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やる気が感じられない日本の観光振興
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第222回

8月 12日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

ありがたいことに「タイ人は大の日本好き」である。第2次世界大戦の痛手から急速な復興を遂げ、アジアの先進国としての立場を長い間享受してきた日本。技術のある工業製品を生み出し豊かな国であった日本は、ながらくタイ人にとってあこがれの地であった。2013年7月からタイ人の観光ビザが免除されると、多くのタイ人が日本を訪問し始めた。日本政府観光局(JNTO)の資料によると、コロナ禍前の19年の訪日外国人数の総計は3188万人で、そのうちタイ人は132万人(4.1%)となっている。観光客を国別で見ると、中国の959万人が第1位で、タイは韓国、台湾、香港、米国に続く第6位となっている。ちなみに、タイ人観光客は他国の観光客に比べて個人旅行、リピート客の割合が高く、平均滞在日数も長くなっている。こうした特徴も見ても、タイ人の日本好きがうかがえる。 記事全文>>

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タイへの投資拡大を今こそ考えよう
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第221回

7月 01日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

コロナ禍とウクライナ戦争によって、世界のビジネス環境は一変した。『ファクトフルネス』の著者であるスウェーデンの感染症学者ハンス・ロスリングや、『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリはそれぞれの著書の中で、人類滅亡の危機となる要素として「感染症・戦争・地球温暖化・極度の貧困」と喝破しているが、私たちは今まさに、この感染症と戦争による人類の危機に直面している。新型コロナウイルスとウクライナ戦争は次元の異なる災害だが、これらによって私たち人類の分断は明らかに進行した。

コロナ禍によって人々の往来は制限され、飲食業や観光業は大きな打撃を被った。物流も大きく混乱し、半導体不足から自動車や家電製品などの生産に影響を与えた。ウクライナ戦争では、資源国であるロシアとウクライナからの穀物や石油資源などの輸入が実質不可能となり、世界的な物価高騰を招いている。

こうした状況はいつ収束するのか予測できない。私たちは新しい環境に備えた新しい体制整備が必要である。そして私は、その一つの方策が「タイへの投資拡大」ではないかと考えている。円安環境の中では「日本国内への投資拡大」が今までのセオリーだった。それゆえに唐突な提言だと思うかもしれないが、「ニュース屋台村」の前回第220回でも指摘した通り、タイでは日系企業の投資拡大や新規進出の話が出始めている。日系企業が「今こそタイへの投資拡大を考える」べきその理由について以下、述べたい。 記事全文>>

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少しずつ活気を取り戻し始めた-タイに戻って1週間
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第220回

6月 17日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

3か月に及ぶ日本出張を終え、1週間ほど前にタイに戻ってきた。コロナ禍の影響で2年以上帰国していなかったため、病院通いや自宅の整理などで「あっという間の3か月」であった。それでも何とか病院通いの合間を縫って60人以上のお客様と面談した。日本は3月から人流が増加したようで、私が一時帰国後の自主隔離期間を終えて訪問活動を始めた4月には、ほとんどの方が面談に応じてくださった。やはり「百聞は一見にしかず」で、お客様などから直接話をうかがうと、新聞や雑誌などでは得られない生の情報が入ってくる。

コロナ禍の2年間、私はバンコック銀行の日系企業部の同僚に「資料を有効活用したオンライン面談」を積極的に行うようアドバイスしてきた。オンライン面談は「物事を遂行していく上での打ち合わせ」では、直接の面談よりも有効であるケースが多い。ただし「相手との信頼関係を深める」ことや「情報交換により新しい気づきの発見」などは期待できない。そもそも、私たちホモサピエンスは仲間を作り集団化することでほかの生物との競争に勝ち残り、食物連鎖の頂点に立つことができたのである。新型コロナウイルスは人間のこうした稀有(けう)な才能を封じ込めてしまった。 記事全文>>

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日本(ジパング)見聞録
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第219回

6月 03日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

イタリア・ベネチアの商人であったマルコ・ポーロ(1254-1324)がアジア事情を記した『東方見聞録』。この『東方見聞録』によれば、「黄金の国ジパング」は中国の東の海上1500マイルに浮かぶ島国で、莫大(ばくだい)な富を生み出す。その国の宮殿や民家は黄金で造られ、国中に財宝にあふれている。また、人々は仏教を信じ、礼儀正しく穏やかである。日本のことがこう書かれているようである。この『東方見聞録』に刺激されて、ヨーロッパの多くの冒険家がアジアを目指すことになり、世界は「大航海時代」を迎える。さて今回、私は2年ぶりにタイから「黄金の国ジパング」に一時帰国した。「黄金の国ジパング」はこの2年間のコロナ禍の影響を受けてどのように変貌(へんぼう)したのであろうか? 記事全文>>

