山本謙三(やまもと・けんぞう)
オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。
前回、地方創生の実現には、地元産業が大都市圏並みの所得を稼ぎ出すことが必須と述べた(第58回「早くも東京に戻り始めた人口-『テレワーク移住などで東京一極集中に是正の兆し』説は何だったのか」(8月10日付)参照)。一つの成功例を一般化して地方全体に当てはめるのでなく、各地域のどの特性にどのような競争力がありうるかを見極めることが大切だ。
以下、総務省「経済センサス―活動調査」の地域、産業別データを用いて、各地の付加価値生産の現状を確認してみよう。
付加価値とは、企業や事業所の売り上げから原材料費や減価償却を差し引いたものをいい、その中から従業員に給与が支払われたのち、残りが利益となる。いわゆる「労働生産性」とは、付加価値額を事業従事者数で割った値(「従事者一人当たり付加価値額」)である。
なお、「経済センサス―活動調査」は5年ごとに実施され、最新は2021年6月実施の調査となる。速報値はすでに公表されているが、詳細データは未公表のため、本稿では2016年の調査結果を用いる。 記事全文>>