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驕る安倍に死角あり―対話拒否、力ずくの辺野古訴訟
『山田厚史の地球は丸くない』第73回

7月 22日 2016年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

沖縄の民意に政府は「けんか腰」で応えようというのか。参議院選で沖縄の有権者は島尻安伊子(しまじり・あいこ)沖縄担当相を落選させ、民意を改めて示した。ところが政府は、名護市辺野古の米軍海兵隊基地の工事再開を強引に進めよう動き出した。

7月22日、埋め立て申請を無効とする沖縄県の決定を違法とする訴訟を福岡高裁に起こした。国と県の訴訟合戦は、政府の紛争処理委員会でさえ「話し合いによる解決」を求めたが、政府は力ずくで突破する構えだ。
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リスペクトが消えてゆく―EU離脱、トランプ現象、参院選で
『山田厚史の地球は丸くない』第72回

7月 08日 2016年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

改憲勢力が3分の2をうかがう勢いだという。メディアが「日本の針路を左右する選挙」などと報じる参議院選挙(7月10日投開票)だが、有権者の関心は盛り上がらない。多くの人が投票に背を向けるのではないか、と心配されている。

政治的無関心というが、暮らしを見つめれば気楽でいられる状況にない。賃金は上がらず、雇用は不安定で、人々は将来に不安を抱えている。いら立ちが「投票行動」につながらない。なぜだろう?
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やっぱり出てきた「TPPは再交渉」身勝手な米国
『山田厚史の地球は丸くない』第71回

6月 24日 2016年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

米国の大統領選挙で民主党の候補指名が確実になったヒラリー・クリントン氏は21日、遊説先のオハイオ州で演説し「米国民の利益にならない貿易協定は再交渉すべきだ」と語った。オハイオはホンダの自動車工場など製造業が集積している。TPP(環太平洋経済連携協定)に反対する労働組合を意識した発言とみられる。

クリントン候補は予備選挙から「TPPは基準を満たしていない」と反対を主張していたが、再交渉を主張したのは初めてだ。発言を伝える大手メディアは「オバマ政権下でTPPを承認できなければ、次期大統領は誰であろうと、承認には少なくとも1年以上かかるとみられている。今回の再交渉発言で、先行きはさらに不透明になった」(朝日新聞6月23日付)と報じた。
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いよいよ国債が危ない 銀行の決断でアベノミクスは…
『山田厚史の地球は丸くない』第70回

6月 10日 2016年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

三菱東京UFJ銀行が、国債入札で特別の計らいを得られる国債市場特別参加者の資格を返上する、という。普通の人には、なんのことかわかりにくいが、財務省や日銀は顔を歪(ゆが)めている。かつてなら「お上から与えられた優遇を返上するとは、かわいくない奴」とイジワルをされるかもしれない。そんな出来事だ。

背景には、日銀が始めた「異次元の金融緩和」と国内総生産(GDP)の2倍にも膨れ上がった「国債の乱発」がある。つまりアベノミクスの核心部分と関係している。
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消費増税再々延期 政策のご都合主義の末路が見える
『山田厚史の地球は丸くない』第69回

5月 27日 2016年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「お待たせしました」、というところか。安倍首相が来年4月から始まるはずの消費増税を延期するという。本来なら、昨年10月から始まっていた。来年へ延期を決めたのは2014年10月。その時、首相は「リーマン・ショック級の混乱がない限り、必ずやります」といった。だが多くの人は疑っていた。

「近づいたらまた延期でしょう。やるやる詐欺ですから」というふうに。
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連休外遊 首相より外相に注目
『山田厚史の地球は丸くない』第68回

5月 06日 2016年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

イタリア・フィレンツェで安倍首相は、伊勢志摩サミットに向けた「新三本の矢」を披瀝(ひれき)した。金融・財政・構造改革で世界経済を活性化、といううたい文句がG7首脳声明に盛り込まれる。同行記者を相手にした内輪の記者懇談で、明らかにしたというが、記者の反応は「また三本の矢かよ」。白けた雰囲気だった、という。

◆使い回され過ぎた「三本の矢」

「マス対」と呼ばれるメディア対策に熱心な安倍政権は、政策に中身がなくても包装紙は立派だ。しかし「三本の矢」は使い回され過ぎである。政権登場とともにぶち上げたアベノミクスの解説が、「異次元の金融緩和、機動的な財政出動、経済活性化のための成長戦略」という三本の矢だった。3年前のことである。円安・株高で活況到来か、とはやされたものの期待倒れな結果となり、モデルチェンジされた「新三本の矢」は、①希望を生み出す強い経済(GDP600億円)②夢を紡ぐ子育て支援(希望出生率1・8)③安心につながる社会保障(介護離職ゼロ)――だった。

実現の手立ては不明。絵に描いたモチは「矢ではなく的だ」と揶揄(やゆ)され、このあたりからアベノミクスは迷走が始まった。
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モンゴルにも及ばず 報道の自由 日本はアジア5位
『山田厚史の地球は丸くない』第67回

4月 22日 2016年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

国境なき記者団が毎年発表する「報道の自由度ランキング」で、2016年の日本は順位を11位落として72位に後退した。秘密保護法の施行、政権に批判的な放送に電波停止をちらつかせけん制する政府、自主規制ムードが広がる報道現場。狭まる日本の報道の自由に、海外から警鐘が発せられた。

◆安倍政権の登場で際立つ急落ぶり

報道の自由度が一番高いのは、今年もフィンランドだった。7年連続で首位。オランダ、ノルウェー、デンマークとベスト10の常連が続く。ニュージーランド、コスタリカ、スイス、スウェーデン、アイルランド、ジャマイカまでがトップ10だ。
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「パナマ文書」とある大蔵官僚の死
『山田厚史の地球は丸くない』第66回

4月 08日 2016年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「パナマ文書」の報道に接し、思わず唸(うな)った。タックスヘイブン(租税回避地)を使っている世界の要人を国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が暴いたのである。中国では習近平国家主席ら共産党常務委員たち、英国はキャメロン首相、ウクライナのポロシェンコ大統領など錚々(そうそう)たる人物が、本人あるいは近親者の名を使って会社を設立していた。

◆国境を越えるカネ

表に出せないカネの隠匿場所がタックスヘイブンである。公権力や世間の眼が届かないブラックホールにうごめく政治家にスポットライトを当てた。一級のジャーナリストの仕事はこういうものだ、と唸るしかなかった。
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安倍さんは分かったかな? スティグリッツ氏の「反TPP」
『山田厚史の地球は丸くない』第65回

3月 25日 2016年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「スティグリッツにはガッカリしました」という声を学生から聞いた。市民派の経済学者と期待していたのに、安倍首相に呼ばれて来日し、「消費税延期」に舞台づくりに一役買うとはどういうことか、というのである。

同氏はクリントン政権で大統領経済諮問委員会の委員長を務め、政権と経済政策の機微を知っているはず。安倍首相の意図が分からないはずはない、それなのにのこのこやってきて、宣伝の道具に使われた。
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原発推進派の憂鬱 震災から5年―再稼働推進は「カラ元気」?
『山田厚史の地球は丸くない』第64回

3月 11日 2016年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

今日は3月11日。5年前のこの日、東日本大震災が起き、津波が大勢の命を奪い、福島第一原発が爆発した。

「被害」は終わっていない。いまでも10万人が住み慣れた土地から離れ暮らしている。「震災関連死」は宮城、岩手、福島の3県で3405人という。数字の裏には、病を抱えながら施設を転々したり、頼る人もなく食事も介護もままならないでいたりする高齢者など、理不尽な思いで生涯を終えた人たちがいる。
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