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令和の石油ショック「化石」の逆襲
『山田厚史の地球は丸くない』第201回

11月 26日 2021年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

石油の時代はもう終わる。そんな「エネルギー革命」に逆らうかのように原油価格が上昇している。ガソリンが上がるだけではない。燃料費の高騰は物流費や生産コストを押し上げる。アメリカでは消費者物価指数(CPI、季節調整済み)が10月、前年同月比6.2%増に跳ね上がり、31年ぶりの上げ幅となった。デフレの暗雲が漂っていた世界は、にわかにインフレへと目を向けるようになった。

原油・資源・食糧などの価格高騰を「一時的な現象」と見るエコノミストは少なくなかった。新型コロナの蔓延(まんえん)で世界経済は1年余も落ち込み、需要不足から様々な分野で生産が停滞、供給は絞られていた。ところが、感染が一服し、アメリカを先頭に需要が回復。経済が軌道に乗ると今度は、供給が追いつかない状況が生まれた。企業は素材・原料の確保に走り、春先からモノ不足が顕在化した。

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砂漠緑化の地球内科
『週末農夫の剰余所与論』第22回

11月 24日 2021年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o 株式会社エルデータサイエンス代表取締役。元ファイザーグローバルR&Dシニアディレクター。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

農園は来春の準備が始まった。前回『週末農夫の剰余所与論』第21回に晩秋の農園を報告してから、すでに2カ月が経過している。毎年同じような農作業の繰り返しが、15年以上続いている。予測不能な天候と、気まぐれな農作業なので、毎年新しい発見と、たくさんの失敗がある。

来春の準備中=2021年11月19日 筆者撮影

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IT大手企業の「デジタル遺産」機能の追加から考えるデジタル遺産問題
『企業法務弁護士による最先端法律事情』第11回

11月 22日 2021年 社会

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北川祥一(きたがわ・しょういち)

 北川綜合法律事務所代表弁護士。弁護士登録後、中国・アジア国際法務分野を専門的に取り扱う法律事務所(当時名称:曾我・瓜生・糸賀法律事務所)に勤務し、大企業クライアントを中心とした多くの国際企業法務案件を取り扱う。その後独立し現事務所を開業。アジア地域の国際ビジネス案件対応を強みの一つとし、国内企業法務、法律顧問業務及び一般民事案件などを幅広くサポート。また、IT関連法務分野、デジタルデータに関する最新の証拠収集技法など最先端分野にも注力し、「アジア国際法務×IT法務」は特徴的な取り扱い分野となっている。著書に『Q&Aデジタルマーケティングの法律実務』(2021年刊、日本加除出版)、『デジタル遺産の法律実務Q&A』(2020年刊・日本加除出版)、『即実践!! 電子契約』(2020年刊・日本加除出版、共著)、『デジタル法務の実務Q&A』(2018年刊・日本加除出版、共著)。講演として「IT時代の紛争管理・労務管理と予防」(2017年)、「デジタル遺産と関連法律実務」(2021年)などがある。

1 「デジタル遺産」機能

 近時、IT大手企業よりその提供するサービスに関連して「デジタル遺産」プログラムなる機能の追加が発表されました。

これは、ユーザーにおいて自身が亡くなった後に当該アカウントの特定のデータへのアクセスを認める人物を指定し、指定された人物は、死亡証明書類を提出し、かつ必要なキーを持っていれば、一定のデータにアクセスできる、というもののようです。

元々、亡くなったユーザーのアカウントへのアクセスのリクエストという手続きは存在しているようですが、これについては、その規約から読み取れる必要書類などからは一定の手続の難しさ・煩雑性があるものと思われ、また、今回の新しい機能がユーザー側からの積極的なデータの開示という特徴を持つこととは異なるものといえるでしょう。

このような「デジタル遺産」機能は、一定のデジタルデータを相続人等に遺したいと考えるユーザーのニーズには資するものといえそうです。

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日本の衰退30年-その間に中国は何をしてきたのか?
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第206回

11月 19日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

日本は名目GDP(国内総生産)では依然として世界第3位の経済大国であるが、過去30年その総額はほとんど伸びなかった。その結果、日本の1人当たりの購買力平価GDPは世界193か国中33位で、韓国の後塵(こうじん)を拝することになってしてしまった。一方、中国は過去30年にわたり急速に経済発展を遂げており、2010年には日本を抜いて米国に次ぐ世界第2位の経済大国となった。2020年の中国と米国の名目GDPの差は約6兆ドルまで縮まっており、2028年にも中国が米国を抜くとも言われている。

しかし、日本のマスメディアの記事を見ていると、中国の大手不動産会社である中国恒大集団の支払い不履行問題や、世界的なエネルギー危機から「中国経済の破綻(はたん)」を予想する論調が目につく。私たち日本人は本当に中国の実像を理解しているのであろうか? 私の知る中国人の支配者階級の人たちは、必死になって日本を研究し日本を追い越していった。京セラの創始者である稲盛和夫氏の主宰する経営学の勉強会「盛和塾」が、日本よりも中国で人気を博したことからもこのことはわかるであろう。いまや中国の名目GDPは日本の3倍である。今こそ私たち日本人は冷静に中国を分析し、必要なものは中国から学ばなければいけない時に来ている。今回は、中国の過去30年の発展の要因をデータから読み取っていきたい。

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連合は誰の味方か?芳野体制で進む翼賛化
『山田厚史の地球は丸くない』第200回

11月 12日 2021年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

総選挙の前と後で政治を取り巻く空気はガラリと変わった。自民党に向かっていた批判の矛先が立憲民主党へと移った。世論を「右旋回」させたのは議席3倍超の日本維新の会だが、もうひとつ見逃せない勢力がある。労働組合の全国組織「日本労働組合総連合会(通称:連合)」である。

