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芥川賞「貝に続く場所にて」の鼓動から生まれるもの
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第221回

12月 13日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆ためらいが文字に

 2011年3月11日に起きた東日本大震災でボランティアとして支援活動をしてから、震災を題材にする小説や映画、ドラマなどを私は避けてきたような気がする。メディア研究の一環として、それを分析的に捉えようとしたこともあるものの、自ら率先して向き合ってはこなかった。

それは演出される映像や表現された言葉と、そこにあった現実とに大きな乖離(かいり)があること、を突き付けられるのが怖いからである。いまだに波にさらわれ海から戻らない人がいる中で、なおさらに言葉は無意味となる。

震災から10年でもその感覚は変わらないものの、その言葉にするためらいを文学にしたのが、第165回芥川賞受賞作『貝に続く場所にて』(石沢麻依著)だと解釈した。ためらいにも確かな鼓動があり、それが伝わる。

震災時、仙台の内陸で被災した作者は「海も原発も関わらなかった場所にいたこと。そのことが、あの日の記憶と自分の繋がりを、どこかで見失わせている」と書くその感覚に強く私も反応する。

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医療モデル偏重と障がい者支援の地域格差是正を東京から
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第220回

12月 09日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆優先される判断

 障がい者が社会で生きやすくするために、日本社会は「医療モデル」から「社会モデル」に移行するべきだとの議論は数十年続いている。障がいによる生きにくさを医療による治療だけに頼るのではなく、その障がいを社会が規定していることを自覚し、社会に住まうソーシャルワーカーはじめ市民が「障がい」をなくすという考えである。

しかしコロナ下にあって、医療偏重の社会構造は助長されそうな雰囲気もある。それは医療の権限が大きいからで、障がい者支援で言えば、支援の認定が医師の判断が優先される構図があるから。最近の共同通信の調査では、20歳未満の障がい児がいる保護者に支給される「特別児童扶養手当」をめぐり、医師の判断が優先され地域で基準が違うことから地域格差も生まれていることが分かった。

障がい者支援を都道府県や複数の自治体で実践している立場の私にとっては、その自治体によってのバラバラがもはや常識とはなっているが、それで不利益を被る当事者に「仕方ないね」と泣き寝入りするのは、終わりにしたいと思う。

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過去の「いじめ」の過ちは消えないから
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第219回

9月 15日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆過去の疼きの中で

 東京五輪の開会式の楽曲を担当していたミュージシャンが1990年代中盤の雑誌に掲載された過去のいじめ行為により、開会式直前にその役を辞したことには波紋が広がった。

過去の過ちは反省することで消えないのか、という問題と、「いじめ」という事実のインパクトは大きい。特に障がい者へのいじめに関しては、私の立場から見てきた経験として、「消せない」し「許されない」と断言したい。

心のコントロールの面で、支援が必要な人に大きな傷を負わせたことは残忍な行為として、大きな罪に値する。懺悔(ざんげ)しようが、当事者の傷は癒えないのだという前提で、その反省は消せないまま、一生負い続けなければいけない。その負った反省とその後の改心した上での行動を「反省」の可能性として歓迎したいが、だからといって過去は消えるものではない。

絶望的な言い方かもしれないが、そんな過去の疼(うず)きの中で、人生の道は開いていくのではないかとも思う。

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苦難の中にある人に語る「ヨブ」の苦難
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第218回

9月 06日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆解けない難題

 支援が必要な人に対する活動をしていると宗教的な信念で行動する人と出会い、共に行動することがある。自然災害や障がい者支援、子供のサポートや高齢者との活動でも、「隣人」に向けて自分のある力を発揮するのは、人が元来から持つケアの感覚を行為化したもので、そこに信条や理念が加わると、行動がスムーズになるようだ。

キリスト教の信徒とともに活動を共にした経験からは、さすがに「愛」を説く宗教との支援は相性がよい。その中にあって、私が解けない難題の一つが旧約聖書のヨブ記の記述である。

「理不尽にも」神に試され次々と苦難に陥れられるヨブを「神の御業(みわざ)」なのだと納得することはなかなか難しい。これは「障がい」がある状態の方々や災難に見舞われた方々に「神からの試練」などと言えないことにつながっている。

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哲学が切り開く障がい者との楽しい対話とおもしろい学び
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第216回

7月 30日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆必要のない国際理解から

みんなの大学校の「国際理解」の講義で、インド人講師が「なぜ国際理解が必要でしょうか?」との問いに、ある学生はこう答えた。「必要とは思っていません。何か面白いものが砂金を探すような感じであるのか聞いている感じです」。