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ウクライナ戦争から私たち日本人が学ぶべきこと
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第218回

5月 20日 2022年 国際

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

ロシアがウクライナへ軍事侵攻を始めてから2か月以上が経過した。核を保有する軍事大国であるロシアがウクライナ侵攻を決行したのが2月24日。「軍事力で全く劣勢にあるウクライナは大国ロシアの前に1か月も持たないのではないか」。こうした大方の予想を裏切り、ウクライナ側の抵抗は続く。日本のマスコミは連日、ロシアの極悪非道な戦争犯罪を糾弾する。また政府・自民党からはウクライナ戦争の教訓として「軍事費の増額」や「自衛隊の活動領域の見直し」などの議論が出ている。

こうした議論の方向性を見ると、「またしても日本人は重大危機に際して思考停止状態に陥ってしまった」としか私には思えないのである。誤解を招くといけないので、あらかじめ宣言をしておこう。私は決して「不戦論者」でも「理想主義者」でもなく強烈な「愛国者」である。だからこそ日本が間違った方向に進むことに強い危機感を持っている。「第3次世界大戦」や「核戦争」が実際に起こる可能性すらある現在のウクライナ戦争。私たちはこの戦争から何を学び、何を準備するべきなのだろうか? 今回はウクライナ戦争について、マスコミではあまり取り上げられない視点での論考を試みたい。 記事全文>>

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日本一時帰国顛末記(その2・自宅に戻って)
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第217回

5月 06日 2022年 社会

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

3月初旬、2年ぶりにタイから日本に帰ってきた。新型コロナウイルスのまん延により、この2年間にわたって世界中で厳しい入国制限が行われた。「勤務地であるタイを一度離れるといつ戻れるかわからない」という恐怖心で、私の帰国もままならなかったのである。コロナウイルスの弱毒化とワクチン接種の進行により日本の入国制限も緩和され、私が帰国した今年3月からは、ワクチン3回接種済みのタイ入国者の隔離制限は撤廃された。大変幸運な条件で私と妻は帰国した。

前回第216回でご紹介した通り、私たちが搭乗したタイ航空機が成田空港に到着したのが午前7時半。その後、検疫作業などで入国審査が済むまで3時間強かかり、私たちが空港の外に出られたのが午前11時過ぎだった。用意してあった自動車に乗り込み、途中のスーパーマーケットで少し買い物をして午後1時前に自宅にたどり着いた。乗客が睡眠不足で目を赤くするところから、俗に「レッドアイ」と呼ばれる夜行便(深夜発明朝着便)で日本に到着した私たちは、自宅に帰り着くと倒れるように眠り込んだ。気がつくと夜の7時。すっかり外は暗くなっていた。取りあえず電気、ガス、水道は使えそうである。風呂にゆっくりつかり、スーパーで買い込んだサンドイッチを食べてその日はまた寝てしまった。 記事全文>>

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日本一時帰国顛末記(その1・成田到着編)
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第216回

4月 15日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

3月3日に日本に戻ってきた。2年ぶりの一時帰国である。タイに赴任して24年が経過したが、こんなに長く日本の土を踏まなかったの初めてである。もちろんコロナ禍が理由である。今年1月7日付の拙稿第209回「コロナも悪いことばかりじゃない?-新年の抱負」では、この2年間で私の中に身についた「読書による新しい知識の習得」「音楽会を通じたタイ人との親交」「個人練習による音楽技術の向上」「ビデオ電話などによる家族の絆(きずな)」などについて、えらそうに語らせていただいた。

そのことにうそはない。しかし正直に言えば、この2年間、私は明らかに停滞した。異なった領域で多くの方たちとの人脈を持っていることが私の強みである。しかしコロナ禍によって人に会えず、私の強みは封印された。また、日本とタイを行き来することによって両国の違いを比較・分析するのが私のやり方だった。同じようにそれも使えなくなってしまったのである。

さすがにこのままではまずい。自分が自分でなくなってしまう。そんな焦りから一時帰国を決断した。今回は、タイ出国前から成田到着、そしてその後のことなど、一時帰国の顛末(てんまつ)をご紹介したい。 記事全文>>

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タイ政局は視界不良
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第215回

