山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
ドイツで4月15日、すべての原子力発電が止まり「脱原発」が確認された。これから「廃炉処理」という長い後始末に取り組む。高濃度の放射能に汚染された原子炉の解体、核燃料廃棄物の処理など難題が待ち受けているが、動いている原発がなくなることは確実な前進である。人類が手を染めた「核エネルギー」との付き合い方を考える貴重な政策転換でもある。
ドイツの脱原発は、2011年3月の東京電力福島第一原発事故を教訓として、2013年に決まった。2022年末まで、となっていたが、ウクライナ戦争でロシアからの天然ガスの供給が途絶え、停止期間が4か月先延ばしされた。日本では「ドイツは原発を断ち切れない」といった指摘があったが、ドイツ政府は約束通り「停止」を実現させた。方向を定めたら、多少の調整はあっても、原則は変えないというドイツの一貫性を示したといえよう。 記事全文>>