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NZ銃乱射事件の背景を考える
『国際派会計士の独り言』第34回

4月 10日 2019年 経済

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内村 治(うちむら・おさむ)

photoオーストラリアおよび香港で中国ファームの経営執行役を含め30年近く大手国際会計事務所のパートナーを務めた。現在は中国・深圳の会計事務所の顧問などを務めている。オーストラリア勅許会計士。

ニュージーランド南島最大の都市クライストチャーチは人口40万人弱。柳など緑濃い木々で覆われたエイボン川が市内を横切り、「ガーデンシティー」(庭園の街)という別名があるくらい豊かな自然に恵まれ、優しい人たちが生活する静かで美しい街ですが、3月15日に突然の惨劇に見舞われました。イスラム教の礼拝所(モスク)で起きた銃の乱射事件です。

クライストチャーチ付近では2011年2月22日に大規模な直下型地震があり、市内のビルが倒壊するなどして日本人留学生28人を含む185人が亡くなっています。今回の事件の容疑者は白人至上主義者とみられる28歳のオーストラリア人の男で、市内2か所のモスクを襲撃して銃を乱射し、50人が犠牲になりました。本稿では、治安が良いというイメージが強かったニュージーランドでなぜ今回のような悲劇が起きたのか、その背景について私なりに考えてみたいと思います。 記事全文>>

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新車が低迷する一方で堅調な中古車市場
『中国のものづくり事情』第20回

4月 09日 2019年 経済

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Factory Network Asia Group

タイと中国を中心に日系・ローカル製造業向けのビジネスマッチングサービスを提供。タイと中国でものづくり商談会の開催や製造業向けフリーペーパー「FNAマガジン」を発行している。

中国汽車工業協会(CAAM)によると、2018年の新車販売台数は前年比2.8%減の2808万600台と、28年ぶりに前年割れした。その流れは年が明けても変わらず、1月の販売台数は前年同月比15.8%減の237万台だった。中国の景気減速を印象付ける結果となったが、一方で市場が拡大している分野もある。それは中古車市場だ。

前瞻産業研究院によると、18年の中古車販売台数は前年比11.5%増の1382万1900台だった。新車販売台数の半分に迫ろうかという勢いである。車種別に見てみると、セダンが前年比11.6%増の882万2000台、小型多目的スポーツ車(SUV)が30.8%増の113万5600台、小型多目的車(MPV)が8%増の78万1900台と、新車同様SUVに人気が集まっている(注=本文中の図表は、その該当するところを一度クリックすると「image」画面が出ますので、さらにそれをもう一度クリックすると、大きく鮮明なものを見ることができます)。 記事全文>>

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気仙沼・本吉の「つながりたい」思いが目指すつながる未来
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第159回

4月 08日 2019年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆新しい発見

ここ数年は東日本大震災が発生した3月11日を前に被災地を訪れるのが恒例になっている。もう少し行き来したいと思いながらも、現状の仕事量ではなかなか難しいが、その仕事にも少し絡んでの訪問になりつつあるのも少しうれしい。そして、震災以降、1人の市民としてかかわってきた被災地とのつながりは、最近は福祉事業を実践し、福祉領域を研究のテーマになっている私にとって、それは確実に新しい目線での新しい発見があることに驚いている。

今まで見落としてきた地域福祉の課題が、福祉を知れば浮かび上がってくるのだ。宮城県気仙沼市本吉地区の知的障がい者の母親のグループ「本吉絆つながりたい」との震災後からのコミュニケーションは、だんだんと深いところでシンクロしてくるような感覚であり、それは福祉の課題や地域課題を照射するメッセージとなって私の中に響いてくる。
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「政治を語る」を抑える空気、なぜ広がる?
『山田厚史の地球は丸くない』第136回

4月 05日 2019年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「政治問題」に絡む学生の発言を巡り秋田公立美術大学で、ちょっと考えさせられる「事件」が起きた。今春の卒業生代表が謝辞の中で、秋田に配備される米国の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」に触れようとした。事前に知った学生部長が電話をかけ、「デリケートな問題」と翻意を促し、この部分があいさつからバッサリ削られた、という。

生徒指導は命令ではない

 今の大学なら、ありそう話と思った。朝日新聞が4月3日付の朝刊で次のように報じている。

卒業生代表として謝辞を述べる女子学生(22)は原稿を作成。「常設型迎撃ミサイル基地の配備計画が持ち上がるなど、在学中に地域住民や大学関係者にとって重要な問題が起こったことも事実。新屋(あらや)という場所に暮らし、学ぶ学生にとって、こうした問題は決して無視できません」「学生および地域の皆様が平和な生活を過ごせるよう願っています」と記した。配備計画の賛否に触れず、「考えることが大切という思いを込めたかった」と言う。大学側は「デリケートな部分がある」と伝えたことは認めつつ、「削除してほしいとは伝えていない。本人の判断」と削除の要請を否定。学生課長は大学側に「住民や学生の中に色々な思いがあり、卒業生代表として意見を発信されることに躊躇(ちゅうちょ)した」と話した、という。 記事全文>>

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表現としての性と老い
『WHAT^』第15回

4月 02日 2019年 文化

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

株式会社エルデータサイエンス代表取締役。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。


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資本主義の現状:『新・日本の階級社会』を考える―その3
なぜ貧困層(弱者)を救済しなければいけないのか
『視点を磨き、視野を広げる』第29回

