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全国2位は東京都境界未定地域 地域と付加価値(その1、全3回)-地方圏をリードする製造業、民間研究機関
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第59回

9月 07日 2022年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

前回、地方創生の実現には、地元産業が大都市圏並みの所得を稼ぎ出すことが必須と述べた(第58回「早くも東京に戻り始めた人口-『テレワーク移住などで東京一極集中に是正の兆し』説は何だったのか」(8月10日付)参照)。一つの成功例を一般化して地方全体に当てはめるのでなく、各地域のどの特性にどのような競争力がありうるかを見極めることが大切だ。

以下、総務省「経済センサス―活動調査」の地域、産業別データを用いて、各地の付加価値生産の現状を確認してみよう。

付加価値とは、企業や事業所の売り上げから原材料費や減価償却を差し引いたものをいい、その中から従業員に給与が支払われたのち、残りが利益となる。いわゆる「労働生産性」とは、付加価値額を事業従事者数で割った値(「従事者一人当たり付加価値額」)である。

なお、「経済センサス―活動調査」は5年ごとに実施され、最新は2021年6月実施の調査となる。速報値はすでに公表されているが、詳細データは未公表のため、本稿では2016年の調査結果を用いる。 記事全文>>

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誰のための原発復権か-置き去り被災地と事故の教訓
『山田厚史の地球は丸くない』第220回

9月 02日 2022年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

原発政策の大転換が始まろうとしている。岸田首相は8月24日、「休止中の原発再稼働、老朽原発の運転継続、次世代型原発の開発・建設」の3点について、諮問機関である「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」に検討を求めた。3•11福島事故を受け「脱原発」が課題となっていたが、政府は一転して原子力を「クリーンエネルギー」として積極活用する方向へ舵を切った。

旧統一教会と自民党の癒着、安倍元首相「国葬」の是非に世間の目が集中している時、原発復権が突如持ち出された。しかも「再稼働」だけでなく「新増設」まで踏み込んだ。

背後には「産業と技術の消滅」に危機感を募らせる人たちがいるが、11年前の福島第一原発事故から私たちは何を学んだのだろうか。 記事全文>>

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壊れかけの民主主義
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第223回

8月 26日 2022年 政治

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

◆「マイケル・サンデルの白熱教室」の議論

今年3月に日本に一時帰国した際、私が面白いと思ったテレビ番組の一つに、NHK Eテレの「マイケル・サンデルの白熱教室」がある。マイケル・サンデルは米国の政治哲学者、倫理学者でハーバード大学の教授を務める。この「ニュース屋台村」でも「視点を磨き、視野を広げる」シリーズを執筆している古川弘介さんが彼のことを取り上げている。このマイケル・サンデルが米ハーバード大学、中国復旦大学、東京大学・慶応大学の学生たちとコロナや戦争など現代の課題について議論する番組が「白熱教室」である。とにかく学生たちが真摯(しんし)に議論するのがうれしい。昨今よく見られる「相手を打ち負かすためのマウンティング」とは大きく異なる。自分たちの立場や意見を論理的に正々と述べる。またその意見が、各人の属する国の置かれている状況によって大きく異なっているのが面白い。まずは彼ら優秀な学生たちの議論に注目しよう。 記事全文>>

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旧統一教会と安倍「国葬」
『山田厚史の地球は丸くない』第219回

8月 19日 2022年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

無難一筋の政権維持に努めてきた岸田首相に、「高転び」の気配が漂う。目の上のタンコブだった安倍元首相が消え、運が巡ってきたかに見えたが、「非業の死」が残した「旧統一教会汚染」が、政権の足元を揺さぶっている。安倍元首相の葬儀を「国葬」にしたことは、今に思えば、誤算だった。

安倍元首相の命を奪った銃撃から1か月余り、事件の背後に浮かんだ世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政権党との癒着が連日、メディアを賑わしている。 記事全文>>

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植物の意識とデータ現象学
『週末農夫の剰余所与論』第32回

8月 15日 2022年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。元ファイザーグローバルR&Dシニアディレクター。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

今年の梅は豊作だった。梅酒や梅ジュースなどを作り、使いきれない梅を梅干しにした。木で完熟した梅を収穫しているので、香りがよい。梅は毎年剪定(せんてい)して、手間がかかるけれども、完全無農薬な完熟梅を購入することはできないので、やりがいのある農作業だ。梅は隔年で豊作になるとは言われていても、週末農夫の場合、花の時期に雪が降ったりして、天候や人的な要因で、収穫量や品質は全く予測ができない。梅干しは、梅酢をおいしくいただくために塩分をギリギリまで少なくして、5%の塩分で作っている。梅干しの味も予測不能で、10年以上おいしく保存できているものもある。週末農夫としては、毎年学習して、工夫しているつもりだけれども、予測不能であることに変わりはない。 記事全文>>

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やる気が感じられない日本の観光振興
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第222回