義務教育では他国の文化や歴史を理解することが国際協調の基本ということかもしれないが、実際は「国際理解」を意識しなくても生きていける人は多い。だから、楽しい話題を、砂金を探すように、聞き入るのは、その学生にとっては至極当たり前。これを「国際社会に生きる私たち」のあり方、という括りで道徳的に捉えると、先ほどの回答には眉をしかめるだろう。

しかし、これを「哲学」で捉えると、なかなか鋭い回答である。この切り口で話を展開すれば、また新たな発見があるかもしれない―そんな思いで、『哲学がかみつく』(デイヴィッド・エドモンズ、ナイジェル・ウォーバートン著、佐光紀子訳、柏書房、2015年)を教材に授業をしてみたら、やはり面白かった。

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その一言で「世界が変わる」と思うことから
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第215回

7月 19日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆人を救える、から

 最近は支援の現場でのコミュニケーションに関する問い合わせや研修が相次ぎ、「僭越(せんえつ)ながら」と思いながら福祉事業所の支援員らにアドバイスをしている。

私なりに自分の経験から得たノウハウを言語化したものを伝える中で、知ることによって、その人の世界が変わる、きっと支援が楽しくなる、きっと支援される人も喜ぶはず、と思い話をするから、自然と言葉も熱を帯びてくる。

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当事者の思いと周囲の熱意から構築する重度障がい者の「はたらく」
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第214回

7月 12日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆新しいB型のデザイン

 就労継続B型事業所のイメージは障がい者が通所して仕事を通じて社会と関わり合う場所で、雇用契約を結ばない「労働」だから生産性は求められない、が一般的である。しかし最近は、B型事業所で運営しているカフェがコーヒーのおいしさや食事のクオリティーの高さなどで地域の人気店に名を連ね、B型事業所で生産した商品が市場から支持を得て人気となる例もある。アートな作品も次々と世に出たりするなど、B型事業所のありかたも多様になってきている。

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「つなぐ」がはじまり、新しいコミュニティーに向かう
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第213回

7月 06日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆ストレス解放で「健康」

 みんなの大学校と一般財団法人発達支援研究所が共同で編集する12ページのカラー冊子「つなぐ」が発刊された。同研究所の山本登志哉所長と私が共同編集長となり、発達障がいや精神障がいにより生きづらさ、働きづらさ、いづらさ、を感じている人とつながりながら、その要因を探り、そして良い方向を考えていこうという試みの一環である。

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リモートワークで進歩するコミュニケーションの中で
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第212回

6月 14日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆本当の「豊か」に向けて

 新型コロナウイルスの対策としてリモート業務が推奨される中にあって、その仕組みも「進歩」「発展」の中で新しいコミュニケーションの形がどんどんと社会に広がっている。それが社会の発展なのか、コミュニケーション行為の進展なのか、私たちの幸せにそれらが本当につながっているのか、ということを考えると、立ち止まりつつ考える必要性を感じている。

それは私自身、支援活動をする中で、コロナ禍の影響で外に出られない人、特に感染リスクの高い重度障がい者にとっては、安全な場所にいることがなおさらに求められるから、その場所で支援を受けることを前提にして、社会や周囲とコミュニケーションを維持しながら、社会に接していく必要がある。

本当に豊かなコミュニケーションに向けて緊急事態の中で冷静に「進歩」「発展」とどのように付き合っていくかも課題だ。

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ウェブ無料講座「学びで変わる」で「学び」の在り方を考える
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第211回

6月 07日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆支援を考えるシリーズ

 一般財団法人発達支援研究所が主催の無料公開講座「成人障がい者の支援を考えるシリーズ」の第1回として「多様な『学び』で変わる支援 ~障がい当事者の可能性を広げる新たな試み~」が5月17日から6月20日まで、オンラインで無料公開されている。

みんなの大学校の学生2人が、同研究所の山本登志哉所長と私からの質問に答える形で、学びについて考える企画。2人の学生の個性豊かなコメントを受けて、私と山本所長が話を展開する内容だ。研究所の説明では、「みんなの大学校」における「学び」の経験についてうかがいながら、そうした社会と当事者のギャップを「つなぐ」コミュニケーションの場としての「学び」のあり方を考えます、と説明している。

私たちの学びが研究所を通じて考え、それを社会に提供し、課題を共有化する喜びは、どんな反応があるのかの期待を膨らませている。

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