4月 01日 2019年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに―「なぜ貧困層(弱者)を救済しなければいけないのか」

社会学者橋本健二(*注1)の『新・日本の階級社会』という本をもとに、前回は格差是正を推し進めるための政治的方法論について検討した。今回は、そもそもなぜ貧困層(社会的弱者)を救済しなければいけないのかについて考えてみたい。救済に反対しているわけではない。格差は是正されるべきだと思うが、政策実行のためには痛みを伴う政策(他予算の歳出削減か増税)が必要であり、道徳的に正しいという主張だけでは社会を動かす力となりえないからだ。格差是正に関する社会的合意形成の積極的な理由を確認しておきたいのである。まず、社会全体にとって利益となることを明らかにしなければならない。これは経済学の仕事だ。

ただ、倫理面についても整理しておく必要があると考えている。経済的理由は重要だが、その根底にはやはり倫理観が必要だと思うからである。あれこれ思案していたときに偶然、精神科医の香山リカ(*注2)の『弱者はもう救われないのか』という本を見つけた。香山は、現代の日本は、国による「弱者切り捨て」が進み、社会もそれを受け入れつつあるという問題意識を持っている。しかし、経済的理由や個人の倫理観に期待するだけでは、人々は「自らの消費の自由を侵すような弱者救済策に賛成しない」可能性が高いと悲観的に観察している。そこから弱者救済の根拠を求めて模索を続けるのである。同書を参考に弱者救済の倫理的な理由についても考えたい。

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日本の変革の主体はだれか?
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第140回

3月 29日 2019年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住21年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

海外から見ていると目に見えて衰退していく日本。既に日本の衰退は20年以上前から始まっていた。労働力生産人口がピークアウトした1997年以降日本の名目GDP(国内総生産)は漸減傾向にある。1995年には日本のGDPは世界のGDPの17.6%を占めていた。しかし2016年には5.1%と3分の1以下になってしまった。1人あたりのGDPにいたっては世界25位と経済協力開発機構(OECD)諸国で最低の水準である。産業についても同様である。繊維、鉄鋼、造船、家宅とかつて世界一を誇った産業は今や見る影もない。いまや自動車産業にのみ頼る「一本足打法」とも言えるところだが、その自動車産業とて電気自動車や自動運転技術など新たな産業の後に決して安泰と言える状況にない。

気付いている?いない?日本の衰退

なぜこんな状況になってしまったのだろうか? 私はこれまでこうした状況を生み出した原因は人々が日本衰退の現実に気付いていないからであろうと考え、海外から見た日本の現状について講演したり記事を書いたりしてきた。いまだに日本では「食レポ」や「旅番組」などと日本礼賛のテレビ番組があふれかえっている。こんなテレビ番組ばかりでは日本の人たちも自国の衰退に気付けないのだろうと思っていた。

しかし、みな薄々気付いているようである。ただ、そうした現実に目を向けたくないだけなのである。「なぜ日本の衰退が起こっているのか?」。私なりの分析もこの「ニュース屋台村」を通して訴えかけてみた。政治・産業・教育・文化などについて、それなりの解説を試みてきた。 記事全文>>

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データ論の準備(1)目的
『住まいのデータを回す』第18回

3月 26日 2019年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

株式会社エルデータサイエンス代表取締役。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

『住まいのデータを回す』シリーズも最終段階となった。前回の『データを耕す』シリーズから、ずいぶん遠くに来てしまったと思う。17世紀の哲学者、スピノザとライプニッツに刺激されて、彼らの文章の隙間に、書かれなかった未来の哲学を読み取ろうとした。それは決定論の世界には収まりきらない、個体差をともなう「所与すなわちデータ」の世界だ。

筆者は「薬物作用の個体差」をライフワークとしている。実際に自分で動物実験を行い、臨床試験のデータ解析をしていると、「薬物作用の個体差」は遺伝子に関係があるとしても、遺伝子そのものというよりは、遺伝的要因と環境因子との交絡(非線形な関係)が重要だと思われた。医学薬学関連のデータ解析を職業としてきたけれども、大学では植物と根粒菌の共生に興味を持っていた。当時は生物統計学も数理生物学も大学の教程はない時代で、数学の応用課題としての「共生」に興味を持っていた。大学のFORTRANプログラミングの演習で、「ロトカ・ヴォルテラの方程式」(※参考1)を題材にしたとき、カオスの概念は全く知られていなかったけれども、「共生」の方程式があるとすれば、それはニュートン力学の決定論的世界とは全く異なるものになるという予感はあった。 記事全文>>

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「実践」の方向を正しく導く「学び」に向かって
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第158回

3月 25日 2019年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆学びあいの空気

文部科学省の「障害者の多様な学習活動を総合的に支援するための実践研究」の採択事業である障がい者向けのオープンキャンパスは、「実践教育のステージ」の2回目のプログラムである「ビジネスコミュニケーション」を開催し、今年度の「オープンキャンパス」全日程を終えた。
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力学からデータサイクルへ
『WHAT^』第14回

3月 19日 2019年 文化

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

株式会社エルデータサイエンス代表取締役。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

オーストラリアのビクトリア国立美術館で筆者撮影

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