8月 12日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

ありがたいことに「タイ人は大の日本好き」である。第2次世界大戦の痛手から急速な復興を遂げ、アジアの先進国としての立場を長い間享受してきた日本。技術のある工業製品を生み出し豊かな国であった日本は、ながらくタイ人にとってあこがれの地であった。2013年7月からタイ人の観光ビザが免除されると、多くのタイ人が日本を訪問し始めた。日本政府観光局(JNTO)の資料によると、コロナ禍前の19年の訪日外国人数の総計は3188万人で、そのうちタイ人は132万人(4.1%)となっている。観光客を国別で見ると、中国の959万人が第1位で、タイは韓国、台湾、香港、米国に続く第6位となっている。ちなみに、タイ人観光客は他国の観光客に比べて個人旅行、リピート客の割合が高く、平均滞在日数も長くなっている。こうした特徴も見ても、タイ人の日本好きがうかがえる。 記事全文>>

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早くも東京に戻り始めた人口-「テレワーク移住などで東京一極集中に是正の兆し」説は何だったのか
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第58回

8月 10日 2022年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

今年1月末、2021年中の「人口移動報告」が公表され、東京23区が25年ぶりに人口流出超に転じた。コロナ禍をきっかけとするテレワークの普及もあり、「テレワーク移住などにより、東京一極集中に是正の兆し」との解説記事が目立った。

それから半年。事態は一変し、東京23区は早くも流入超のトレンドに回帰している。コロナ情勢の急変で再び行動制限が課されるようなことがなければ、今年は2000年に近い流入超数を取り戻すだろう(参考1)。

「テレワーク移住などで、東京一極集中に是正の兆し」との見方は、幻想だった。テレワーク移住といった単発のエピソードを、人口移動全体に当てはめてはならない。 記事全文>>

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「リベラル能力主義」について考える(その4)
『視点を磨き、視野を広げる』第61回

8月 08日 2022年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆本稿のねらい:日本の能力主義について考える

能力主義は、能力と努力を基準に人を評価する考え方であり、市場経済が求める人材を提供する役割を担う。しかし自由競争は豊かさとともに格差を生む。マイケル・サンデル(米ハーバード大学教授)は、機会の平等によって格差を解消するはずの能力主義が、結果として格差の拡大と固定化を招き、敗者には自己責任を押し付けていると米国の現状を批判する。

日本でも格差は拡大している。しかし、米国のような極端な所得格差や資産格差、少数の上位層と多数の下位層との分断の深まり、敗者の絶望死の増加といった現象は見られない。米国には、人種問題や地域格差といった固有の問題が背景にあるのは事実であるが、格差の根本的な原因は経済システムにあると考えるべきで、それは日本も同じである。では、なぜ日本は米国のような深刻な事態が起きていないのだろうか。本稿では、その理由を能力主義に焦点を当てて考えていきたい。

まず、日本の能力主義は学歴主義と成果主義という点で、米国とは異なるというところから出発する。そして、その背景に日米の雇用システムの違いを見る。日本では、雇用システムが社会的なセーフティネットと連携して機能することで、グローバル資本主義が生み出す弊害に対して抑制的に作用したと考えるのである。 記事全文>>

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安倍消えて自民は内戦-野党無力 岸田の狙いは清和会つぶし?
『山田厚史の地球は丸くない』第218回

8月 05日 2022年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

この1か月、日本の政治は大きく動いた。

参院選で自民は圧勝。元首相・安倍晋三の「暗殺」が押し上げた。これから3年間、国政選挙はない。世論を気にせず策を打てる「黄金の3年」を岸田政権は手にした、といわれる。

安倍の「非業の死」は、岸田に「ほろ苦い幸運」をもたらした。政権運営の重しとなっていた「目の上のタンコブ」が消えた。

事件の背後に、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」があったことは好都合だった。保守派の牙城(がじょう)・清和会を弱体化する好機が巡ってきた。 記事全文>>

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オープンキャンパスで作る「うた」がおもしろそう
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第241回

8月 01日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆「ラッセラー」をみんなで

毎週火曜日に重度障がい者を中心にして、事業所や自宅をつないで展開している講義「おんがくでつながる」は先日、暑さの到来とともに津軽三味線の歌手、澤田慶仁さんと共に「青森ねぶた」と「弘前ねぷた」を学び、青森ねぶたの「ラッセラー」で受講者といっしょに盛り上がった。

この盛り上がりは毎週、音楽のジャンルを超えて、受講者の元気な受け答えが講義をリードし、参加したミュージシャンはいつも「楽しかった」と話してくれる。この盛り上がりをさらに広げようと、受講者の方々をさらに増やして、「歌を作る」ことを目指すオープンキャンパスを、8月27日に東京都杉並区の西荻地域区民センターを主会場にハイブリットで開催することになった。

ここは重度障がい者の世界観で「うた」を作っていく予定で、どんな「うた」ができるのか、おもしろそうだ。 記事全文>>

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