東洋ビジネスサービス
1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。
今回は、最近特にご相談が増えてきたお金の取り扱いに関するトラブルの事例とその対策についてご紹介します。
まずは事例①です。
タイで店舗展開を広げている日系企業のお客様の事例です。店舗のレジが毎日の集計時に計算が合わないことが多くありました。従業員Aから、同僚の従業員Bが現金を盗んでいるとの社内通報があり犯人の目星はついたのですが、レジには監視カメラも設置されておらず犯行時の物的証拠はありません。結局おとがめなしとなりました。
状況からみて、従業員Bによる犯行であることは明らかです。しかしながら、「推定無罪」の原則により証拠がない限り従業員Bを罰することはもちろんできません。録画可能な監視カメラを設置して証拠を押さえること、また何よりも重要なのは「見られている」ことを十分にアピールして従業員の出来心を未然に防ぐことでしょう。現金を扱う現場では日頃から「少しなら取ってもバレないだろう」と思わせないようにすることが何よりも肝心です。
次は事例②です。
出張の際の宿泊費用として、実際には宿泊していない高額なホテルで領収書を入手し社内請求した上で、実際は安価なホテルに宿泊し差額を着服するという事例がありました。こちらは実在するホテルから発行された領収書を用いて社内で通常の処理を行っており、社内でも懲罰が難しい事例です。
結局、口頭での注意と、今後も注意喚起を継続していく以外に対処方法はありませんでした。
いずれの事例についても、映像や写真などの確固たる証拠がない場合にはどんなに怪しい従業員でも解雇などの処分は難しくなっています。何よりも従業員に対しては日頃から不正への厳しい対処をアピールすることによって未然に犯行を防ぐことが重要です。残念なことですが、それでも犯行が起きてしまった場合にはきっちりと証拠を押さえられるように、適正な監視カメラの配置、社内手続きやチェックの厳正化など、今一度性悪説にのっとって社内の体制を見直しましょう。社内体制の見直し、またはトラブルなど、お困り事がございましたらお気軽に弊社へご相談下さい。
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