東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
世界各国で新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として出入国の制限が続く中、タイでは、観光ビザで入国したまま帰国できなくなった外国人や、就労中のタイから一時帰国した後に戻ってくることができずその間にビザの期限を迎えてしまった外国人の問題など様々な混乱が生じています。今回は、コロナ禍を背景に、タイの不法就労外国人に対する取り締まり強化の現状とこれに関連するトラブルについてご紹介します。
【事例】A社の日本人MD(マネージングディレクター)であるBさんは、移民局でビザの更新申請手続きを行いました。1カ月の仮申請(審査期間)中に移民局調査官が査察のため、A社に来ました。タイ人の雇用実態や事業内容などの査察項目はクリアしたものの、Bさんにパスポート(旅券)の提示を求めたところ、Bさんはあいにく当日パスポートを持ち合わせていなかったことから、違法の疑いがあると指摘されました。Bさんは、普段はいつも持っているがこの日はたまたま持っていなかったなどと説明。後日、パスポートを持って改めて移民局に出向くということで納得してもらいました。
【背景】外国人のビザ自動延長措置の期日が、当初予定していた2020年9月26日から、10月末まで延長されることが発表されました。自動延長措置の終了後には不法滞在外国人の取り締まりが強化されるのでは、との憶測がありました。自動延長が決まったにもかかわらず、移民局や警察による在タイ外国人に対する抜き打ちのパスポート携行検査の事例が増加しています。
【防止策・解決策】タイでは、タイ人にはIDカードの携行義務が課されており、外国人にも同様に常時、パスポートの携行が求められています。普段は紛失のリスクもあり、パスポートを携行していない方が大半だと思いますが、最近の不法滞在者に対する取り締まり強化の現状下では、パスポートをなるべく携行することでトラブルを未然に防止できます。真正のパスポートを常時携行するのは危ないと思っていらっしゃる方は、コピーを持ち歩くことをおすすめします。また、今回の事例のように、たまたまパスポートを持っていなかったことで同様の指摘を受けた場合は、パスポートを持って後日出向くか、違法の疑いを指摘してきた当局者に対し、法的根拠となる違反切符の作成を要求することも効果的です。
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