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「障害者総合支援法」改正の施行を前にした就労支援の心構え
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第261回

8月 30日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆ミスマッチの反省

2022年12月に国会で可決した「障害者総合支援法」改正案は2024年度から施行される。「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて(議論の整理)」としてまとめられた改正案は「障がい者の地域生活」「社会的ニーズへの細かな対応」「質の高い障がい福祉サービス」の三つの柱からなる。

多様な就労ニーズへの支援と障がい者雇用の質の向上を目的とした改正は、自分の就労支援に関する動き方を再考しなければならない。これは障がい者雇用でミスマッチが生じている現状を改善しようとする中で考えられたものであり、福祉サービス全般に対して、これまでの動き方からの変化を促すものでもある。 記事全文>>

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「銀河街の悪夢」から考える支援者を作るために必要なこと
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第260回

7月 26日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆突き刺さる当事者の歌   

障がい者への就労支援をする支援員を育成するためのプログラムを作成する中で、ふと迷いが生じてしまい、自分を勇気づけてきた動画を久しぶりに開いてみた。

それはSEKAI NO OWARIの「銀河街の悪夢」である。

ユーチューブ動画では、2014年5月24日、旧国立競技場の最後の音楽イベントとして行われた「SAYONARA国立競技場 FINAL WEEK JAPAN NIGHT」でのライブパフォーマンスが有名かもしれない。精神疾患に悩む若者がふとんから出られず、やりたくてもやれないもどかしさ、が展開するアニメーションを背景にした演奏だ。

ボーカルのFUKASEが注意欠如・多動症(ADHD)、パニック障害で悩まされ、隔離病棟での入院経験もあるその彼が作った歌は当事者の心境を表現したものとして、いつも心に突き刺さる。

今回もまた、支援者を作る以前に自分の支援を見つめ直すことになった。 記事全文>>

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「管理」の名の下に議論される入管法と難民の悲劇
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第259回

7月 18日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆共生社会とは遠く   

外国人の収容や送還のルールを定める入管難民法の改正案が成立した。大きな改正点は「難民認定申請が3回目以降で強制送還を可能にした」「ウクライナなど紛争地から逃れてきた人にも難民に準じた在留資格を与える『補完的保護』制度を創設」「在留資格のない人を収容している施設に代わり監理人の監督下で生活する『監理措置』の新設」である。

特に強制送還に関する改正は、立憲民主党などの野党が日本の難民認定率の低さを指摘し、本国で生命が脅かされる保護するべき難民が送り返されてしまう、との懸念を示した。政府の説明で懸念が払拭(ふっしょく)されることなく、結局混乱の中で強行採決の様相となった。

難民や外国人に対する私たちの認識が問われるこの議論だが、そもそも「入管法」という名称から、日本が排他的に外国人を捉え、管理しようとする精神性がうかがい知れ、それは「共生社会」とは遠いことも示しているようにも思える。 記事全文>>

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長野の悲劇を繰り返さないための「私たち」の仕事
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第258回       

7月 12日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆みられないソーシャルワークの介在

長野県中野市で警察官を含む男女4人が殺害される事件はあまりにも痛ましく、言葉が見つからない。メディアから伝えられる容疑者の人間像は雑駁(ざっぱく)であるものの、社会との接触では「苦手さ」を感じていたことがうかがえる。その状況を「解消しよう」とする家族の気遣いも見られるものの、そこにソーシャルワークの介在はみられない。

存在していたであろう「歪(ゆが)み」のような状態をケアすることへは、一般的な反応として抵抗があったのだろう。この抵抗感は地方にはよくあることで、だから、都会に比べ地域住民の結びつきが強い地域では、関係のこじれを修復し、対人の苦手を克服するのは難しい。 記事全文>>

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重度障がいの「進路」を考える柔軟性から可能性を思考する 『ジャーナリスティックなやさしい未来』第257回

6月 14日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆制度が奪う側面も

特別支援学校高等部では3年生になると卒業後の「進路」を考え、進路指導や担当の教員とともに実習先を探し、実習し、「次の場所」を選び、進路を決定しなければならない。一般就労が難しい場合は就労移行支援という福祉サービスを使って一定の期間、就労の準備を行う場合もあるし、一般就労まで時間をかけてゆっくりやりたい、または一般就労を目指さなくても、目の前の仕事をコツコツすることで日々の生活を安定させたいのであれば就労継続支援B型事業所などの選択肢もある。

そして「就労」よりも日々の生きがいを感じながら過ごすには生活介護事業となるし、外出が困難な重度障がいの方には自宅への訪問での支援になるが、どうしてもつながる社会が狭くなってしまいがちだから、活動の幅は広がらない。結果的に「できない」ことをできるようにする可能性をそれらの支援の制度が奪っている面もある。 記事全文>>

