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「リベラル能力主義」について考える(その3)
『視点を磨き、視野を広げる』第60回

6月 29日 2022年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

はじめに:本稿のねらい

今回はリベラル能力主義の3回目として、日本におけるリベラル能力主義について考えたい。

最初に米国のリベラル能力主義について確認しておきたい。リベラル能力主義とは、リベラルな価値観(人権、民主主義、法の支配)が前提とする機会の平等の下で、誰もが能力と努力によって評価されるべきだという考え方である。米国のリベラル能力主義は、グローバル資本主義と結びついて社会システムとして定着している。それは、社会に豊かさと公正さをもたらすと信じられているからである。 記事全文>>

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「おんがくのじかん」の「重症心身障がい」の反応を社会で共有する
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第236回

6月 27日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆音楽家とともに講義

みんなの大学校で4月から始まった「おんがくのじかん」は通所施設や自宅にいる重度障がい者をウェブでつなぎ、プロのミュージシャンらが演奏とともに「学び」を提供するプログラムである。

みんなの大学校の学生にとってはこれまでのプログラムの一つとして始まる新しい科目である一方で、初めて参加する人にとってはオンラインで講義を受けること自体も新しく、空間を飛び越えて音楽でつながる体験は、刺激的なようである。

前半を終えた段階で、見えてきたものは「つながる」ことで発生する化学反応はやはり面白い、ということ。単なる音楽の提供にとどまらず、一人ひとりのつながりと「学び」につなげていくためには、これからも研究が必要だが、受講者の言葉はみずみずしい新鮮さがある。そして、その言葉が今後の道標(みちしるべ)となるのだと思う。 記事全文>>

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増税ダメならインフレで-円安放置の「調整インフレ」
『山田厚史の地球は丸くない』第215回

6月 24日 2022年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

円安が止まらない。ドルに対し、2カ月で20円も安くなった。1ドル=140円が視野に入ったが、通過点でしかない、とさえ言われる。

「円安は日本経済にとって悪いことではない」と言っていた日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁も「急激な円安は好ましくない」と、トーンを変えた。だからといって「円安防止策」を発動する気配はない。日本は無策、防戦に動かない、とみる世界の投機筋は、安心して「円売り」を浴びせる。先物市場で円を売り、安くなったところで買い戻し、差益を稼ぐという流れが定着した。 記事全文>>

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障がい者と過ごしたメルケルから遠ざかった悲しい16年
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第235回

6月 20日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆深まらなかった日独の議論

今春、ドイツのシュルツ首相が来日し、岸田文雄首相との日独首脳会談が行われた。第2次世界大戦後の世界で、先の大戦の猛省が国際社会に強く求められた日独の位置付けは、ウクライナ情勢を受けて少しずつ変化を余儀なくされている。

自由と民主主義の価値観を共にする日独ではあるが、その未来像をどう考えていくかの対話は近年、停滞していたというべきであろう。16年にわたって首相を務めたメルケル前首相と同様に、日本では安倍晋三氏が首相の座にいたことによる、2人の志向性の違いのようなものが壁になったように思う。

メルケル前首相の中国重視と安倍前政権による米国のトランプ政権へのすり寄りは、対話の停滞を決定づけた事実となった。「ヨーロッパの母」が引退した今、なおさらに彼女の出自や政治哲学、その倫理観などをモデルに、戦後の日独の在り方の議論も深められたはずだったが、機会を失った。 記事全文>>

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少しずつ活気を取り戻し始めた-タイに戻って1週間
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第220回

6月 17日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

3か月に及ぶ日本出張を終え、1週間ほど前にタイに戻ってきた。コロナ禍の影響で2年以上帰国していなかったため、病院通いや自宅の整理などで「あっという間の3か月」であった。それでも何とか病院通いの合間を縫って60人以上のお客様と面談した。日本は3月から人流が増加したようで、私が一時帰国後の自主隔離期間を終えて訪問活動を始めた4月には、ほとんどの方が面談に応じてくださった。やはり「百聞は一見にしかず」で、お客様などから直接話をうかがうと、新聞や雑誌などでは得られない生の情報が入ってくる。

コロナ禍の2年間、私はバンコック銀行の日系企業部の同僚に「資料を有効活用したオンライン面談」を積極的に行うようアドバイスしてきた。オンライン面談は「物事を遂行していく上での打ち合わせ」では、直接の面談よりも有効であるケースが多い。ただし「相手との信頼関係を深める」ことや「情報交換により新しい気づきの発見」などは期待できない。そもそも、私たちホモサピエンスは仲間を作り集団化することでほかの生物との競争に勝ち残り、食物連鎖の頂点に立つことができたのである。新型コロナウイルスは人間のこうした稀有(けう)な才能を封じ込めてしまった。 記事全文>>

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ザッパとその時代
『WHAT^』第43回

6月 17日 2022年 文化

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社エルデータサイエンス代表取締役。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

