古川弘介(ふるかわ・こうすけ)
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。
◆ はじめに:本稿の狙い
ポピュリズムについて考えてみたい。ポピュリズムは、「大衆迎合主義」と訳されるように、南米のような貧富の差が大きく、民主主義制度が十分に定着していない国で見られる極端な政治手法というのが、日本での一般的なイメージだ。しかし、福祉国家で知られ民主主義が高度に発達した欧州先進諸国で、近年ポピュリズム政党が影響力を増していると聞くと、戸惑いとともに不安を覚える。明治維新以降、日本が近代化のモデルとしていた西欧先進国で何が起こっているのか、あるいは同じように安定した民主制度の下での福祉国家である日本は大丈夫かという思いにとらわれるからだ。 記事全文>>