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「核のゴミ捨て場」モンゴル訪問の真の狙い
『山田厚史の地球は丸くない』第55回

10月 23日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

安倍首相は22日、中央アジア5か国とモンゴルの歴訪へと羽田空港を発った。安倍さんの外遊好きは有名だ。国内にいるとストレスは多い。今回も臨時国会を開かない口実の「外遊」が利用された。

環太平洋経済連携協定(TPP)は大筋合意したが、秘密交渉で決まったテキスト(合意文書)は公開されていない。配布が始まったマイナンバー、消費増税に伴う軽減税率、沖縄の米軍普天間基地の辺野古への移転問題。国会が開かれれば野党の突っ込みどころは満載だが、途上国の首脳と乾杯して援助をばらまくほうが気分は楽に違いない。
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VW、お前もか!
『山田厚史の地球は丸くない』第54回

10月 09日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

   
「VW(フォルクスワーゲン)の足を引っ張るようなことはするな。自動車業界全体の深刻な問題として捉えてほしい」。トヨタの豊田章男社長がそう発言したとネットに流れている。

自動車販売台数世界一は昨年、トヨタグル―プだった。今年1-6月はVWが首位を走る。競い合うライバルの失態は好都合であり、ディーゼル車のイメージダウンはこの分野が手薄なトヨタにとって幸いでもある。そこまでは誰でも分かる。それを表に出してしまうと「なんだトヨタは」と言われるだけだろう。賢い経営者は「惻隠の情」を示すことで人品骨柄を示す。
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「アスリート・ファースト」って何だ!
『山田厚史の地球は丸くない』第53回

9月 04日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

新国立競技場を巡るドタバタの中で、盛んに飛び交うようになった言葉が「アスリート・ファースト」。平たく言えば「競技者のことを一番に」ということだろう。

建設費1550億円。決めた関係閣僚会議の見直しの方針に「アスリート・ファースト」があった。安倍首相も「アスリート・ファーストで」と念を押した。「だったら、今まではなんだったんだよ」と突っ込みを入れたくなる。アスリート・ファーストではなかった、と言っているのと同じだ。そこで思い出したシーンがある。
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安保法制とTPPはリバランスでつながる
『山田厚史の地球は丸くない』第52回

8月 21日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

会合のたびに「大筋合意か」と伝えられてきた環太平洋経済協力連携(TPP)は、どうやら暗礁に乗り上げたようだ。あいまいな表現をするのは、TPPは各国に「守秘義務」を課し、交渉内容は国会にさえ報告されないからだ。
 とはいえ、12か国が参加し20を超える分野で政府関係者が交渉しているのだから、情報は漏れてくる。伝えられるところによると、最大の障害は「知的財産権」だった。著作権や特許権、具体的には薬品特許やディズニー映画の放映権などを何年後から無料開放するか。「知的財産」で儲けたい先進国とカネを吸い上げらえるのがイヤな途上国の対立が解けなかった。

◆先進国の都合で進められてきた経済交渉

TPPは、経済から国境を無くし関税や制度を一つにしようという試みだ。競争力をむき出しにしてビジネスをしようという自由貿易の考えが土台にある。対等な競争では分(ぶ)がない途上国は不安だ。先進国に度量があった頃は、途上国の主張をのむこともあったが、グローバル化で多国籍企業が世界市場を席巻する昨今、甘い話はできない。その対立をTPPは超えられなかった。
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怒れ愛国者諸君!! 盗聴されて抗議できない同盟関係
『山田厚史の地球は丸くない』第51回

8月 07日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「仮に事実であれば、同盟国の信頼関係を揺るがしかねないものであり、深刻な懸念を表明せざるを得ない」

これが精いっぱいの表現らしい。安倍首相が電話した相手はバイデン米副大統領だった。ウィキリークスが暴露した盗聴へのリアクションがこれだ。米諜報(ちょうほう)機関が日本政府や大手企業の要人を盗聴していた。
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FT買って何するの? 日経の買収は喜んでいいのか
『山田厚史の地球は丸くない』第51回

7月 24日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

今日(24日付)の朝刊に「日経が英FT買収」という白抜き見出しが躍った。FT(ファイナンシャル・タイムズ)はビジネスリーダー必読の経済紙である。失礼だが、日本経済新聞など足元に及ばない権威あるグローバルな媒体だ。

部数は電子版を含めて73万7000部という。買収金額は8億4400万ポンド(約1600億円)。高いか安いかは日経がFTをどう生かすか次第だろう。
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「借りたカネは返せ」は常識に非ず
『山田厚史の地球は丸くない』第50回

7月 10日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

先日、ラジオ番組に呼ばれた。ギリシャ問題を話してくれ、という依頼だ。打ち合わせで進行役の女性から「ギリシャって酷(ひど)い国ですね。借りたお金を返さないなんて」と言われた。そうか。「借りたカネは返せ」という欧州連合(EU)の主張は日本人の金銭感覚にピタリとくるんだ、と感じた。

借金の返済に窮した警察官が殺人を犯す、なんてことさえある日本人の「律儀さ」を語ると、外国人は「信じられない」という顔をする。「そこまでして借金を返すのか」とラテン系は唖然(あぜん)とする。
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官僚の劣化 ウソと記憶
『山田厚史の地球は丸くない』第49回

6月 26日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

日本年金機構から大量の個人情報が流出した問題を取材し、厚生労働省という役所が酷(ひど)いことになっているのを実感した。キャリア官僚の劣化である。

◆たらい回しにされた電話

年金局の業務企画課に取材を申し込んだ。らちが明かないので部屋を訪れた。担当者がいない、というので課長席の内線電話を確認し、引きあげた。頃合いを見てかけると、電話口に赤澤公省(あかざわ・こうせい)課長が出た。取材を申し入れると「忙しい。対応できない」と言う。「難しいことを聞くわけではない。事実を確認するだけです。忙しいなら対応できる職員を紹介してほしい」と告げると、「企画官に代わる」。
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「坊ちゃん首相」はなぜ傲慢になったのか
『山田厚史の地球は丸くない』第48回

6月 12日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

国会が「朝まで生テレビ」みたいになってきた。主役が首相だ。衆議院予算委員会で質問している議員に「日教組、日教組!」とヤジり、大島理森委員長にたしなめられたが反省はない。「早く質問しろよ」に至っては、本性むきだしの一場面だった。

痛いところを突かれると不機嫌になる。立場の弱い相手を小バカにする。女性を上から目線で見る。興奮して我を忘れると地金が出てしまうのか。
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TPPが自動車の国際分業を壊す
『山田厚史の地球は丸くない』第47回

5月 29日 2015年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

環太平洋経済連携協定(TPP)の日米交渉で、米国が厄介な問題を持ち出してきた。日本車の原産地問題だ。日本は虚を突かれ、にわかに攻守逆転という形勢だ。

米国は日本車に対し2・5%の関税をかけている(トラックやMPVは25%)。これをゼロするという交渉が続き、「10年後から」という米国に「もっと早く」と日本がせっつくという構図だった。ところが米国は「日本から輸入しているクルマは日本製ではない」と言い出した。
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