4月 01日 2022年 国際

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

タイの元陸軍司令官で現在のプラユット・チャンオチャ首相が軍事クーデターにより「国家平和秩序評議会」議長として実権を掌握したのが2014年5月22日。同年8月25日には、当時のプミポン国王(ラーマ9世)の任命を受けて正式に第37代首相に就任した。それからまもなく8年が経つ。その後、16年10月13日にプミポン国王が崩御すると、同年12月2日にワチラロンコン国王(ラーマ10世)が即位。17年には新憲法が公布され、かねて懸念されていた政治的混乱もなく、プラユット政権はワチラロンコン国王への引き継ぎを無事に完遂した。19年3月には民政移管のための下院議員選挙が行われたが、当初の予想を覆してソムキット元副首相たちによって結党された「国民国家の力の党(以下PPRP)」が第1党となり、プラユット首相が続投した。しかしそのソムキット元副首相も民政移管後に跋扈(ばっこ)し始めた金権政治家たちによって20年7月に放逐された(拙稿21年5月7日付第193回「コロナ禍の中で透けて見えるタイ政治の深層」ご参照)。

新型コロナウィルスによって人々の活動が制限されてきたため、タイ政局はしばらく、あまり動きがないまま推移してきたように見える。しかし現政権の任期満了を来年3月に控え、タイはまた政治の季節を迎えようとしている。今回は、少しずつ動き始めたタイの政局について考察してみたい。 記事全文>>

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コロナ禍のタイの風景―定点観測
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第214回

3月 18日 2022年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

「人間は忘却の生き物である」と言われる。ドイツの心理学者であるヘルマン・エピングハウス(1850−1909)が人間の記憶力を測るため無意味な言葉を実験者に覚えさせ、時間の経過とともにどのくらい覚えているかを研究した。残念ながら私たち人間はさして記憶力がよくないようである。20分後には42%、1時間後には56%、1日後には66%の記憶が失われ、1カ月後にはわずか20%しか思い出せない。最近の脳医学では脳内の記憶システムが少しずつ解明され、「短期記憶は海馬、長期記憶は脳皮質で蓄積されること」や「長期記憶と睡眠が大きく関わっていること」などがわかってきている。

さらに人間には「積極的に記憶を消去する」メカニズムが働いているようである。生物が生きていく上で、また進化していく上で、「忘却」は重要な脳内活動なのかもしれない。「嫌な出来事をさっさと忘れ去る」ことで私たちはストレスを感じずに生きていける。一方、この「忘却」によって人々は科学的に思考することが難しくなる。過去に起こった出来事を経験として生かすことができない。また過去と比較することをしないためにその事象の要因を分析することもしない。こうした人間の弱点を補うために定期的に物事を振り返る「定点観測」は大きな意義がある。

コロナ禍でのタイの風景についてはこれまでも何回か取り上げてきた。第177回「タイに見るコロナ禍後のタイの新常態」(2020年9月18日)、第182回「新常態が定着したタイの風景と反政府デモ」(20年11月27日)、第192回「感染急拡大 タイのコロナ狂騒曲」(21年4月19日)、第201回「タイのデルタ株感染急拡大の教訓―コロナ禍の日本への提言」(21年9月10日)などである。今回は「定点観測」として、オミクロン株が拡大中のタイの風景を報告する。 記事全文>>

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「アベノミクス」が結局日本をダメにした
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第213回

3月 04日 2022年 政治

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住24年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

安倍晋三元首相がまたぞろ復活してきているようである。陰に陽に岸田文雄首相の「新しい資本主義」を批判して「アベノミクスの復活」を唱えている。国民にとって耳なじみがよい「アベノミクス」であるが、それによって実際には何がなされたのであろうか? また、どれほどの実績を上げたのであろうか? 第2次安倍政権が樹立されたのが2012年12月。私たちがこの「ニュース屋台村」を立ち上げたのが13年7月。私自身は13年8月から、安倍元首相がコロナ禍の中で政権を放り出した20年9月まで、アベノミクスの問題点を一貫して指摘してきた。今、岸田首相によって「新しい資本主義」が提唱されているが、その前に私たち国民はアベノミクスの評価をしなくてはいけない。自民党1強でほとんど政権交代がなかった日本では「なれ合い政治」が常態化し、過去の政策についての冷静で客観的な評価が下された試しがない。マスメディアも自民党政権からにらまれることを恐れ、こうしたことには及び腰のように思える。今回は、いまだに亡霊のごとくよみがえってくるアベノミクスについて、私なりに総括を行ってみたい。 記事全文>>

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