古川弘介(ふるかわ・こうすけ)
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。
◆はじめに―リベラル能力主義が持つ問題
・リベラル能力資本主義
米国の経済学者ブランコ・ミラノヴィッチは、その著書『資本主義だけ残った―世界を制する資本主義の未来』において、米国型の資本主義を「リベラル能力資本主義」と呼んでいる。
―「リベラル」は、すべての人に機会の平等が保証されるべきという考え方だ。「能力(主義)」は、誰もが能力と努力によって評価されることをいう。したがって機会の平等が必要だ。両者は基本的な価値観(法の支配、人権、民主主義)のもとで一つのシステムとして機能し、能力主義的平等を求める。
―「資本主義」は、グローバル市場の中で活動する市場志向の資本主義である。テクノロジーを武器に市場システムの中での効率性(生産性)の追求を特徴とする。したがって理性主義的なリベラル能力主義と相性が良い。 記事全文>>