山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。「18歳以下への10万円相当給付」。景気対策か、貧困対策か、はたまたコロナ対策か。論議を呼んだ現金給付は、子どものいる家庭には「年の瀬のボーナス」となった。ところが、シングルマザーの一部にこの10万円が届かないという事態が起きている。給付に10月の児童手当リストを使ったため、9月以降に離婚した夫婦の場合、夫の口座に10万円が振り込まれた。面倒を見ていない父親にカネがわたり、子どもを育てる母親に連絡がない。そんなケースが多発しているという。
立憲民主党はこの問題を取り上げ、善処を求める要望書を提出した。だが、松野博一官房長官は「今般の給付では難しい面がある」と述べるにとどまった。煩雑(はんざつ)な事務的手続きがあり、対応できかねる、というわけだ。
実際に子育てしている親が支給対象になるべきだ、という立憲民主党の主張は正しい。総選挙の敗北を受けて誕生した泉健太氏を代表とする新執行部は「提案型政策」を掲げる。「子育てする母に10万円を」という政策は、提案路線に沿う。
「自公政権に足らないこと」を立憲が主張し、存在感を示す。「提案型」にはそんな気配が漂うが、それが野党の役割だろうか。
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