現在のデータサイエンスは、データに関するサイエンス(少なくとも自然科学)ではない。従って、本論考が探求している「データにとっての技術と自然」について、現在のデータサイエンスでは明確な答えはない。現在のデータサイエンスでも、現在の問題の一部は解決できるかもしれないけれども、問題が山積みにされるスピードにはとても追いつけない。「データにとっての技術と自然」を深く思索して、機械(コンピューター)とともに、共生・共進化する未来を実現すること、それが本論考の目標であって、ひとびとの行動が変容するほど、単純で実行可能な、生活レベルで役に立つデータの利活用を見いだしたい。 記事全文>>

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必読!営業力養成講座
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第235回

2月 17日 2023年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住25年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

今から5年ほど前になるが、人材紹介会社の社長に「転職に際し有利な職種」についてお聞きした。すると、その社長は即座に「1に営業、2に営業、3、4が無くて5に国際」と返された。私はその返答を聞いてビックリしたことを覚えている。長らく銀行員を務めていると、「銀行の中で出世する人たちは、人事・企画部門の人が多い」ことがわかる。このため、一般の企業でもこうした管理系の人たちが重宝がられると考えていたが、どうも違うようである。逆に「こうした管理系で地位も上り詰めた人たちは、転職後に一番面倒を起こす人です」と、その社長から言われた。「なぜなら、人に指示することしかできず、コピー1枚自分では取れないからです」。余談ではあるが、それ以来、私はなるべく自分でコピーを取るようにしている。営業職が世の中でそれほどまでに必要とされる人材なら、そのスキルを持っている人はこれからを生き抜く上で困ることはない。これからの人生の成功者を育成するために、早速「営業力養成講座」を開講しよう! 記事全文>>

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