山本謙三(やまもと・けんぞう)
オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。
日本銀行は、12月の金融政策決定会合(18、19日)後に「多角的レビュー」の結果を公表する。
多角的レビューとは、2023年4月の植田和男総裁の就任直後に開始したもので、過去25年にわたる金融緩和政策について検証するとしている。一部の研究結果は、先行してすでに公表されている。
レビューの対象を「過去25年」としたことには、少なからぬ違和感がある。先行する14年とその後11年の異次元緩和は、拠(よ)って立つ理念や理論が全く異なるものだった。これらを一括(くく)りに議論してよいかは疑問が残る。 記事全文>>