山口行治(やまぐち・ゆきはる)
株式会社エルデータサイエンス代表取締役。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
ランダムというよりも規則的に見えるLesley Dumbrell(1941年オーストラリア生まれ) の作品に、同時代の感受性と美しい異質なものを感じた。女性の生命観かもしれない。遺伝子や環境の中に大量に存在するウイルスのイメージも、このように美しいものであってほしい。
オーストラリアから帰国する機内で、HBOのドキュメンタリー「The Truth About Killer Robots (2018)」を観た。軍事兵器としてのキラーロボットよりも恐ろしい、自動運転車の交通事故など、日常生活におけるロボットの安全性と社会問題を、哲学者も交えて議論している。私が「ニュース屋台村」に寄稿するようになった初回原稿「自動運転車は何馬脳なのか 」(2017年1月)で問題提起したAI(人工知能)への疑問がリアルに描かれている。500馬力の自動車に、1馬脳以下のAIをつける危険性を議論したつもりだ。1馬力の自動車の自動運転から始めるのであれば問題ないかもしれない。
ニュートン以来、力学的な世界観が工学を支配してきた。ダーウィンの生存競争も「力」の論理であって、ウイルスの英知を想像すらしていなかった。近代は「光」の科学とともに始まったはずだった。今となっては、近代以前の、信仰の対象としての「光」も見失ってしまった。これからの「データ」の世界に「光」はないかもしれないけれども、「力」と工学の世界の延長でもない。生物のライフサイクル(生活環)のような、もしくはビジネスにおけるPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルのような、データサイクルのイメージを明確にしよう。ランダムな世界を生き延びる、無限に存在する不可視な特異点をすり抜ける英知を、敵でも味方でもなく変化し続けるウイルスから学び、データサイクルのモデルとしたい。
WHAT^(ホワット・ハットと読んでください)は何か気になることを、気の向くままに、写真と文章にしてみます。それは事件ではなく、生活することを、ささやかなニュースにする試み。
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