助川成也(すけがわ・せいや)
中央大学経済研究所客員研究員。専門は ASEAN経済統合、自由貿易協定(FTA)。2013年10月までタイ駐在。同年12月に『ASEAN経済共同体と日本』(文眞堂)を出版した。
スリン前ASEAN(東南アジア諸国連合)事務総長は2013年1月の退任に際し「EU(欧州連合)はASEANの動機だが、地域体のモデルではない」と語るなど、ASEANはEUとは異なる独自の統合の道を歩んでいる。ASEANはあくまで「内政不干渉」の原則のもと、各国の主体性に配慮した統合を目指している。しかし、現下の加盟各国の政治情勢が、統合の足を引っ張りかねない状況になっている。
◆欧州債務危機で統合深化に気後れするASEAN
ASEANは加盟国の主体性を重んじ緩やかな統合体として運営されている。そのため、「地域的約束を実施する政治的意志」は、加盟各国にとってより重要である。市場統合について加盟各国からASEAN首脳会議や同事務局に主権の委譲が行われているわけではない。ASEAN内で決めた統合措置の実施は、あくまで加盟各国政府が法令化、行政指導を通じ、あくまで国内措置として実施する。
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