2022年5月21日 シネマート新宿 筆者撮影 

フランク・ザッパといっても、マザース・オブ・インベンションといっても、1960年代ロックに興味のない方々には、縁(えん)が無いだろう。それでも映画「ZAPPA」は、ザッパが生きていた米国の、西海岸と東海岸の社会状況をふり返るドキュメンタリーとして、とてもよくできている。ロサンゼルス郊外の高級住宅地における、チャールズ・マンソンの仲間たちの映像は、日本でのオウム真理教のようなもので、直感的に「危険すぎる」。しかし、少年期のザッパも、自宅で爆発物の化学実験を行う、危険な化学好きで、家族で毒ガスマスクをつけて遊んでいた、危険なベトナム戦争の時代だった。 記事全文>>

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メディア「発信」で当事者と社会をつなぐ
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第234回

6月 15日 2022年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆ここにきたら、やさしくなれる

これまで造語である「ケアメディア」の概念を考え、発信し、「ケアメディア論」との書籍にもしてきた行動の一つの実践として、このたび「ケアメディア」というウェブサイトを立ち上げた。このページのコンテンツは当事者による発信が中心で、各種障がいなどで「支援」が必要な方がウェブを通じて社会に出るだけではなく、その持っているもので社会との「つながり」の中でよりよい方向に行ける道標(みちしるべ)にもなると考えている。 記事全文>>

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なぜ地銀の貸出金利は極度の低下が続くのか ~気が付けば「市場経済からの離反」
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第57回

6月 13日 2022年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

oオフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

地方銀行の貸出金利が、特異な低下を示している。

新規の短期貸し出しと長期貸し出しの加重平均金利である貸出約定平均金利(総合)は、都市銀行と同水準まで低下した。日本銀行のデータ検索サイトで遡及(そきゅう)可能な1994年以降、初めてのことだ。このうち長期貸し出しの金利は、昨年秋以来、ほとんどの月で都銀を下回っている。

都地銀の経費率や貸出先の信用リスクの差を踏まえれば、新規の貸出約定平均金利(以下、貸出金利)が肩を並べるのは、尋常でない。なぜ、こうした事態が起きているのか。その意味するところは、何か。 記事全文>>

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防衛費2%で覚悟すること 参議院選を前に
『山田厚史の地球は丸くない』第214回

6月 10日 2022年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

1月に始まった国会は今月15日に閉会、22日には参議院議員選挙が公示される。慌ただしい政治の現場から、日本が抱える課題が見えてきた。

苦しい財政事情などお構いなしに防衛予算の増額を決めた政権党。1千兆円を超えた国債残高をさらに膨張させる政府。急激な円安を放置し物価上昇を容認する日本銀行。国民生活に重大な影響を及ぼすばかりか、日本の針路を危うくする政策が、平然と進められようとしている。 記事全文>>

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「デジタル遺産」となり得るNFT
『企業法務弁護士による最先端法律事情』第12回

6月 06日 2022年 社会

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北川祥一(きたがわ・しょういち)

北川綜合法律事務所代表弁護士。弁護士登録後、中国・アジア国際法務分野を専門的に取り扱う法律事務所(当時名称:曾我・瓜生・糸賀法律事務所)に勤務し、大企業クライアントを中心とした多くの国際企業法務案件を取り扱う。その後独立し現事務所を開業。アジア地域の国際ビジネス案件対応を強みの一つとし、国内企業法務、法律顧問業務及び一般民事案件などを幅広くサポート。また、デジタル遺産、デジタルマーケティング等を含めたIT関連法務分野にも注力している。著書に『Q&Aデジタルマーケティングの法律実務』(2021年刊、日本加除出版)、『デジタル遺産の法律実務Q&A』(2020年刊・日本加除出版)、『即実践!! 電子契約』(2020年刊・日本加除出版、共著)、『デジタル法務の実務Q&A』(2018年刊・日本加除出版、共著)。講演として「IT時代の紛争管理・労務管理と予防」(2017年)、「デジタル遺産と関連法律実務」(2021年、2022年)などがある。

1 NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)とは?

近時、ブロックチェーンを利用したNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)なるデジタルデータが世に出回るようになりました。ブロックチェーンは暗号資産においても利用されている技術になりますが、NFTは暗号資産とは異なる特徴を持っています。

一般的にデジタルデータは容易に完全なコピーの作成が可能であり固有性とは対照的な存在であることが通常ですが、これに対し、NFTは他のデータと識別可能な・固有性をもったデジタルデータである点でそれら一般的なデジタルデータとは異なるものといえます。他にプログラマビリティ(注1)がある点などがNFTの特徴といわれています。

取引対象性(NFT購入の動機などを含め)の前提として、該当NFTの保有証明(もっとも後述のとおり権利関係については検討課題もありますが)が可能な点も特徴といえます。 記事全文>>

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