投票の翌日、連合の芳野友子会長は記者会見で「連合の組合員の票が行き場を失った。到底受け入れられない」と語った。「受け入れられない」のは、投票結果ではない。立憲が小選挙区で共産党などと行った選挙協力のことだ。この発言を機に、「立憲民主党の敗北は、野党共闘が原因」という声が広がった。

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喫緊の課題 日本の教育制度改革を考える
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第205回

11月 05日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

過去30年にわたる日本経済の長期の低迷は、コロナ禍による経済苦境と相まって日本の賃金の低さを浮き彫りにした。身近に迫った生活苦の恐れから、ようやく多くの日本人がこの「相対的貧困」という事実に気づくこととなった。しかし日本人の貧しさの原因を「中国元凶の資源高」や「悪い円安」などの一過性の問題にすり替えようとする論調がマスコミの中で後を絶たない。そもそも日本の貧しさの根本要因は「日本の製品やサービスが世界的な競争力を失った」ことにある。さらに「円安誘導などで実質ダンピング(価格引き下げ)を行ってきた延命策のコストを日本国民全体で分担させられてきた」結果、日本人総体が貧しくなってきたのである。いまや日本の1人当たりの購買力平価GDP(国内総生産)は世界193か国中33位となっており、2018年には隣国の韓国に抜かれてしまった。

日本人が豊かさを取り戻すためには、なによりも日本の製品やサービスの競争力を向上させることが必要である。民間レベルでは経営方針の見直しや人事制度の改革など複合的な施策の動員が必要となる。一方、日本全体としては30年間全く効果を生み出さなかった政府の成長戦略の抜本的見直しが必要である。その中心的施策の一つが「日本製品やサービスの競争力向上」を担保するための教育制度改革にあると私は考えている。今回は日本の教育の現状を振り返るとともに、改革の要諦について考えていきたい。

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表現・確率・生命
『WHAT^』第39回

11月 04日 2021年 文化

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o 株式会社エルデータサイエンス代表取締役。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

ⓒ福田徹、一般社団法人二科会写真部、2021、第69回展二科会写真部作品集、p387

写真が記録ではなく表現となったのは、いつごろからだろうか。筆者は『見ることの神話』(中原佑介 著/粟津潔 デザイン、フィルムアート社、1972年)に決定的な影響を受けた。写真家はシャッターを押す前に、何かを見ている。写真家には見えていないものが、写真に偶然写ることもあるだろう。しかも、写真家は作品となる写真を見ている。写真機がデジタルになっても、写真家の網膜や頭脳は、アナログであり、デジタルでもある。網膜の視神経や、脳の神経細胞は、個数を数えうるという意味でデジタルだ。しかし、ひとつの神経細胞では「見る」という機能を実現できない。多くの神経細胞がネットワークでつながり、神経細胞以外の細胞たちと共に生きているという意味ではアナログだろう。『見ることの神話』ではさらに、ひとりで見ることはできない、少なくとも表現としての「見ること」は、社会や社会制度に大きく依存し、制約され、表現の「場」の問題でもあることを明らかにした。物理学における「場」は、波動とともにありアナログな世界だった。量子力学によって「場」も量子化され、粒子の生成と消失を表現する「場」のデジタルな性質も明らかになった。写真が表現となったのは、写真を撮るのではなく、写真を見ることが意識されたときからと、暫定的に答えておこう。

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外国人は日本の労働市場に戻ってきてくれるか(5、完)【連載企画:人口動態と労働市場(全5回)】
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第49回

11月 03日 2021年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

o オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。

これからの25年は「人手不足の時代」だ。前回まで、労働力の増加を期待できるカテゴリーとして、女性と高齢者の動向をみてきた。残るカテゴリーは、外国人だ。

日本の労働市場は、すでに外国人に多くを依存している。今後も一層依存は高まるだろう。しかし、これまでの国の対応は後追い的だったようにみえる。

今後期待どおりに外国からの労働力が増える場合、快く働き、生活してもらえるだけの柔軟性が日本の社会にあるだろうか。

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天皇家を消滅させるのは誰?
『山田厚史の地球は丸くない』第199回

10月 29日 2021年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

秋篠宮家の「眞子さま」が、婚姻届を出して「眞子さん」になった。民間人になった彼女は、アメリカで暮らすという。

朝日新聞に掲載されている「朝日川柳」にこうあった。

「流出は、頭脳につづき、皇族も」。

眞子さんは、とげとげしい世間の目に耐えられないのだろう。

ロンドンで特派員をしていたころ、オックスフォード大学に小和田雅子さんが留学していた。今の皇后さまである。赴任する時、旧知の皇室担当に尋ねた。

「雅子さんの動向をウォッチすることは必要か?」。答えは「皇太子さま(今の天皇陛下)はご執心のようだが、彼女は外されたから、ウォッチしなくていいよ」。

アメリカにいたころ「深い恋愛」の経験があり、皇太子妃の候補から消えた、ということだった。

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世界の農業事情から考察する日本の農業の展望
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第204回

10月 22日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

バンコック銀行日系企業部には、新たに採用した行員向けに「小澤塾」と名付けた6カ月の研修コースがある。この期間、銀行商品や貸し出しの基本などを宿題回答形式で、英語で講義を行う。この講義と並行して、日本人新入行員として分析力、企画力などを磨くため、レポートの提出を義務づけている。今回は、金融庁からバンコック銀行に出向している松村一樹(もとき)さんのレポートをご紹介したい。松村さんには金融監督業務とは全く異なった領域である「農業分野」について一から分析をしてもらった。なお、本レポートにおける考察・分析はあくまで筆者個人の見解によるもので、金融庁及びバンコック銀行としての見解を表すものではありません。

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