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障がい者雇用でのパワハラ裁判から考える「合理的配慮とは何か」
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第256回

6月 07日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆「指導」は暴力

高次脳機能障がいと強迫性障がいがある岐阜県大垣市の女性が、障がい者雇用として働いていた特例子会社である名古屋市のウェブ制作会社からパワハラを受けたとして、会社側を「合理的配慮義務」違反として損害賠償を求めた裁判は今年3月、名古屋高裁において全面的に原告の主張を受け入れた和解内容で双方が合意し、成立した。

報告集会で、原告側の支援グループは、和解内容が障がい者雇用の現場や社会全体に浸透していく必要性を強調し、女性は「なぜみんなと同じことができない!」「特別扱いはしない」との発言で自分を追い詰めた会社側が主張する「指導」は「暴力であった」と振り返り、障がい者雇用で苦しんでいる人の助けになりたいと訴えた。 記事全文>>

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社会福祉士に「社会」を見る目、仕事を楽しくする取り組み
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第255回

5月 29日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆関わるのが楽しい

今年度から埼玉福祉保育医療製菓調理専門学校(さいたま市大宮区)の社会福祉士養成講座で「社会理論と社会システム」を講義することになった。社会福祉士の国家試験の合格を目標に、実務経験や4年制大学の卒業等が入学資格となっているため、学生は明確に福祉分野で働くためのスキルアップのためにその門を叩いている。

社会福祉士の受験資格を得るという目的の中で、私が担当する科目は社会学の基礎などを学ぶもので、この学校に限らず、社会福祉士を目指す方にとっては退屈ですこぶる評判が悪い科目のようだ。しかし、今回私が引き受けたのは、この科目、社会学を学ぶことで仕事の幅が広がり、支援が面白い。 記事全文>>

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SDDGsの取り組みに「誰ひとり取り残さない」ための方策
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第254回

5月 22日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆障がいに焦点

国連サミット加盟国の全会一致で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の17項目は目標達成の期日である2030年まで残り7年となった。この目標には「誰ひとり取り残さない」とのキャッチフレーズが掲げられ、目標の中では「障がい者」を対象とした記述も少なくない。17の目標については小中学校で学ぶ機会は増えているようだが、社会での学びは十分とは言えないかもしれない。

働く人にとっても企業の向き合い方で、その認識は大きく変わる。個人的に意識していたとしても、具体的な取り組みには結びつける社会での「器」もない。誰もが自国だけでは生きられない中で、私たちが担う役割として、17の目標を位置づけたいとの考えの下、みんなの大学校でもその「学び」を社会で共有する計画を立てた。 記事全文>>

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「生きる」ことにつながる生涯学習という視点
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第253回

3月 27日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆4つの事業

文部科学省の2022年度「地域連携による障害者の生涯学習機会の拡大促進」事業で行われた「重度障害者の学習支援の展開と地域と指定管理業者による障害者の生涯学習の場づくりの研究事業」は最終報告会を行い、成果報告書を発表した。

最終報告会では、連携協議会委員やプログラムの参加者、参加した当事者の保護者から意見をいただき、それらを来年度の計画に盛り込み、さらに発展させていきたいとまとめた。今年度の文科省による「要支援者向けの生涯学習」の委託研究の取り組みは、以下の四つの柱で実施した。

「重度障がい者向け講義『おんがくでつながろう』の実践」「遠隔講義『メディア論』の展開」「指定管理業者との学びの場づくり研究」「重度障がい当事者との企画と実践によるオープンキャンパスの開催」。どの事業でも「インクルーシブ」を基本に関わり合うことでの感動が生まれた、と私自身はまた一歩何かが進んだと感じている。 記事全文>>

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法定雇用率アップで新しい就労支援の第一歩を踏み出す
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第252回

3月 20日 2023年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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2.7%へ引き上げ

政府が障がい者の法定雇用率を二段階に分けて上げることを決めたことで、関係する企業や支援機関など障がい者雇用の周辺では何かザワザワした雰囲気になっている印象がある。法定雇用率が2.7%になるということは38人以上を雇用している企業にその雇用義務が発生することになるから、「そろそろ対応しなくてはいけない」との思いと不安の声を該当する企業の幾人からか聞いた。

障がい者が企業で働くことで産業面での共生社会を目指す取り組みはマクロでみれば誰もがハッピーなキーワードだが、企業の担当者がいざ障がい者雇用に直面すると、未知への対応に気苦労は多いようだ。その企業側の「苦労」を取り除けば、障がい者雇用は社会に広がり、定着させることになるのだろうから、企業に焦点を当てた支援活動は必須だ。

この「企業への支援」も念頭に先日、専門家や研究者が集まってこれからの就労支援について話し合う機会を設け、次の支援の形に向けて少しずつ言葉を探し、つなげ始めている作業を開始した。 記事全文>>

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