東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
新型コロナウイルスの流行によって、日本とタイの間の往来が難しくなっており、タイの日系企業で内部統制の乱れに伴う問題が出てきています。今回は、タイの現地法人で勤務する日本人MD(マネージングディレクター)の不正に対する対応についてご紹介します。
◆タイの入国制限で日本本社の監査の目を盗む
在タイ日系企業のA社の日本本社に、日本人MDが不正をしているという内部告発がありました。現状では、新型コロナウイルスの影響で日本本社の管理担当者がタイに入国できません。そこで、対処方法についてご相談がありました。
本社の関係者がタイを直接訪問できないので、会計書類の原本の確認などができません。このため、毎年監査を行っている監査法人とは異なる、外部の別の監査法人などによる監査、現物調査などが有効となります。
タイは法令上、MDに権限を集約する仕組みになっているため、タイの法律とは別にふだんから、社内規程などで決裁権限や相互牽制(けんせい)する承認ルートを定めておくことが大切です。ほかにも、毎月の小口現金、交際費、損金不算入経費、仮払い・仮受金、積立金などの費目について、詳細を確認することは最低限必要です。
また、社内通報制度の導入も不正の未然防止策として有効です。制度導入の際には英語だけではなく、タイ語での通報も受け入れることでできるだけ多くの従業員を対象にすると、虚偽の情報や操作された情報の抑制にもつながり、さらに効果が望めるでしょう。
今回は、タイ当局の入国制限によって日本本社からの出張が制限され、監視の目が緩んだことをいいことに不正に走った日本人MDの事例をご紹介しました。今回のケースでは、たまたま勇気ある内部告発により不正が発覚しました。未然防止策としては社内通報制度の導入が効果的ですが、言葉の違いや匿名性が確実に守られるのかという不安などから、社内運用がうまく機能しないケースもみられます。
弊社では、匿名で投稿できる外部相談窓口として、マネジメント・ダイレクトホットライン(社内通報制度の外部受付窓口)サービスを行っています。具体的なご相談がありましたら、是非弊社までお気軽にお問い合わせください。
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